生徒の多様性尊重の学習共同体を組織する国語科教師の学習指導観変容プロセスの解明
Project/Area Number |
21K02575
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09040:Education on school subjects and primary/secondary education-related
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
丸山 範高 和歌山大学, 教育学部, 教授 (50412325)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,770,000 (Direct Cost: ¥2,900,000、Indirect Cost: ¥870,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 国語科教師の語り / 外国につながる生徒 / 生徒の言語と文化の多様性尊重 / ナラティヴ・アプローチ / アクション・リサーチ / 国語科教師 / 教師の語り / 国際バカロレア / 教師の学習 / 文学教育 / 教師の信念 / 文学の解釈の多様性 / 国語科授業 / 文化的多様性 / 文学作品の読みの交流 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、文化的背景の多様な生徒同士が相互主体的に交流する国語科授業を組織する教師の学習指導観の変容プロセスの解明である。そこで、日本語が母語でない生徒や帰国子女を学習指導する教師のうち、文学作品の多様な読みを尊重し合う学習共同体を組織する教師を対象に、実地調査(授業観察・インタビュー)を行う。調査を通じて、教師の現在の学習指導観と、その学習指導観が形成されるプロセスを明らかにする。教師は、生徒が抱えることばの学習に関わる課題をどう表象し、その対処に際してどんな葛藤が生じ、それ以前の学習指導観はどう相対化(転換・修正等の具体的様相)されたのかを解明するのである。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究実績は、①前年度の研究調査結果を分析・考察し全国規模学会で口頭発表したこと、②外国につながる生徒を学習指導する高校国語科教師対象の現地対面調査を前年度に引き続き新規協力者を含めて実施したこと、③前年度調査から得られた国語科教師の専門的知見を批判的に継承しながら別の高校教師を協力者としながら外部評価としてのアクション・リサーチを行ったこと、の3点に集約される。 ①学会発表::外国につながる生徒を学習指導する高校国語科教師の経験的知見について、複数の教師たちの語りに共通する要素の分析・考察結果を学会口頭発表した。教師たちの経験内容の概要は、生徒たちが抱える特徴的な課題と発達可能性の両側面を見取り、かつ、教材理解の到達点を見据えつつ、生徒たちの言語抵抗を低減させるための教材翻訳を試み、理解を広げ深めるための交流活動を組織する、と要約できる。 ②現地対面調査::外国につながる生徒を学習指導する高校国語科教師対象の現地調査(授業観察・インタビュー調査)を実施した。調査は前年度協力者に加え、新規協力者を含めて実施した。授業観察では、教師のどのような働きかけ(教材提示・発問・指示・説明など)が生徒のどんな言葉の学びに結実しているかという授業の事実の把握に努めた。また、インタビュー調査は半構造化インタビューとして行い、言葉の学習の目指すべき内容とそれに至る学習指導プロセス、特徴的な生徒に関わる学びのエピソードなどを聞き取り、それぞれの教師が持つ国語科の学習指導観の解明を試みた。 ③外部評価としてのアクション・リサーチ::文学教材の読みの学習において、教師の意図する解釈への収束ではなく生徒による解釈の主体的構築を理想とする国語科教師を新たに協力者に加え、外国につながる生徒や国際バカロレア・ディプロマ・プログラムに関わる教師の知見の有効性と限界について外部評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題は、当初、2023年度を最終年度とする計画であったが、延長申請を行い、2024年度まで継続することとなったからである。遅延の最大の原因は、研究初年度に新型コロナウィルス感染拡大により、学校現場での授業観察が制限され、事例調査数を確保することができなかったことによる。行動制限解除後は調査事例数を増やしてきたが、質的研究に位置づけられる本研究では、調査データ相互の分析・考察に時間を要し、研究成果の学術的妥当性を高めるためにも研究期間を1年延長した方が適切であると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度となる2024年度は、過年度の調査データの妥当性を高めるために同一の研究協力者を対象とする現地対面調査(授業観察・インタビュー)を再度実施する。調査によって得られたデータは、すべて文字化し、過年度のデータと照合させつつ、実践経験をベースとした国語科教師の専門的知見の広がりを概念化する予定である。さらに、言語的・文化的に多様な背景を持つ生徒の学習指導という特殊な経験により得られた教師の専門的知見を教師以外の専門家の経験的知見と比較し、その固有性と共通性を考察する予定である。
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Report
(3 results)
Research Products
(2 results)