Project/Area Number |
21K03104
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Chiba University |
Principal Investigator |
南谷 則子 千葉大学, 子どものこころの発達教育研究センター, 特任研究員 (20729313)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高橋 靖子 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (20467088)
松本 有貴 徳島文理大学, 人間生活学部, 教授 (90580887)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 保護者支援 / マインドフルネス / 神経心理学 / 思春期の子ども |
Outline of Research at the Start |
従来子どもの不登校や不安軽減に対する心理的援助としては、認知に対し変容を及ぼす方略が選択されるケースが多かったが、子どもが情緒的な困難に絶えず苦しむ場合には必ずしも有効とは言えなかった。マインドフルな子育ては親子間の温かみのある対人相互作用を生み出す。重要他者との共感的な交流が神経伝達物質に関わり、神経心理学的に子どもの感情調節機能を高めることは報告されている。思春期の子どもの心理的機能を高めるために、マインドフルネスに基づく子育て支援プログラムを作成し効果を検証する。質問紙により保護者のストレス軽減とQOLの向上の効果を測ると共に、親子間の関係性に焦点を当て臨床的実践の意義を質的に検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
思春期の子どもへの対応や子育てに困難さを感じている保護者(主に親)を対象とする、マインドフルネス子育て支援プログラムを作成し、その効果を検討している。 昨今の不登校児童・生徒の増加や、最悪の場合自死に至るケースもみられる不安や鬱の高さなど、思春期世代のメンタルヘルスの向上やこころの安定は、喫緊の課題となっている。思春期の若者は、脳の発達が進行途中であるために、感情が大きく揺れ動き、情動調節の困難さを経験するリスクが高まる。思春期における発達的な特徴を理解し、子どもの感情表現を促し問題解決をサポートする親が、子どもの情動調節機能を高めることは認められている。子どもを支える環境としての親の役割は重要なものである。しかし、大人の権威に対し、反発心を覚え始める思春期の子どもに対し、日々の生活において親が自分の感情をコントロールしつつ関わるのは容易いものではない。社会や職場で責任が増しストレスも増加する世代にあたる親自身の心理的な安定を図り、親子間の温かい交流を生み出すためにマインドフルネスを活用した子育てプログラムを作成した。 今年度は昨年度に続き、オンライン形式、対面とオンラインの混合形式、対面形式など、実施形式を変化させ、講座の実践を重ねた。どの実施形式が優れているのか、プログラムの効果の差異を検討している。そのため、質問紙による量的データの分析だけにとどまらず、インタビューを行い、質的なデータの収集を行った。また、思春期に差し掛かる手前の「前思春期」の子どもを持つ親や祖父母も研究参加者に取り入れることを試みた。 講座周知の一つの方略としてのファシリテーター養成講座の参加者として、従前のスクールカウンセラーなど心理の専門家だけではなく、「保健室の先生・学校の先生のためのマインドフルネス子育て支援講座」と銘打った講座において養護教諭や教員に対し積極的に呼びかけた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2年間の研究期間中、講座をさまざまな地域において実施してきており、講座内容の微調整を重ね、講座自体の洗練、精査は進められている。また、講座を実施してもらうファシリテーターのためのマニュアルについても、養成講座への協力参加してくれた心理や教育の専門家の意見も取り入れ、有効性や完成度の高いものとなっている。 今年度は、「マインドフルネス子育て支援講座」を広く周知し、汎用してもらうために学校に焦点を当てた。特に思春期の子どもを持つ親をターゲットにする際に、前思春期の保護者に講座を受講してもらうことの重要性を鑑み、小学校にも目を向けた募集活動を行った。そのため中学校だけではなく、小学校の養護教諭を対象として「保健室の先生のためのマインドフルネス子育て支援の養成講座」として養護教諭の専門誌で募集をし、オンライン形式で日本全国の養護教諭を対象にファシリテーター養成を図った。重ねて東京都の教育相談担当の教員が集まる教育相談研究会の総会など機会をとらえて、マインドフルネス子育て講座を紹介した。しかしながら研究参加者の募集にや広報活動には非常に苦慮している。講座開催を試みる際、3000枚以上チラシを配布しても研究参加協力者が現れなかったり、さらに近隣小中学校に依頼して各学校のホームページ上で対面での参加を呼び掛けてもらっても、研究参加者が皆無で断念せざろうえない状況もあった。共同研究者が勤務している教員養成大学主催の地域支援の公開講座において実施を試みようとしたが、公開講座の主旨と質問紙の回収という研究目的にずれがあり、データを集められずに終わってしまった事態もあった。 以上の理由により、非常に参加者の数が限られ、データ数が不足している。講座開催が難航していることが十分なデータ数を集められないことに繋がり、研究進捗を妨げる結果となってしまっている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度に引き続き、次年度においても関連学会での発表を重ねる予定である。現在までは質問紙をもとに量的なデータの分析を図ってその効果を学会では発表してきたが、昨年度末にインタビュー協力者から質的なデータも取得できたので、逐語を作成し分析に取り組んでいきたいと考えている。現在までのデータをもとに、今年度は英文及び和文での論文の執筆にとりかかるつもりである。今までの分析は、量的なデータにおいては、講座受講前、受講後のみの比較に限られているが、できればRCT(ランダム化臨床試験)の形式で行うことを企図している。そのためには、研究協力者を多く集め、事前に待機群としてプールしておく必要がある。同時に数人からのインタビューに限られている質的なデータの収集数をさらに増やすことも計画している。 保護者のメンタルヘルスやQOL,子どもの情緒や行動への理解などは収集した質問紙から、講座受講前後の比較に限られてはいるが、講座の効果はうかがえた。また、対面、オンライン、どの実施形式においても、講座に参加した保護者のプログラムに対する満足度も高く、講座アンケートの自由記述においても肯定的な意見が多く見られ、講座の有効性、有益性は推測できる。以上のことから、さらにこの講座を周知し、できる限り多くの保護者に利用してもらいたいと考えている。現在まで学校を経由しての大々的なちらし配布や研究協力者のかかわりのある組織など、人脈を頼った方法での参加者募集を試みてきたが、より地域において参加者を増やしていくために、懸案事項となっているホームページの開設も含め、どのような手立てがとれるのか検討を重ねていきたいと考えている。
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