Project/Area Number |
21K02710
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09060:Special needs education-related
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Research Institution | Tokyo Metropolitan University |
Principal Investigator |
河合 隆平 東京都立大学, 人文科学研究科, 准教授 (40422654)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 障害児の教育権 / 運動 / ジェンダー / 障害をもつ子どものグループ連絡会 / 障害児教育 / 東京都 / 全員就学 / 高度成長期 / 教育運動 |
Outline of Research at the Start |
高度成長期における「障害児の教育」を「運動」と「ジェンダー」の視点から相対化し、「障害児の教育」を保障する仕組みとその社会的基盤の形成過程を明らかにする。「障害児の教育」とは、狭義の学校教育だけではなく、就学前の保育、家族が行う育児も含めて障害児の発達を助成する実践の総体を表す。高度成長期の生活や福祉のなかに埋め込まれた「障害児の教育」の実践や理論を加工・媒介しながら学校教育が形成される過程に即して、高度成長期の「障害児の教育」の社会的基盤と歴史的条件を検証する。高度成長期の東京における障害児の教育・保育運動を束ねた「障害をもつ子どものグループ連絡会」を中心に運動・実践・政策の展開をおさえる。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、高度成長期における「障害児の教育」の仕組みを「運動」と「ジェンダー」の視点から相対化し、障害児教育を保障する仕組みとその社会的基盤の形成過程の検証を目的とする。そのために、東京を対象地域として三つの研究課題を設定した。①地域における障害児の教育をめぐる運動の統合的把握、②障害児の教育を社会化する論理の発見と共有の過程の分析、③障害児の教育をめぐる社会意識とジェンダー規範の分析。研究最終年にあたる本年度は③の分析を中心に研究成果のまとめを行なった。 1960年代後半から1970年代にかけて不就学実態調査をもとにした教育権保障運動が広がった。1974年に希望者全員就学を実現させた東京都では、文京区において1971年に「文京区心身障害児実態調査委員会」が組織され、親、教師、学生、研究者、医師などが参加した。母親たちは、今まで出会わなかった親と話し合い、つながりを広げることが運動に参加する母親たちの主体性を喚起した。そして、教育権の剥奪が生存権の破壊につながる権利侵害の構造を見分け、自主的なグループ保育や学生ボランティアなど、母親や家族以外の人間関係を形成することでわが子が発達する事実を通して、自らの教育要求の正当性を確信・主張した。実態調査と話し合いを中心とする運動は、地域の母親運動や教育運動とも結びつきながら展開され、不就学実態調査運動のモデルとなった。子どもの発達の事実から教育の権利をとらえ返し、自らを権利の主体に育てあげるという経験は全人間的なねがいをかけて自身の生き方を問うことにつながった。こうして同時代の障害児教育権保障の運動は、障害のある子どもの発達・権利侵害をとらえ返しながら権利保障の道を開いたが、それは運動に参加する人びと自身が障害のある子どもとの関係のなかで矛盾や葛藤と向き合いながら主体形成をはかっていく過程でもあった。
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