Project/Area Number |
21K02970
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10010:Social psychology-related
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Research Institution | Otemae University |
Principal Investigator |
服部 陽介 大手前大学, 現代社会学部, 准教授 (40733267)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 感情制御目標 / 抑うつ / マインドワンダリング / 反すう / 再評価 |
Outline of Research at the Start |
感情制御の際に設定される目標は,ネガティブな出来事を経験した際に用いられる対処方略である再評価と反すうに影響を与えるとされ,うつ病への予防的介入の標的となることが期待される。しかしながら,その背景にある認知過程は明らかにされていない部分が多く,介入に先立って解決すべき複数の課題が残されている。そこで,本研究では,これらの課題を解決し,感情制御目標と対処方略の関係の背景にある認知過程を究明することで,うつ病に対する新たな予防的介入の可能性を示すことを目的とする。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度は,Rusk et al. (2011) で作成された感情制御目標の個人差を測定する尺度である感情制御目標尺度 (the Goals for Emotion Regulation Scale: GERS) の邦訳と,その構造的妥当性および構成概念妥当性の検討を行った。教示と項目の翻訳後に逆翻訳を行い,原著者との協議を経て,GERSの日本語版であるGERS-Jを作成した。その後,作成されたGERS-Jの構造的妥当性と妥当性を検討するために調査を実施した。303名の有効回答について確認的因子分析を実施した結果,原版と同様,3因子 (達成回避目標,達成接近目標,修得目標) モデルの適合度が高いことが示された。さらに,Rusk et al. (2011) と同様に,感情制御目標との関連が予測される,抑うつ,反すう傾向,思考抑制傾向,ネガティブなムードの制御方略の効果に対する期待感を反映する各尺度との関連について検討した。その結果,概ね予測に一致した変数間の関連が確認され,GERS-Jの構成概念妥当性が示された。 また,感情制御目標に関連する概念であるマインドワンダリングに関する暗黙理論の個人差を測定するための尺度であるthe theories of mind wandering scale (TOMW) の邦訳版 (TOMW-J) の信頼性と構成概念妥当性の検討を行った。その結果,TOMW-Jが一定の再検査信頼性を有することが示された。さらに,経験サンプリング法を用いて授業中および日常生活で経験されるマインドワンダリングの頻度を測定し,TOMW-Jの得点との関連を検討した。その結果,TOMW-J得点とマインドワンダリングの頻度に正の相関がみられ,TOMW-Jが一定の構成概念妥当性を有することが示唆された。これらの結果は,令和5年度に開催される日本心理学会で報告予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度は,感情制御目標の個人差を測定するGERS-Jの構造的妥当性,信頼性,構成概念妥当性を検証する予定であった。構造的妥当性と構成概念妥当性については,一定の成果が得られているものの,縦断的調査を要する再検査信頼性の検討は行うことができなかった。その一方,GERS-Jの妥当性の検証に使用予定である,マインドワンダリングに関する暗黙理論尺度日本語版TOMW-Jは翻訳とともに信頼性,妥当性を確認できており,既に使用可能な状態にある。以上から,一部の研究の進捗にやや遅れがあるものの,一定の成果が得られているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き,感情制御目標の個人差を測定するGERS-Jの再検査信頼性と構成概念妥当性の検証を行う。その際,抑うつおよび感情制御方略の利用頻度を合わせて測定し,感情制御目標が両者に与える因果的影響についても検証する。さらに,感情制御目標を実験的に操作し,感情制御目標が対処方略に与える因果的影響についてさらに詳細な検討を行う予定である。
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