小学校教員の負担軽減と生徒の主体的な化学実験への取り組みを実現する新規教材の開発
Project/Area Number |
21K02520
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
種田 将嗣 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (90599656)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安積 典子 大阪教育大学, 教育学部, 講師 (50200829)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 化学実験 / オンデマンド実験 / 基本操作 / プラスチック製実験器具 / 教員研修 / 令和の日本型教育 / 小学校理科 / 安全教育 / オンライン実験 / プラスチック器具 / 基本操作法 / デジタル教材 / 教材開発 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、小学校理科でとりあつかう化学実験を、生徒が指導要領に沿った知識、実験操作を十分に学ぶことができ、かつ安全に実施することができるように改変した器具のセットである「化学実験道具箱」と、これを使用できる単元と器具に応じた実験手法を教員に示すデジタル教材を開発することである。この教材により教員は、化学実験による負担を大きく軽減でき、傍らに専門家がいて助言を受けているかのように予備実験に取り組むことが可能となる。また、危険性を排除した実験系とすることで、生徒は主体的に器具を取り扱うことができ、より深く理科を学ぶことができる。
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Outline of Annual Research Achievements |
小学校教員を対象とした、令和の日本型教育に対応した新しい形の教員研修に用いることを目指した、食塩の溶解による水溶液の体積変化を題材とした、実験器具の正しい取り扱い方を修得するためのオンデマンド化学実験教材を開発した。使用する実験器具はプラスチック製のビーカー、駒込ピペット、メスシリンダー、台所用簡易電子天秤であり、使用する薬品は食塩である。これら一式をトートバッグに入れて被験者に配布した。合わせて実験の指示を書いたものを紙媒体で配布し、実験の説明動画のリンクを二次元バーコードで添付することで、動画による説明を視聴可能とした。実験終了後に実験器具の使い方に関する理解度を測るための課題を設置した。このオンデマンド教材を用いて、大阪教育大学の学生を被験者として実験を実施した。理解度調査により、多くの被験者が実験終了後もメスシリンダー、駒込ピペットの使い方を正しく理解できていないにもかかわらず、課題の難易度については簡単だったという回答をしていることが明らかになった。この結果から、教員の養成に関する実験を学ぶ際に多くの学生が、実験を遂行するということのみに重きを置き、実験器具の正しい使い方を修得するということに対しての意識が低いということが示唆された。以上の成果を日本化学会第103春季年会、および大阪教育大学第11回附属学校園教員と大学教員との研究交流会で講演した。 また、物質の光分解を視覚的に理解できる教材の開発の一環で、メチルイエロー溶液の色調変化を利用したハロアルカンの光分解反応の可視化について、国際会議で講演した。 児童生徒が理科実験に興味を持つようになることを目的として、令和4年度大阪教育大学公開講座で小中学生向けの実験を4種実施し、その内容を電子書籍として掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
オンデマンド化学実験を、教員養成系大学学生を被験者として実施することができており、この点について進捗状況はおおむね順調に進行しているということができる。学会の講演を聴講して調査を行ったところ、化学実験を本研究のように完全な非対面式で実施できたという実例はいまだ少ない。教員が不足しているという報道が絶えず、特に小学校教員の負担が大きい昨今では、本研究のような教材開発研究ですら現職の学校教員に協力を仰ぐことが難しいため、この点に関しての進捗は想定よりもやや遅れをとっている。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウィルスの感染症法上の位置づけが5類に移行したことを受け、教育の手法をコロナ以前に戻そうとしている現場が多い中、令和の日本型教育の実現を見据えて非対面式化学実験の開発を引き続き推進していく。 2022年度に開発したオンデマンド実験教材の改良を行い、受講者が実験器具の正しい基本操作法を身に着ける必要性を理解したうえで、修得すべき知識、技術を吸収することができるようなものへと昇華したものを開発して、モニター調査を実施する。大阪教育大学の付属小学校と連携して、現職教員にもモニター調査を実施する。加えて、プラスチック製実験器具で実施可能な化学分野の実験を調査し、オンデマンド化学実験のバリエーションをさらに増やす。 2021年度の研究で、小学校教育においては非対面式で実験に限らず授業を実施することは、ウェブへの接続が問題点となり実施が困難であるということが浮き彫りになったが、化学分野及び教育の分野以外で解決されるべきこの問題点が技術的に解消された場合を想定して、小学校理科に展開できるオンライン実験教材、オンデマンド実験教材の開発を行う。 児童生徒でも安全に取り扱うことができる、汎用性が高い実験器具を取りそろえた、主体的な学びを実現するための実験キットである「化学実験道具箱」の開発を行う。
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Report
(2 results)
Research Products
(14 results)