近世末期の琉球におけることばの教育に関する基礎的研究―訓読と皇民化―
Project/Area Number |
21K02209
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Okinawa International University |
Principal Investigator |
田場 裕規 沖縄国際大学, 総合文化学部, 教授 (80582147)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 六諭衍義大意 / 琉球語 / 訓読 / 科試 / 類推表記 / 書札礼 / 候文 / 会所 / 琉球漢籍 / 皇民化 / 文之点 |
Outline of Research at the Start |
近世琉球のことばの教育の実態を明らかにするために『琉球板本六諭衍義大意』の訓訳注を行い、近世末期の琉球の教育機関(村学校等)におけることばの教育について、「訓読」をキーワードに研究する。本研究は、『琉球板本六諭衍義大意』を中心に、①訓読法の受容の様態、②庶民教化とことばの教育、③訓読と皇民化について、明らかにし、琉球・沖縄におけることばの教育の歴史を連続体としてとらえ、言語統制と国家主義、言語と国家、声と文化等の研究に資することを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、①訓読法の受容と様態、②庶民教化とことばの教育、③訓読と皇民化について論究することを目的としている。また、①~③を総合した視点として、④琉球・沖縄におけることばの教育の歴史について、近世と近代を連続体としてとらえ、言語統制と国家主義、言語と国家、声と文化等についても補論することを目的としている。 2022年度は、③と④に関わって近藤健一郎氏(北海道大学)より専門的知見を提供していただいた。近世と近代の史料体系が異なる点に注目して、単純に近世と近代を連続体で捉えることの問題点について示唆をいただいた。狩俣恵一氏からは、八重山の会所(俗称コウジ)の実態等について、喜舎場永珣の著作等に触れながらご教示いただいた。会所は首里・那覇の村学校に相当する。揚字(アンギジ)という書方の試験や、文段(ブンダン)とよばれる読書が中心的な学習であったこと等について知見を得た。ただし会所設立年代(1490年)には疑問が残った。 奄美大島の盛岡家文書に『六諭衍義大意』があったとする情報を奄美図書館から得た。『奄美民俗 第1~5号』(大島高等学校郷土研究クラブ 編1960)第5号(昭和39年3月)「盛家蔵書目録」に「36.本佐録 六諭衍義大意(一六四頁)」とある。盛岡家文書の所有者盛岡前武二氏から聞き取り調査を行ったが、昭和39年の調査以降、散佚していることを確認した。琉球板本は本文だけで152枚であることから推して、或いは琉球板本に近い資料ではないかと思われたが現存しない。 2名のアルバイトによって、『琉球王代文献集』内の『遺老説伝』(謄写版)のテキスト化作業を行った。昭和12年の文献ではあるが、③・④の考察に関連して分析の対象としている。ただし、テキスト化は未完である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大に伴い、大学当局のガイドラインに沿って研究活動を行った。専門的知見を得るなどの調査は行ったが、調査結果等をまとめることができず、研究発表や論文等の発表が遅滞している。また、専門的知見の提供によって、本研究の方向性を若干の修正を加える必要が出てきたため、発表を見合わせている。
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Strategy for Future Research Activity |
近世と近代の史料体系が異なる点に注目して、単純に近世と近代を連続体で捉えることの問題点について専門的知見をいただいた。訓読と皇民化を副題としながらも、軽々に結びつけることはできない点を反省し、研究方針に以下の修正を加えたい。①近世史料と近代史料を分けて、それぞれの特色等を考察する。②『琉球板本六諭衍義大意』の訳注の論文化を先行させる。③現時点における知見を、学会、研究会発表によって批判的検討を加える。よって、中国福建省における現地調査は行わない。
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Report
(2 results)
Research Products
(1 results)