Project/Area Number |
21K02458
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
藤林 紀枝 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (20238603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高清水 康博 新潟大学, 人文社会科学系, 准教授 (10446370)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 防災教育 / 津波 / 地震 / 火山噴火 / 大地の変動 / 教員養成 / 地学教育 / 火山性地すべり / マグマ水蒸気爆発 / 歴史地震 / 津波堆積物 / 自然情報情報データベース / ICT |
Outline of Research at the Start |
自然現象と防災についての科学リテラシーを教員が正しく身につけること重要であり,教員養成課程における防災教育プロセスの開発は,地学分野の現代的課題である.そのため,災害に関わる地形や自然現象を,視覚的かつ3次元的に,またグローバルな視点から理解させるGIGAスクール時代に最適化した授業内容を開発する.まずは自然情報データベース(google earth,オンライン地形図,Hi-net, K-netなどの地震でデータベースなど)を利用したICT活用授業を開発し,それらを身近な自然教材と組み合わせて,災害発生の危険予知と避難行動を含む一連の防災教育として,理科の教員養成に位置付ける計画である.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,a) 防災教育の観点から小・中学校理科の地学分野「流水の働き」,「土地のつくり」および「大地の変動」の学術的基盤の再整備を行い,その上でb) GIGAスクール時代に最適化したオンラインでのリアルタイム自然情報または情報データベースの活用,c) 身近な自然素材の活用,およびd) 災害発生(水害,火山災害,地震災害)の危険予知と避難行動の4点からなる一連の防災教育プロセスの構築を目指している。本年度は,新潟市西区新通地区においてジオスライサーを用いた地質試料を採取し地層の性状についての科学的な検討をした上で,剥ぎ取り標本を作製した(目的a, c, d)。作成した標本試料は令和6年能登半島地震による液状化現象に伴う噴砂で,身近な自然素材を活用した「活きた自然災害痕跡の教材」として重要である。新潟市においては60年ぶりに発生した液状化であり,この痕跡を剥ぎ取り試料として作製することに成功した。この教材による授業は令和6年度の地学実験で予定している。また,昨年度に引き続く,新潟市内のI中学校での津波防災に関わる防災授業実践(2コマ×4クラス)では(目的b, d),前回開発した水路実験装置について,津波の物理特性をよく再現できる造波装置の改良を行った。火山災害については,新潟市の南部の中期中新世角田山火山岩類を調査研究し,火山性海底地滑りを発生源とする海底土石流・混濁流の地層の特徴を明らかにした。海底地滑りの滑り面は軽石質火山礫凝灰岩層で,顕微鏡観察と密度測定,軽石の分析を行うことにより,デイサイト組成の軽石質火山礫凝灰岩層が一旦堆積した後の混濁流の発生により,密度の大きい石質火山礫と剪断破砕で細粒になった凝灰質の基質に富む下部層とリップアップクラストに富む上部の層が形成されたことを明らかにした。デイサイト質の火山活動時期に起きる水域火山の崩壊現象として教材を開発中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2023年度は,令和6年度能登半島地震の発生を受けて緊急の災害調査を実施し,強振動,津波,および液状化現象の基盤資料の収集に努めた。その上で,新潟市西区において実施した地震に伴なう液状化による噴砂堆積物の教材標本の作製に成功した。噴砂堆積物は災害発生直後にしか観察,採取することはできないため,今回の成果は将来の日本の理科教育にとって重要な貢献をする可能性がある.また実験水路による波浪実験については昨年度の装置を改良した上で予定通りに進めた。また,PC環境を活用した「GIGAスクール時代に最適化したオンラインでのリアルタイム自然情報または情報データベースの活用」の授業を,今年度もHi-net・K-net地震データベース(防災科学研究所)を活用して行った。2022年度のアンケート調査から大学生でも平面的な震央分布図を3次元的視点から理解していないという実態がわかっているが,Hi-net・K-net地震データベースの活用により,プレート境界型地震と内陸型地震の震源分布を3次元的に理解させるための授業が有効であることが今年度の事後アンケートからもわかった。さらに,「身近な自然素材の活用」,および「災害発生(水害,火山災害,地震災害)の危険予知と避難行動」に繋げる予定の新潟市の南部に分布する中期中新世角田山火山岩類において,火山性の海底地滑りとマグマ水蒸気爆発を発生源とする海底土石流については、今年度は特に海底地滑りの発生源と地滑り面となった地層がデイサイト組成の軽石質火山礫凝灰岩凝灰岩であること,その火山活動史におけるマグマの性質の変化との関わりを明らかにできた。しかし,その成果の公表と教材化が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
調査研究の成果の公表に向けた取り組みを引き続き行う。加えて,2023年度に作成した地層剥ぎ取り標本や実験水路を用いた波浪実験(津波を含む)を活用した防災教育の実践を実施していきたい。また,令和6年能登半島地震では,地震に伴なう多様な自然災害が発生した。この自然災害の実像を丁寧に把握するとともに科学的な意味づけをした上で,如何に理科教材へと昇華することができるのかを検討する。また遅れている「土地のつくり」と「大地の変動」の教材として身近な地域素材である角田地域の火山性地滑りの教材化を行うとともに,海底火山の噴火に伴う地滑りと土石流発生の学習教材の作成を行う予定である。
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