Project/Area Number |
21K02275
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09010:Education-related
|
Research Institution | Kyushu Sangyo University |
Principal Investigator |
松原 岳行 九州産業大学, 国際文化学部, 教授 (10412462)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
|
Keywords | ニーチェ / 教育学説史 / 受容史 / 近代教育学 / ニーチェ主義 / 美的生活論争 / 篠原助市 / 小西重直 / 長田新 / 生の哲学 / 教育学 / 近代日本 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、現代教育学の礎を築いた近代日本の教育学者たちがニーチェ思想とどう向き合ったのかを明らかにし、両者の関係史を構造的に捉えることを狙いとする。この知られざる歴史の実態解明は、ニーチェ思想と教育学とが今後どのような関係を結べるのかを検討するために必要な分析指標や座標軸を示すことにもなり、人間の生や教育のあり方に根本的な問い直しを迫る非教育学的なニーチェ思想の教育学的意義を解明するための基礎研究ともなる。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、ニーチェ思想の教育学的意義を検討するための基礎研究として、明治期から戦後に至るまでの近代日本の教育学形成期におけるニーチェ受容史を解明し、非教育学的なニーチェの思想と教育学との関係可能性を検討するための視座の獲得を目指している。 研究3年目となる令和5年度は、ディシプリンの象徴としての教育学関係辞事典がニーチェ思想をどのように取り上げてきたのかについて検討を加えたほか、教育学におけるニーチェ受容に大きな影響を与えた明治期のニーチェ主義論争の実態解明を継続した。その結果、一般にニーチェ主義論争として認知されている美的生活論争それ自体に教育学的意味が内包されていることが新たに判明した。 なお、これらの研究成果は「明治期のニーチェ主義と教育学(2)―高山樗牛と坪内逍遙の教育的対決―」(『九州産業大学国際文化学部紀要』第82号、2023年11月、21-54頁)、「明治期のニーチェ主義と教育学(3)―ニーチェ主義者=登張竹風の教育観―」(『九州産業大学国際文化学部紀要』第83号、2024年3月、1-28頁)、「教育辞事典にみるニーチェ像の変遷―日本の教育学におけるニーチェ受容百年史―」(中国四国教育学会編『教育学研究紀要(CD-ROM版)』第69巻、2024年3月、295-300頁)において公表されている。また、ニーチェ思想と日本の教育学との関係可能性に関する受容史的検討の成果の一部は、『教育哲学事典』(項目「ニーチェ」、2023年7月、360-361頁、丸善出版)においても発表済みである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
国会図書館デジタルコレクションサイトにおいて閲覧することのできない文献を古書店で購入することができたため、従来の研究では明らかにされてこなかった新知見を解明することができた。明治期のニーチェ主義論争と教育辞事典におけるニーチェ像の変遷に関してそれぞれ論文を発表することができたのは、3年目の進捗状況としては十分に評価できると思われる。 その一方で、今後の方向性については微調整を施しつつ、研究を継続する必要が出てきた。その主な理由は、当初の想定以上に、近代日本の教育学者がニーチェ思想に対して多種多様な関わり方をしていることが明らかになったことに加え、従来もっぱら文学的な視点から検討されてきた明治期のニーチェ主義論争=美的生活論争それ自体に教育学的意味が内包されている事実が明白になってきたからである。
|
Strategy for Future Research Activity |
明治期のニーチェ主義論争が内包していた教育学的意味の解明をすすめるほか、沢柳政太郎、大瀨甚太郎、谷本富、吉田熊次ら、近代日本を代表する教育学者らのニーチェ思想に対する反応についても検討を加え、研究成果はそのつど学会口頭発表や論文のかたちで積極的に公表する。 当初の想定以上に有意義な歴史的資料が収集できていることから、科研費申請時に計画していたニーチェ思想の現代的意義を検討するコンソーシアムの形成は今後のステップと位置づけ、本研究はそのための基礎研究に徹することにする。 なお、これまでの研究成果は最終的に書籍化する方向で検討を開始する。
|