Project/Area Number |
21K03078
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | International University of Health and Welfare (2022-2023) Hanazono University (2021) |
Principal Investigator |
橋本 和明 国際医療福祉大学, 赤坂心理・医療福祉マネジメント学部, 教授 (80434687)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,250,000 (Direct Cost: ¥2,500,000、Indirect Cost: ¥750,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 児童虐待 / ネグレクト / 認知 / 保護者 / 注意 / 保護責任者遺棄(致死)事件 / 事例のメタ分析 / ネグレクト死 / 保護責任者遺棄致死事件 / 虐待親の認知要因 |
Outline of Research at the Start |
ネグレクトによる子どもの死亡事例には親自身の認知の歪みが大きく関係している。そこで,本研究では過去10年間のネグレクト死亡事例の検証報告書や保護義務者遺棄致死事件等の判決文,新聞記事を分析対象にし,心理職4名と弁護士3名の研究協力者とともに,事例のメタ分析という手法を用いて解析する。 分析を通じて,①親の認知はどのような特徴を有するのか,②その認知がどのように生起され,ネグレクト死の前後でどう変容をしてきたのか,③認知の変容となる契機が何か,等を明らかにする。また,研究結果をもとに,虐待介入の際の親の認知をどのように評価し,親の認知をどのように修正させることが虐待防止に有効かを提言していく。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究では過去10年間の児童虐待死亡検証報告書で取り上げられたネグレクト死となった約50の事例と,保護責任者遺棄致死事件の計40の裁判例を分析対象とし,「事例のメタ分析」という質的研究法を用いて,認知要因のあり方や変容について分析するのが目的である。 1年目の研究実績では,上記の裁判例を分析し,注意の優先順位の誤りや注意の遮断,持続性のなさ,分配のなさといった≪注意の問題性≫に特徴があることが判明した。また,自己愛的や被害的な認知をしやすく,≪メタ認知能力の低さ≫があったり,子どもへの共感性の欠落などの≪認知の歪み≫が生まれ,それが危険を予知する能力の欠如や認知感覚の麻痺という≪危険への認知の欠如≫となって事態がますます深刻化していくことがわかった。 2年目の研究実績では,研究対象として挙げている検証報告書を分析し,すでに研究成果となっている裁判例の分析結果との比較を行った。そこでは上記のネグレクトをする親の認知要因のあり方には共通性があることが示された。 3年目の研究実績は,2年目までに実施した検証報告書の分析と裁判例の分析を包括したメタ分析を行い,より詳細なネグレクトをする親の認知のあり方を検討していくことであった。しかし,その分析に時間を要し,最終的な報告までには至らなかったため,研究期間を1年間延長し,4年目にそれを完成して報告したい。 なお,上記の裁判例についての研究報告は2022年12月に開催された日本子ども虐待防止学会に発表した。この論文については,現在は学会誌に投稿中である。また,このネグレクトをする親の認知についての研究については,2023年9月の第13回国際医療福祉大学学会学術大会および2023年9月にイタリア・フィレンツェで開催された国際犯罪学会にてポスター発表をした。さらに,今後は上記メタ分析をした結果を論文にまとめ,国内の学会誌において研究報告を投稿する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究協力者とともに事例のメタ分析を進めているが,本研究ではその際に合議制質的研究法の手法を採用している。しかし,個々の研究協力者が行った分析を持ち寄って協議する時間がなかなか取れないことや,検証報告書と裁判例の包括的分析が予想以上に難航していることから,分析が遅れた経緯がある。 また,研究代表者は2022年4月に所属する大学が変わり,新たな研究環境へなじむことにも時間を要したことや,2023年9月に開催された国際犯罪学会にポスター発表をしたが,その準備等にも時間を要したことが予想以上に研究の遅延となった。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の目的であった裁判例の分析はすでに分析を終え,論文を完成しており,次の死亡検証事例報告書の分析についても,すでに終えている。最終的には裁判例の分析と死亡検証事例報告書の分析を包括的にメタ分析する作業が残っているが,今後はそれを早急に実施し,それを論文にして学会誌等に投稿するようにしたい。
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