Project/Area Number |
21K02253
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
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Research Institution | Nara University |
Principal Investigator |
三宅 晶子 奈良大学, 文学部, 教授 (20181993)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 古典教育 / 言語文化 / 古典探究 / 古典芸能 / 能 / 古文 / 百人一首 / カルタ / 狂言 / 古典文学 / 古典文法 / 漢文 / 文語文法 / 国語教科書 |
Outline of Research at the Start |
高等学校の学習指導要領が改訂され、2022年度から施行される。新しい科目編成となり、新しい教科書が作られた。来年度から使用される。従来の古典教育の長所・短所を踏まえつつ、今後よりよい古典教育を実施していく上で、新教科書、特に「文学国語」と「古典探究」の教科書の内容を調査・分析し、改善点やより適した教材・教育法を提案することを目的としている。 何よりも、机上の空論、理想論ではなく、学校現場に於いて教師が実現可能な、現実に即した指摘を心がけたい。
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Outline of Annual Research Achievements |
新教科書の教材採用の傾向と、それを用いた授業の実態については、昨年度で今できる一応のことを分析できたので、本年度は申請者の考える近未来で活用可能、なおかつ高校生や高校教諭にとって魅力的な古典教育の方法として、実現可能な二つの事柄を中心に、研究した。 一つ目。現古典教育において非常に手薄であり、新教科書においても軽視されている、古典芸能のジャンルに関しての提案である。紙面上の文字を通じて古文を読み解き、内容を理解してその時代について学ぶという、古文で陥りがちな平面的で固定的、画一的で機械的な授業展開のために、多くの生徒達につまらないと感じさせてしまう原因となっている。古典芸能は、情報が多方面に亘り、五感を通じて感じ理解する総合舞台芸術である。人々の娯楽として楽しまれてきたものでもあり、このジャンルを楽しく学ぶことが出来れば、様々な古典世界を享受することができるので、もっと積極的に取り入れていくべきだと考えているが、その方法がなかなか難しいという欠点がある。その解決策の一つとして、「能絵」を読み解くという授業展開が考えられる。奈良大学蔵の能絵23枚の分析調査を通じて、特徴的な能の一場面が描かれている絵を用いて、能の内容理解の手助けをするという方法を提案した(古典教育デザイン研究会10/15)。またその能絵23枚それぞれの紹介と位置づけに関しての論考をまとめた(奈良大学紀要 第52号「奈良大学図書館蔵「能絵」二十三枚に関する調査報告と考察」令和6年3月)。 二つ目。和歌は古典教育の柱とも言うべきジャンルだが、現実的には生徒に人気がなく、授業が難しいと教員も考えている場合が多い。その打開策として「感じる百人一首」という取り組みを行ってきたが、その集大成として、「感じる百人一首ー奈良大生の作ったカルタ-」という冊子を作成した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は、本申請当初には念頭になかった二つの事柄について積極的に取り組んだ。それについては以下のような成果が上がっていると考えられるが、具体的な取り組み方という点では、少し方向転換したと言える。 特に文法に関しては、新旧教科書やサブテキストの調査を行ったが、ノルマが軽減される傾向にあるとはいえ、あまり変わり映えしないのが現実であろうという予測である。ではどうすれがよいのかという有効な提言を発する準備はできていない。 奈良大学蔵の能絵に関して、奈良大学図書館における展示を封切りに、一枚一枚の詳しい分析と能のどの場面の絵かの把握、他の能絵との関係などを詳しく調査した。高校の古典探究などで取り上げられている能について、このような絵から何が読み取れるかという授業方法は、生徒に興味を持たせる有効な方法の一つであると考えられる。 昨年度に続いて本年度では、長年大学の授業で手がけてきた、『百人一首』を受講生それぞれの感じ方で自由に楽しく勉強し、その成果をカルタの形で表現するという取り組みを、奈良大学の学生に限定して冊子の形でまとめることが出来た。和歌については、内容把握が難しく、どんな技法が使われているかを暗記し、内容を暗記し、歌を暗記するというような機械的で受け身的な授業が行われている場合が多いので、それに対して、文字の世界から抜け出してカルタという江戸期以来現代に至るまで盛んに行われている遊びの形に落とし込んで教育することの成果物である。これが出来たことは評価できる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度で完結する計画であったが、約2年間コロナ禍で活動できなかったので、来年度まで繰り越して研究を進める計画である。 まずは奈良大学の学生に限定してまとめた「感じる百人一首ー奈良大生の作ったカルタ-」を、それ以前に赴任していた横浜国立大学教育学部の学生にまで拡大して、百首全部に関して、大系的にまとめる予定でいる。 もう一つ昨年度の成果物で大変好評だった「奈良大生の観た狂言」で取りかかった、狂言を絵にして紹介し楽しめる冊子を作成する予定でいる。 また、本研究での基本の柱の一つである古典芸能をどのように学教教育の中で教えていくかについての取り組みについて、きっちりまとめていきたい(『学校で教えたい日本の古典文学』 仮題)。
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