科学現象の理解を深めるSTEAM教材の開発と実践研究
Project/Area Number |
21K02903
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 09080:Science education-related
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
伊藤 克治 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (10284449)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大内 毅 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (40346838)
石橋 直 福岡教育大学, 教育学部, 准教授 (80802842)
後藤 顕一 東洋大学, 食環境科学部, 教授 (50549368)
野内 頼一 国立教育政策研究所, 教育課程研究センター研究開発部, 教育課程調査官 (00741696)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | STEAM / 3Dプリンター / 科学概念 / 粒子領域 / 地球領域 / 見方・考え方 / 三次元教材 / 3Dプリンター / 理科教材 / STEAM教材 / プログラミング教育 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,独自の切り口により動的な科学現象を学習者の学習時間と生活空間の中で捉え,実感を伴った理解につなぐためのSTEAM教材の開発と,その実践・改善,普及まで行うことを目的としている。この目的に向けて,理科教育・技術教育・プログラミング教育を専門分野とする研究者らを中心にSTEAM教材の開発に取り組むのと並行し,教育課程・学習評価・資質能力を専門分野とする研究者を中心に,開発した教材と指導法の評価・至適化を行う。さらに,全員で相互に連携しながら,実際に学校教育現場における理科授業,教員研修,教員養成大学の実験授業で試行実践して,評価・改善と学習者の概念形成や概念統合の分析を行うものである。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、まず当初計画に従って、フルカラー分子模型を用いて有機分子の三次元構造(鏡像異性体)を理解させる授業実践を行った。具体的には、モノクロ3Dプリンターで製作した単色(白色)の分子模型とフルカラー3Dプリンターで製作したフルカラー分子模型を用いて、分子式をヒントにして構造を考える授業を行った。白色の分子模型について各自で考えている間は、構造を捉えるのに苦労している様子が見られた。しかし、フルカラーの分子模型を配布すると理解が進み、グループで議論をさせると、最終的には構造式・絶対配置ともに正答している学生が大多数となった。事前・事後アンケートにおいて、“構造式から具体的な分子の形をイメージできるようになった”という設問に対して、実践後に肯定的に回答した学生が統計的に有意に増加した。また、自由記述の内容に関するテキストマイニングにより、“イメージ”という語句との共起関係を調べた。その結果,実践前は否定的な語句との共起が多かったが、授業後は肯定的な語句との共起が増えていた。以上のことから、鏡像異性体の学習において、モノクロとフルカラーの分子模型を組み合わせて段階的に用いることが、分子の三次元構造をイメージして理解するために有効であることが示唆された。 一方、木材加工等を含めたこれまでのアナログものづくりと、ITを駆使したデジタルものづくりを融合させた新たなものづくりの教材化を目指すとともに、実際に小学校で授業を実践して有効性を検証した。その結果、木工ろくろと3Dプリンターの両者で手回しコマをそれぞれ製作して比較検討する学習内容が目的に適していることが明らかとなった。 さらに、デジタル教材開発については、前年度に製作した俯瞰型プロジェクションマッピングAR教材について、実物の土砂を用いた地形モデルを対象とした教材のハードウェア構成を完成させることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記研究実績の概要欄に記載した通り、当初計画に沿って教材開発を行うことができた。 本年度は、前年度までに開発した一連の操作方法によってフルカラー分子模型を製作し、これを用いた授業実践を行い、分子の立体構造に関する概念形成についての知見を得ることができた。また、アナログものづくりとデジタルものづくりの融合化を図る新たな教材として手回しコマに着目し、児童を対象とした実践まで行うことができた。一方、デジタル教材開発については、前年度のプロトタイプを実際の授業に実装化可能なハードウェア構成まで完成させることができた。 以上のことから、本研究は「おおむね順調に進行している」と判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、中等教育における授業実践を指向した分子模型製作を行うことにする。具体的には、高等学校「化学」の教科書で取り上げられているような有機分子について、フルカラー分子模型の製作を行う。なお、現行の学習指導要領から、有機分子の立体構造については炭素原子の電子配置を取り扱うことも想定されていることから、炭素原子の取り得る3種類の混成軌道を可視化した分子模型を扱うことにする。また、現在用いている3Dデータ作成ソフト(クリスタルメーカー)は高価であるため、無償提供されている3D作成ソフトを活用した3Dデータの作成を行い、教育現場へ実装化しやすいデータファイルの作成手法を確立する。 並行して、デジタルとアナログものづくりの関係性を意識して、引き続き、新たなものづくり教育を検討する。実習題材を実生活に活用できるものにして、その使用目的やそれを果たすための機能を考える場面を設ける等して、デジタルものづくりとアナログものづくりがどうして融合しているのか考えさせる。製作物が実生活に活用できるものになることから、空間概念の育成に留まらず、技術・家庭科、社会科、数学(算数)科、美術(図工)科等を含め、教科横断的な観点からSTEAM教材としての有効性を検証する。 一方、俯瞰型プロジェクションマッピングAR教材の開発については、前年度に実物の土砂に投影させるシステム構築までできたので、今後は精度の高い地形へのプロジェクションマッピングができる土台の製作について検討する。3Dプリンターでは、比較的大きな板状型の模型をすることは、その性能上、素材が反るなどの課題があるため、製作方法と素材の組み合わせを精査し、比較的大きな地形モデルを精度よく製作する方法の確立を目指す。 なお、本研究は概ね順調に進行していることから、研究計画の変更は予定しておらず、遂行上の課題もない。
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Report
(2 results)
Research Products
(27 results)