中学校数学科教師の「内在する授業力」を顕在化させる授業改善モデルの開発
Project/Area Number |
21K02537
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Hokkaido University of Education |
Principal Investigator |
谷地元 直樹 北海道教育大学, 教育学部, 教授 (00826927)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
二宮 裕之 埼玉大学, 教育学部, 教授 (40335881)
近藤 裕 奈良教育大学, 数学教育講座, 教授 (80551035)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 授業準備 / 授業準備する力 / 授業力 / 数学教師 / 中学校数学科 / 授業改善 / 問題解決の授業 / 授業研究 / 数学教育 / 同一授業 / 内在する授業力 / 授業改善モデル |
Outline of Research at the Start |
数学における教授行為に関して,授業において観察可能な「表出する授業力」だけではなく,教師に「内在する授業力」の差異が,授業の良し悪しに影響している。しかし,教師に「内在する授業力」は十分に明らかにされておらず「よい授業」の内包が明確にされないことにより,国際社会への「日本のよい授業」のアピールや,新旧世代の「よい授業」の継承・共有を困難にする要因となっている。 本研究の目的は,中学校数学科教師の「内在する授業力」を顕在化させることを通して,授業改善を図るモデルを開発することである。また,それに基づく具体的な実践事例の収集,検討を通して,「よい授業」の内包の一部を明示することである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,中学校数学科教師に内在する「授業力」を明らかにし,授業改善に取り組むための「授業改善モデル」の開発を行うことを目的としている。特に,教師の「授業準備する力」を授業力の一部と捉え,数学教師の職能成長や実践指導力を身に付けるための「授業準備」のあり方について検討を進めている。授業での教授行為は,学習指導法の枠内に収まる取組が共通して行われている一方で,授業準備は各教師の裁量で実施されていることが確認されている。成果としては,教師が授業準備の重要性への気づきを得ること,そして授業準備を変えることが授業力の形成と向上の方策となり得ること,また中学校数学科教師の授業力は,「授業準備する力」に依存することが一定程度示唆された。3年次研究の主な成果は次の通りである。 (1)「授業準備」の内容と方法に関わる調査 数学科教員の授業準備の具体を明らかにすることを目的とした現場教員への調査では,「授業準備は1時間分を単発的に行うだけではなく,単元を構想しながら行う傾向にある」「授業準備で使用するものや明確にする内容に相違点は少ないが,経験年数によって授業準備で重視するものには違いがある」ことが確認された。さらに,授業力があると周りから評価されている教員へのインタビューの分析からは,目標,課題,問題のつながりを検討していることが特徴的であることが確認された。 (2)「授業準備」の違いによる生徒の理解状況の変容分析 同一指導場面を対象とした授業分析からは,授業準備の違いにより生徒の理解状況の促進に明確な差が生じたことが確認された。また,授業準備で使用するものや授業構想に違いがないが,予想される生徒の反応を想像して指導案等に発問・留意点を明記したことに違いがあることが明らかとなった。事後調査からは,授業準備を変容させた結果,生徒の理解状況が促進することを教師自身が授業前に自覚していたことがわかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3年次計画では,本研究の代表者・分担者の当該地区となる3つの地域で研究グループを計画し,各地区での授業実践並びにインタビュー調査を実施する計画であった。しかし,コロナ禍の影響も残っており,北海道地区,埼玉地区のみでの授業研究会を開催することに留まっている。研究会は対面での取組が実現できているため,4年目以降の研究の方針と計画の修正を図ることができている。 本研究を効率的に推進するために,オンラインで研究代表者・分担者打合せを3ケ月に1度ほど実施することができている。また,mail会議を定期的に実施したり,学会発表を実施したりするなどの理由から,進捗状況はおおむね順調に進展していると判断した。 北海道地区の実践的研究の取組としては,「授業準備」に関わる授業提供並びにインタビュー調査を3名の教師に行うことで,データの収集・分析を行う状況が整っている。なお,調査を実施した時期的な問題から,研究計画とは異なる領域での授業実践となった。今度の計画の修正によって,4年間で全領域を網羅できるものと考えている。さらに,研究分担者らとアメリカの研究者とのインターネット会議にも定期的に参画することで,それぞれの国の研究者コミュニティーの中では見いだすことが難しい暗黙裡に内在する「授業力」についても検討を行うことができている。
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Strategy for Future Research Activity |
4年度計画については,「授業準備」の違いに焦点化した研究を計画しており,学習指導法,数学科の専門性,さらには教師教育の三方面から中学校数学科教師の「授業準備する力」を検討する。具体的には,北海道地区での合同授業研究会を前期に,関西地区での合同授業研究会を後期に実施する予定である。対象となる領域としては,関数領域(1次関数等)と図形(論証指導)を計画している。この研究会の手法は次の通りとする。 ・「授業準備する力」に議論を焦点化するために,事前検討会を設定し,授業者の授業準備の意図や授業観などの詳細を明らかにする。 ・授業準備による生徒の理解状況の変容を明らかにするために,同一指導場面における授業を2つ参観する(一度目は映像視聴,二度目は対面参観) 次に,これまでの調査結果や授業分析をもとに,中学校数学科教師の職能成長として「授業準備する力」を身に付けるための「授業準備モデル」を検討する。また,授業協力者に本モデルを適用することで,「授業改善モデル」の開発に接続していく。その再分析・再考察を踏まえて,学会発表などを通して,本研究の成果を日本国内の中学校数学科教師に広く発信する予定である。 対面での研究会の開催やオンライン会議システムを活用しながら,授業検討や授業視聴,研究協議など,可能な方法を模索しながら進めて行く方向である。
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Report
(3 results)
Research Products
(34 results)
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[Book] 明治図書2022
Author(s)
國宗進・水谷尚人・山崎浩二
Total Pages
174
Publisher
算数・数学科 小中連携の新しい図形指導
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