Project/Area Number |
21K02302
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09020:Sociology of education-related
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
市川 誠 立教大学, 文学部, 教授 (60308088)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
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Keywords | フィリピン / 宗教者養成 / 人の移動 / コロナ禍の教育 / 宗教 / 神学教育 / 留学 |
Outline of Research at the Start |
周辺アジア諸国からフィリピンへ移動する若いカトリックの聖職者が近年増加している。次の2点が背景にあると仮説的に考えている。①カトリックの神学教育や聖職者養成において、フィリピンが周辺アジア圏で「センター」の機能を果たすようになった。これは、同国が地域随一のカトリック国で神学教育機関が充実し、養成を必要とする聖職者を周辺国から受け入れるのに適した条件をそなえているためである。②召命(カトリックの信徒が聖職者となること)が、従来なかった国々で増加している。この聖職者移動の動態を把握し、その背景・要因を究明する。さらに、多国籍化によりフィリピンの神学教育がどのように変容・展開しているかを究明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は①養成を目的としたフィリピンへの周辺アジア諸国からの聖職者の移動の動態と②これらの聖職者を受け入れる神学校での研究・教育の様相の究明を目指すが、①では、前年度に続き、フィリピンでの COVID-19 パンデミックならびにその抑制策以降に聖職者移動の動態がどのように変わり、神学校がどのような影響をうけたかを調査した。②では、今年度から神学校の研究成果の収集に着手した。 ①について、フィリピン政府はCOVID-19感染拡大抑制策として2020年から外国人の入国を原則禁止とした。この禁止は、2022年にワクチン接種済の者の一部の国からの入国が許可されるまで約2年間続いた。これを反映し、調査対象の神学校では入学者が減少し、1校では2021-22学校年度の入学者数がパンデミック前の半分以下となった。ただし、全国でパンデミックによる高等教育機関の経営不安が指摘されていたなか、調査対象としてきた4校はいずれも現在まで存続しており、直近では入学者数は増加に転じた。一方、フィリピン入国後・神学校入学前の準備段階とされてきた外国人聖職者向け語学学校のなかには、神学校と比べ小規模で経営基盤が脆弱なものが少なくなく、うち1校が閉校していた。またフィリピンに移動してくる聖職者の所属先である修道会で調査を行うための準備作業に着手した。 ②については、聖職者の移動にともないフィリピンで「アジアの神学」の形成がみられるか否かや、(みられるとしたら)その内容を究明するため、神学校が公刊する研究成果の収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
COVID-19感染抑制策によるフィリピンへの入国制限が緩和され渡航調査が再開できる時期が当初の研究計画の想定(2021年度)より遅れた。また、聖職者移動の様相からパンデミックによる短期的影響が薄れ、本研究の対象である長期的トレンドが確認できるようになるまでなお時間を要している。調査対象の神学校においては、複数校で異動によりコンタクト・パーソンやインフォーマントがいなくなったことで調査の前提条件となるラポールが失われており、これをあらためて形成する途上にある。 そうしたなか、必ずしもラポールを前提としない、神学校が公刊する研究成果の収集を優先して行うことにした。今年度は神学校1校で、研究紀要のバックナンバーと、出版物のうちタイトル等から「アジアの神学」「宣教」に関連するとみられるもの計96冊を収集した。 また、移動する聖職者の所属先である修道会で調査を行うための準備段階として、聖職者の就学先である神学校等のスタッフに協力依頼を行い、来年度からの調査開始を見込んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年4月末時点で、フィリピンに渡航しての現地調査への制約はほぼなくなっており、パンデミック前と同様の渡航調査実施が可能と想定している。加えて、語学学校、神学校や修道院ともほぼ通常の運営にもどってきており、訪問しての調査が全面的に可能となると期待している。 その一方で、いくつかの機関ではコンタクト・パーソンの確保をまず行う必要があり、ラボールを形成して訪問調査や資料収集の許可を得ることができるかの見通しに不透明なところがあり、また実際の調査実施までに一定の時間を要することが予想される。 なかでも、あらたに複数の修道会での調査の開始を目指すが、神学校(教育機関)と比べて外部に開かれていない傾向があることから、とりわけラポール形成が課題となる。そのための方策として、これまで協力を得てきた神学校・語学学校の仲介によりアプローチすることが有効と考えており、2校のスタッフに仲介を依頼している。ただし機関ごとに許可される(可能となる)調査方法・範囲等が異なるとみられ、制約の大きい機関の場合には、公刊物(神学校の場合は研究紀要など)の収集に比重を置くなど、柔軟に対応する計画である。
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