多死社会を支える「終末期の話し合い」の卒前医学教育プログラム構築
Project/Area Number |
21K02631
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09050:Tertiary education-related
|
Research Institution | Shiga University of Medical Science |
Principal Investigator |
山木 照子 滋賀医科大学, 医学部, 客員助教 (50806750)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉下 美保子 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (20378079)
石木 学 富山大学, 学術研究部教育研究推進系, 准教授 (10422627)
名嘉地 めぐみ 琉球大学, 医学部, 講師 (60632015)
工藤 直志 旭川医科大学, 医学部, 講師 (30711907)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
|
Keywords | 医療者教育 / 人生の最終段階における医療・ケア / End-of-Life discussion / 学習者中心の教育 / 倫理観・死生観 |
Outline of Research at the Start |
多死社会の到来により、日本において、終末期の治療の目標や過ごし方について話し合う「終末期の話し合い」の重要性が増している。教育プログラムの一層の充実が求められる一方、「終末期の話し合い」は、話し合いに伴う心理的負荷、死に関する価値観の影響など特有の難しさがある。 本研究では、「終末期の話し合い」に関わる医学生の準備性、倫理観・死生観、学びの過程に注目し、「終末期の話し合い」を体験学習する学習者主体の卒前医学教育プログラムを構築し、評価を行う。
|
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、学習者にとっての特有の難しさに対応した効果的な「終末期の話し合い」(End-of-Life discussion: EOLd)の卒前医学教育プログラムの要件を明らかにすることを目的とする。コンピテンシーの設定、EOLdに関わる医学生の学びについての把握、トライアル授業の設計、実施と評価によりEOLdの卒前医学教育プログラムを構築し、その要件を明らかにする。2022年度は、教育プログラム構築のための研究を下記の通り実施した。
1)コンピテンシーの設定:医学生が卒業時までに習得すべき必須の学修目標等を示した医学教育モデル・コア・カリキュラムが2022年度に改訂され、本研究課題で取り組む「終末期の話し合い」を事前に繰り返し行うプロセスであるアドバンス・ケア・プランニングについて理解することが医学生の学修目標となった。この改訂を受け、研修医に調査協力を依頼するアンケート調査票のすべての調査項目の内容を、改訂前後の対応を把握した上で医学教育モデル・コア・カリキュラム(令和4年度改訂版)と照らし合わせ再検討した。 2)医学生の学びについての把握:低学年・中学年・高学年医学生へのアンケート調査、および高学年医学生へのインタビュー調査を実施し、学習方略検討のための示唆を得た。調査により医学生のEOLdに関する考え、準備性、死生観、学びの過程に関するデータを取得し分析した。EOLdに関する考えに有効回答を得た中学年学生111名のデータ分析の結果、医学部の授業や実習で終末期患者とかかわった経験が有る学生(24%)が、Knowlesが提唱した成人学習者の特徴を示す考えをもつことが示唆された。中学年と高学年学生のEOLdに関する考えについて、学会発表および決定した発表準備を行った。 3)トライアル授業の設計、実施と評価:ロールプレイにおける模擬患者への協力依頼などの実施に必要な準備を進めた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
EOLdに関わる医学生の学びについての把握に関しては、当初の計画よりも多くの大学で調査実施機会の確保に協力を頂き、医学生へのアンケート調査およびインタビュー調査によりデータを取得し、分析を進めることができている。2021年度より調査準備を行ってきた2つの大学に加え、さらに1つの大学で調査実施に協力を得た。スケジュールとしても、2021年度と2022年度に予定していた調査をおおよそ実施することができた。 研修医と指導医に調査協力を依頼するコンピテンシーの設定に関しては、2022年度にも多大となった新型コロナウィルス感染症の影響、および調査票の調査項目再検討に時間を要し、データ取得が計画通りにできていない。 トライアル授業の設計、実施と評価に関しては、模擬患者への協力依頼などのトライアル授業実施に向け必要な準備を進めている。 以上より、2022年度の進捗はやや遅れていると判断した。
|
Strategy for Future Research Activity |
コンピテンシー設定のためのデータの取得・分析と並行し、医学生の学びについての総合考察、トライアル授業の設計、授業実施と評価に向けての準備を進める。 トライアル授業の内容等についての最終的な決定はコンピテンシー設定後に行うが、コンピテンシー設定後必要に応じて修正し、直ちに使用できるよう授業進行表や評価表の暫定版を予め作成する。模擬患者との打ち合わせやトレーニング、機材手配などの授業実施と評価に必要な準備も、コンピテンシー設定に先立ち進める。 学会発表や学術雑誌への投稿による研究成果の公表も、積極的に行う。 本研究の成果により、2022年度の医学教育モデル・コア・カリキュラム改訂により医学生の学修目標となったアドバンス・ケア・プランニングの教育方略について検討する際にも有用となる基礎資料を得られることが期待される。ただ、特定の学年、研修年数の医学生、研修医に、特定の時期に調査協力を依頼する本研究の3年間の研究期間において1年度の研究調査開始遅れの影響は大きく、とくにコンピテンシー設定について遅れを取り戻しきれていない。コンピテンシー設定について研究方法を再検討し、研究期間内に研究完了できるよう鋭意取り組みながら、可能な限りEOLdに関する医学生の学びについて考察を深め、提案を行っていきたいと考える。
|
Report
(2 results)
Research Products
(3 results)