多文化・多民族化社会における倫理観・法的課題解決力の育成に関するカリキュラム開発
Project/Area Number |
21K02439
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
|
Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
鈴木 正行 香川大学, 教育学部, 教授 (90758856)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
|
Keywords | 多文化・多民族化社会 / 社会進化論 / 優勝劣敗 / 定時制課程 / 倫理観 / 法的課題解決能力 / カリキュラム開発 / 多文化・多民族化 / 希望 / 法的解決力 |
Outline of Research at the Start |
グローバル化の下で,世界は共生・統合と排除・分断のせめぎ合いが続いている。日本では改正入管法が施行され,2019年末には在留外国人数が290万人を超え,非正規労働者など経済的に不安定な社会層の固定と排除・分断の深刻化が危惧される。多文化・多民族化が進行し,多様な人々によって構成される日本社会は,内部に大きな不安定要素を抱えることになる。本研究では,生活・職業倫理の形成に加え,法規範意識,法的知識・法的解課題決力,共生観・統合観を育成し,「希望」を再生する中等教育の総合的カリキュラムを開発するとともに,具体的手段となる副読本を作成し,授業実践によりその有効性の検証を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のテーマ「多文化・多民族化社会における倫理観・法的課題解決力の育成に関するカリキュラム開発」を遂行する上で,当該年度は以下の二つのアプローチを行った。 一つ目は,近代日本社会における社会進化論的思考の受容に関する歴史学的アプローチである。競争社会に生きる私たちの意識の中には,社会ダーウィニズム的思考が存在している。グローバル化により多文化・多民族化が進行する日本において,学習者の共生観・統合観の育成は,社会の維持・発展にとって必要不可欠である。近代社会成立期の日本では,社会ダーウィニズムは「優勝劣敗」の語で表象されていた。「優勝劣敗」は,排除の論理に通じており,共生観とは相容れない概念である。社会ダーウィニズム的思考の克服に向けたカリキュラムの開発は,社会科教育にとって重要な課題である。そこで,カリキュラム開発の基礎的研究として,静岡県磐田市の地域調査をもとに,明治期の報徳運動と耕地整理事業を推進した人物(老農鈴木浦八)の思想と行動の分析を通して,「優良劣敗」の観念が民衆に受容されていった過程を明らかにした。 二つ目は,高等学校定時制課程に関する調査である。学校教育制度の中で,定時制課程は社会や産業構造の変化が最も反映しやすい場所である。定時制課程は,高度経済成長期に,中学校卒業者による若年労働力の供給源としての役割を担った。とくに繊維産業の盛んな地域においては,女子労働力の確保のために昼間定時制課程が創設された。しかし,繊維産業の衰退とともに,閉鎖されたり,総合学科への移行や合併が行われたりした。さらに,1990年の入管法改正以降,外国人労働者の増加に伴い,その子女の受け入れ先にもなった。本研究では,静岡県立磐田南高等学校の協力を得て,同校の定時制課程の変遷を調査し,その成果を「定時制課程のあゆみ」(『見付中磐田南高百年史』)に記した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナウイルス感染拡大の影響を受けて2年間延長した前研究(17K04869)と並行して研究を行ったため,当初の計画から約1年間の遅れが生じた。これまでに,前研究の課題と重なる若者の意識について,総理府による「H30我が国と諸外国の若者の意識に関する調査」や香川大学の学生を対象に行ったアンケート調査のデータをもとに,日本や諸外国の若者の社会観,職業観,倫理観,外国観などについて整理した。 本研究を遂行するためのサブアプローチである,①定時制課程の実態を調査し「希望」の再生を保障するカリキュラムを開発する,②日本人の意識にある倫理観,共生観,社会進化論的思考の構築性を歴史的文脈から明らかにし,共生観と対立する優勝劣敗の観念を克服する,という二つの方法については,基礎的な研究はできたものの具体的なカリキュラム開発に至ることができなかった。 現在,法的課題解決力の育成に向けて,法律による解決の必要な社会問題に関する調査と文献の収集を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
基礎調査を継続するとともに,法教育,キャリア教育・倫理教育の視点による総合的カリキュラム開発及び副読本の作成を行う。カリキュラム開発では,法規範意識・法的知識・法的解決能力,生活・職業倫理,進路・職業選択に関する内容を扱う。副読本の内容は,主に法的な対応を必要とする社会事象を対象として,具体的な問題解決の方法を取り上げる。教材開発や副読本の作成にあたっては,香川県弁護士会所属弁護士の協力を仰いで,合理性・実証性の高いものとしたい。開発したカリキュラムや副読本については,授業実践による検証を行いたい。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)