Education based on Developmental Relationships among Self-Reliance, Manipulation and Cognitive-Verbal Functions in Early Childhood
Project/Area Number |
21K02405
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
田中 真介 京都大学, 国際高等教育院, 准教授 (60201620)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 幼児期・児童期・青年期の発達 / 自己信頼性 / 社会的交流性 / 保育・療育 / 認知・言語機能 / 手指操作機能 / 新型コロナウイルス感染症 / 自閉症スペクトラム / 手指操作 / 幼児期の発達 |
Outline of Research at the Start |
発達過程で、知的な発達年齢が高いにも関わらず、自己信頼性の発達水準が幼い段階にとどまる事例が少なくない。幼少期から自己信頼性の形成が制約されることによって個別の諸機能と自己信頼性の発達とが乖離し、それが発達全体の遅滞をもたらしている可能性がある。 本研究では、障害生成の基本機構として、脳機能の問題とは異なるマクロな発達連関に焦点をあて、自己信頼性が手指操作、認知・言語機能とどのように連関しあっているかを解明する。幼児群と障害群を比較して自己信頼性の制約が個別機能の発達に与える影響を明らかにし、自分を価値づける自己信頼性と個別的諸機能の発達連関をとらえた新たな保育・療育の方法を提起する。
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Outline of Annual Research Achievements |
幼児期から児童期・青年期の発達過程で、個別の認知・言語的な機能が形成されているにも関わらず、自我・自己信頼性の発達が抑制されている場合に、その後の総合的な発達が抑制され、各種の発達上の障害が顕在化する事例が少なくない。特に自他を価値づける自己信頼性の発達と認知的な諸機能とが乖離することによって、発達全体の遅滞が誘発されている可能性がある。発達的な障害の生成の基本機構として、脳機能の問題とは異なるマクロな発達連関の機構に焦点をあてた。 … 本年度は、①保育機関の3~6歳児(幼児群)、②小・中学校の児童・生徒(児童群)を対象として横断研究と縦断観察を行い、自己信頼性と社会的交流性の発達連関の過程を検討した。さらに、③特別支援学校の幼稚部・小学部の児童を対象とした教育実践研究を行った。特に自閉性スペクトラム障害のある幼児・児童(障害群)を対象として、自己信頼性の形成を支える保育・療育実践に取り組むことを通して、具体的な教育方法と対象児童の発達的な変化との関連性を明らかにした。また、コロナ感染症の状況の中で、保育・教育の現場で自己信頼性を尊重していくためにどのような教育的対応方法が重要となるかを提起し、教育実践への導入を試みた。 … 研究成果は、おもに次の論文・学会大会及び書籍で報告した。●論文:①「幼児期における両手交互開閉操作と自己認識の関連性」応用心理学研究、②「幼児期における両手交互開閉操作の発達 ―握り圧計を用いた定量的分析方法の検討―」人間発達研究所紀要、③「幼児期・児童期・青年期の自己信頼性の発達診断と保育・療育」日本応用心理学会第88回大会、④「自己信頼性と社会的交流性の発達をとらえた保育・療育 ―自画像描画と対図形画の事例検討をもとに―」日本発達心理学会第34回大会。●書籍:①『応用心理学ハンドブック』福村出版、②「新型コロナワクチン(増補版)」CNJ。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1)自己信頼性と個別諸機能の発達の関連性を定量分析するために、手指操作での微細な圧力変動データを解析できる「握り圧計」を開発し活用した。この装置で手指操作の把握圧の波形解析を行うとともに、波形データと手指操作活動の場面の映像データを同時記録し、課題に応じた行動制御の過程を綿密に評価した。それをもとに幼児期・児童期の手指操作と自己信頼性の発達過程を考察した。 … 2)本年度は自己信頼性の発達過程の解明をもとに、保育園や小・中学校(児童群)と特別支援学校(障害群)での参与観察による教育実践研究を行い、どのような教育的・臨床的な援助が自己信頼性の発達を支えるかを具体的に検討した。自己信頼性の属性として、①時間・形成面、②空間・社会面、③価値面それぞれの特質に焦点をあてて、教育集団編成や仲間関係の調整、また保育・教育の具体的な方法を工夫してアプローチを試み、自己信頼性と社会的交流性の関連を分析して新たな教育方法の観点を提起した。特別支援学校の幼稚部・小学部の児童を対象とした教育実践では、自閉症スペクトラム特有の行動が改善され、本研究の意義を直接に確認することができた。 … 3)通常の幼児・児童に比べて、障害のある子どもたちで自己信頼性の発達が抑制されている事例が多いことが明らかとなった。そこで、新たに小・中学校の児童・生徒や特別支援学級に在籍する子どもたちを対象として、自己信頼性と社会的交流性の発達、及び精神的な健康度との関連性についてアンケート調査を実施した。 新年度も、保育園の幼児に加えて、小・中学校及び特別支援学校の児童・生徒の縦断観察を継続する。特に学力不振や登校困難に悩んでいる児童・生徒たちを対象として、自己信頼性と社会的交流性の観点からどのような新たな指導・援助が重要かを明らかにしていきたい。
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Strategy for Future Research Activity |
1)幼児期の研究…新型コロナウイルス感染症の影響のために、保育・教育の関連機関での実験・調査が容易でない状況が続いた。そのため2021年度には、個別事例の実験・観察資料をもとに、自己信頼性の発達過程を解明する基礎研究を行った。2022年度は各保育・療育機関に赴いて実験・調査を実施し、自己信頼性に揺らぎや遅れのある事例について、自己信頼性と社会的交流性の連関過程にどのような制約があるかを具体的なデータで確認できた。新年度も保育現場での研究を継続する。 … 2)児童期の研究…幼児期に加えて、児童期、思春期までを見通して、小・中学校及び特別支援学校の児童・生徒を研究対象に加えて学校訪問を行い、縦断研究を実施した。自己信頼性の発達についての研究成果に基づいた新たな援助・指導方法を実験的に教育カリキュラムに導入し、各学校での教育方法に取り入れてもらうことによって、登校困難や学力不振が改善するなどの貴重な成果が得られた。最終年度も、引き続き保育・教育の現場の協力を得て研究をまとめていきたい。 … 3)特別支援学校での研究…自己信頼性の発達的意義の理解を深めるために、発達的な障害のある幼児・児童を受け入れている小・中学校及び特別支援学校の協力を得て、継続的に授業参観と参与観察を行う。これまでの研究から、自己信頼性に焦点をあてた療育実践を通して、自閉症スペクトラム特有の行動が改善されることが明らかとなった。 新年度には、これらの成果を総合して研究報告書としてまとめ、各学校に教育方法の改善点の具体案をフィードバックするとともに、自己信頼性を尊重した新たな教育のあり方を提起していきたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(16 results)