Project/Area Number |
21K02420
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09030:Childhood and nursery/pre-school education-related
|
Research Institution | Shikoku University |
Principal Investigator |
吉村 尚美 四国大学, 看護学部, 講師 (90552117)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
兼間 和美 四国大学, 生活科学部, 講師 (40631726)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2021)
|
Budget Amount *help |
¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
|
Keywords | うつ病 / 母親 / 子育て力 / レジリエンス |
Outline of Research at the Start |
児童虐待に関する相談件数は増加の一途をたどり,児童虐待死亡事例では,精神疾患・精神不安定傾向の母親が加害者となるケースが半数以上占めている.本研究は,児童虐待予防の観点から,支援困難者となる傾向があるうつ病及びうつ傾向の母親が持つ,子育ての回復過程における力をレジリエンスの視点から捉え,その時期ごとのレジリエンス時期尺度を開発することである.
|
Outline of Annual Research Achievements |
この研究では、「うつ病及びうつ傾向で子育てをする母親の心理過程」において、特徴的なレジリエンス項目で構成される「子育てレジリエンス時期尺度」を作成し、その妥当性と信頼性を検証する計画である。本尺度により、子育て支援において支援困難となりがちなうつ病及びうつ傾向で子育てをしている母親の心理過程(レジリエンスの過程・能力・結果)における、子育て困難な状況から再適応までの時期を把握し、その時期ごとの関連要因をレジリエンスとの関係から明確にする。また、母親の心理過程の時期に応じた、レジリエンスに焦点を当てた支援のあり方の検討を行うことにも繋がり、児童虐待防止に大きく貢献することを目的とした。 うつ病事例の母親が語る子育ての心理過程は、「適応努力期」「情緒不安定期」「息切れ(うつ)期」「認知の修正期」「再適応期」の5つである。「適応努力期」はうまくいかない子育てに対し繰り返し、その状況に対して努力をする時期である。うつ病の発症から困難な状況に暴露され、閉塞的思考となる「情緒不安定期」では、子育てへの強迫観念思考(しなければならない)が繰り返され、抑うつ傾向が高まる。療養中の母親は、怒りを子どもに向け、子どもに当たることから[自己への嫌悪]を抱くが、この時母親は、対処方法が分からない状況下にいる。その後、「息切れ(うつ)期」で[うつ]の表出から変化が始まり、「認知の修正期」では、養育困難な状況を乗り越えた母親が新たに獲得した認知の修正力で、強迫的思考を修正することで、「再適応期」へと至り困難を受入れ前向きな子育てが実現する。 この過程を詳細に分析し、母親が持つ認知の修正力を軸に、受容と安心と自信を取り戻していく過程において、母親の内面や対人環境への働きかけの様子を、特徴的なレジリエンス項目として概念枠組みの作成研究に取り組んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
厚生労働省の報告では、令和2年度に保護者から虐待を受けたとして、児童相談所が対処した件数は、20万5千件以上に上り、過去最多を更新した。児童虐待に関する児童相談所の相談経路別件数では、警察などからの通告が増えて10万3619件(50.5%)となり、最も多くなった。一方で新型コロナウイルスの感染拡大で休校や休園が相次いだ学校や保育所、それに幼稚園、自治体の福祉事務所、医療機関などからの通告はいずれも減少した。 児童虐待等に関する発生年齢は、圧倒的に乳児期が多ことに変わりなく、うつ病及びうつ傾向の母親のレジリエンスに関する研究において、保育所、子育て支援センターを中心に、対象者に尺度原案の作成に取り組む予定であった。令和3年度は、休園等になる機会も多く、感染症という不確定な要素から、尺度の原案作成の取組が困難となった。児童虐待において、0か月の報告例が多いことも鑑み、令和4年度は、乳児全戸訪問事業等の保護者にも対象を広げ、継続して研究に取り組むこととする。
|
Strategy for Future Research Activity |
具体的計画の変更として、令和4年度は、うつ病及びうつ傾向で子育てをする母親の心理過程の研究をもとに、「適応努力期」「情緒不安定期」「息切れ(うつ)期」「認知修正期」「再適応期」の各時期の子育てレジリエンス因子の分析・検討と、関連する先行研究の文献検討をあわせて、うつ病及びうつ傾向で子育てをする母親のもつレジリエンスと時期による特徴について概念枠組みの構築を完成させる。その後、質的機能的研究結果と、既存文献をもとに、尺度項目の作成、尺度化とレイアウトを継続し、専門家による内容妥当性の検証を経て、子育てレジリエンス時期尺度(原案)を作成する。 その後、県内の保育所、子育て支援センターを利用中の母親に加えて、乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)の対象者である母親を対象に、子育てレジリエンス時期尺度(原案)を用いて予備調査を実施し、その結果をもとに尺度の質問項目を選定し、本調査版の作成及び信頼性・妥当性の検証を行う。うつ病及びうつ傾向の判定には、うつ性自己評価尺度などを利用する予定である。 本調査では、全国の保育所、子育て支援センター等を利用している母親及び乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)の対象者である母親を無作為抽出し、レジリエンス時期尺度(本調査版)を用いた調査を行い、うつ病及びうつ傾向の母親の子育てレジリエンス時期尺度(完成版)の作成と信頼性・妥当性の検証を行う。 3年目は、本調査によって明らかになった結果をもとに考察し、専門職者(保育士、保健師、児童虐待専門等有識者)に結果の報告を行い、学会発表などを通して得られた意見も踏まえ、うつ病やうつ傾向にある母親に対するレジリエンスに焦点を当てた子育て支援のあり方について検討を行う。
|