理系研究者を目指して:研究者アイデンティティ形成プロセスの質的解析
Project/Area Number |
21K02901
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09080:Science education-related
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
岡本 紗知 大阪大学, 国際教育交流センター, 准教授 (70769067)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥2,730,000 (Direct Cost: ¥2,100,000、Indirect Cost: ¥630,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 理系研究室 / アイデンティティ / 研究者アイデンティティ / 研究者 / 質的研究 |
Outline of Research at the Start |
本研究では,研究室における研究活動の中で,研究者アイデンティティがいかに確立されるのか,その形成プロセスを明らかにする.具体的には,理系研究室に所属する学生を対象とし,研究職を目指す学生と断念した学生双方に半構造化インタビューを行う.質的データ解析では,①研究を遂行する能力への信念と,②実践的コミュニティ概念に基づく正統的周辺参加を解析の視点として用いることで,研究者アイデンティティ確立に結びつく要因を多角的に解析する.最終的には中等教育の理科教育やキャリア支援に導入すべき有用な知見を得ることを目指す.
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は,学生の研究者としてのアイデンティティはどのように形成されるのか,また研究者としての適性を判断するために不可欠な要因は何かを明らかにすることを目的として実施した.具体的には,大学の理系研究室に所属し,(1)現在研究者になることを目指している学生,および(2)以前は目指していたが現在では諦めた学生,を対象としたインタビュー調査を実施した.そして,研究室での経験がその選択にどのような影響を与えたかを尋ねることで,「理系研究者の育成」という観点において,大学の理系研究室が実際にはどのような役割を果たしているのかを明らかにした.分析方法として,質的研究の手法の一つである修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチ(M-GTA:modified grounded-theory approach)を用いた.分析の結果,33概念が生成され,これらの概念は13のカテゴリに分類された.概念間の関係やプロセスに注目をしたところ,学生たちはみな研究室に所属後,研究がうまくいかないという経験をするが,その際,研究室内に相談できる環境があるかどうかが鍵であること,そしてそのような環境に恵まれた場合は,自身の研究者としての適性を吟味し,適性があると判断すれば研究者を目指すことがわかった.一方,相談できる環境に恵まれなかった場合,適性を吟味する機会そのものが失われ,結果的に自分は研究者に向いていないと思い込んで早急に研究者になることを断念することが示唆された.またこの結果に基づき,大学の理系研究室では,誰もがみな研究は思ったほどうまくいかないという現実に直面し,その現実を乗り越えるには,まず研究室の一員として受け入れられていることが必須であること,そして学生はそのような環境において,研究者としての自身の適性を吟味し,研究者を目指し続けるべきかを検討することが示唆された.
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Report
(3 results)
Research Products
(1 results)