子育て支援における保育者を中心とした多職種協働モデルの開発
Project/Area Number |
21K02347
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
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Research Institution | Tokyo Kasei Gakuin University |
Principal Investigator |
井上 清美 東京家政学院大学, 現代生活学部, 准教授 (30517305)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 聡子 東京福祉大学短期大学部, こども学科, 講師 (10734965)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,990,000 (Direct Cost: ¥2,300,000、Indirect Cost: ¥690,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 子育て支援 / 多職種 / 保育者 / 連携 / 協働 / 専門職 / 専門性 / 多職種連携・協働 / 役割開放 / 働き手要因 / 関係性要因 / 環境要因 |
Outline of Research at the Start |
近年、保育所や幼稚園では子育て支援の重要性が増し、保育者の職務や専門性の範囲は拡大している。しかし、保育者の第一義的な専門性は乳幼児の成長発達を保障することにあり、子育て支援の拡大はその職務を侵食する可能性を孕んでいる。本研究では保育者による子育て支援の業務内容や労働時間、それにともなう負担感を量的、質的に明らかにした上で、保育者を中心とした多職種協働モデルを開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
保育所および子育て支援のNPOや社会的企業を対象に、インタビュー調査を実施した。複数の保育所で保育アドバイザーとして働く保育士の語りからは、保育士と他職種の連携について明確なルールがなく、結果として、保育士による子育て支援業務の囲い込みが生じている状況が明らかになった。また、NPOや社会的企業の子育て支援従事者からは、資格を持つ専門職ではないため、自らの専門性を常に相手に表明しなければならず、独自性や固有性を強調する必要があるという語りが得られた。これらの結果より、多職種連携に求められる「役割解放」(互いの役割の境界を超えて働くことを許容すること)の内実を明らかにする必要があることが示唆された。 2021年度から開始した「子育て支援における多職種連携協働(IPW)研究会」を定期的に開催し、子育て支援における多職連携協働の課題や促進、抑制要因について議論、検討を重ねた。その成果は日本保育学会第76回大会の自主シンポジウム「子育て支援の多職種連携協働:様々な人がつながるために何が必要か」において公開した。第一報告は堀聡子氏「産前産後の支援における多職種連携」、第二報告は勝山幸氏「利用者支援事業と多職種連携」、第三報告は中谷桃子氏「サービスデザインにおける多様な当事者の共創」であり、指定討論者の中谷奈津子氏との議論から、以下の論点が析出された。第一に、多職種連携をプロセスや関係性としての問題として捉えることの有効性、第二に、多職種連携の効果は新たな社会資源の開発や、地域全体のウェルビーイングの創出にあること、第三に、支援者―被支援者という関係性で捉えるのではなく、被支援者をアクターの1人として位置付ける必要がある。今後の共通課題として、それぞれの専門職が有する独自性と代替可能性について考察することが挙げられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
1. 保育者および子育て支援の従事者に対するインタビューについては、計画通りに実施することができた。 2. 2022年度に達成すべき課題の一つは、子育て支援の多職種連携協働に携わる研究者や実践者のネットワークを構築することであったが、日本保育学会のシンポジウムやインタビュー調査を通じて、一定の成果を出すことができた。 3. 量的調査については2022年度中に実施する予定であったが、インタビュー調査によって得られた知見と照らし合わせた結果、調査設計の見直しをする必要が生じ、実施には至らなかった。計画では子育て支援の領域として、保育や幼稚園の在園児に対する支援、地域の子育て家庭に対する支援、虐待や障害など特別な配慮を要する子どもと家庭への支援の3領域全てを対象として想定していたが、とりわけ虐待対応については要保護児童対策地域協議会で児相や子ども家庭支援センターのコーディネーターとしての役割が確立され、保育者の役割は限定されていることが予想されたため、調査対象から除外して計画を立て直すこととした。調査計画については分担研究者と共同で修正を進め、さらに研究会でも情報を共有し、質問項目や調査票の作成、対象者の選定を進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
多職種連携協働の研究は依然として医療福祉分野に集中している。保育所や幼稚園で保育者が行う子育て支援や地域子育て支援の領域において、その必要性や意義が主張されてはいるものの、連携協働の内実や課題を明らかにする実証研究は見られない。 2022年度は研究計画に基づき、2つの量的調査を実施する。第一に、保育者の抱える子育て支援業務の量的把握である。在園児の家庭、地域の家庭に対する支援業務について、労働時間や負担感等を明らかにする。第二に、子育て支援における多職種連携協働の実態や連携協働の促進および阻害要因についての量的調査を行う予定である。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)