Project/Area Number |
21K03119
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Kansai University of International Studies |
Principal Investigator |
中山 誠 関西国際大学, 心理学部, 教授 (60554988)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
横川 滋章 関西国際大学, 心理学部, 教授 (30368576)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 精神生理学的虚偽検出 / 社会的支配志向性 / 皮膚コンダクタンス反応 / 心拍率 / パーソナリティテスト / 呼吸運動曲線長 / CIT / テロリスト / 凶悪事件 / パーソナリティ / 生理反応 / 探索質問法 / SCR / テロ対策 / パーソナリティ検査 |
Outline of Research at the Start |
従来のCITは、生理指標に用いて、事件内容の認識の有無から、犯罪との関連性を判定する手段とされてきた。しかしながら、捜査側にとって裁決項目が既知でないと質問作成ができないため、計画中のテロ行為にはCITが不適用とされてきた。また、テロ行為は自らの信念に基づいた確信行動であり、一般の犯罪と比べ、明らかに犯行動機が異なる。 そこで、本研究ではテロリストに特有のパーソナリティ特性を最初に明らかにし、それらがおよぼす生理反応への影響を確認する。次に、質問方法には探索型のCITを用いて、第一段階では広域、第二段階では具体的施設名で質問し,反応を集団分析して、テロ行為を未然に防ぐ新たな鑑定法を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
一般刑法犯の場合、殺人を伴うような凶悪犯は自己統制が弱く、短絡的な動機が元になっており、自らの欲望を満たすために犯罪を実行する。しかしながら、裁判段階となると、被害者に多大な損失を負わせたことに後悔の念を述べ、謝罪の意識を表示することもある。それに対して、テロリストは、一度に大量殺人を行っても、政治的あるいは宗教的な、一種の「聖戦」という信念に基づいて破壊行為を実行しているので、罪の意識もなく、良心の呵責にとらわれることもない。従って、刑法犯とは犯行動機が全く異なり、パーソナリティも異なるテロ事件に呈して、わが国で従来から使われてきた虚偽検出の手続きを、テロ事件の容疑者に適用しても、精度の高い結果が期待できないのではないかという考えから、本研究が企画された。 実験1では、戦争や積極的軍事行動と正の相関があり、テロリストの特徴である社会的支配志向性(Social Dominance Orientation;以下SDO)に着目し、生理指標を用いた虚偽検出への影響を検討した。 予め質問紙調査によって得られた結果に基づいてSOD高群、低群各20名を抽出し、テロ攻撃の場所と手段についてCIT検査を実施した。その結果、SCRについては、SDO高群でも有効に虚偽検出可能であったが、呼吸では場所の質問で抑制が発生しにくいことが判明し、心拍率では手段について交互作用が生じないことが明らかになった。実験前には「人生で成功するためには、時として他の集団の人たちを踏み台にすることが必要だ」といった考えを持っているので、SDOが高いと、生理反応の差が顕著に得られないことも予想されたが、SCRではそのようなことはなく、また、呼吸と心拍についても一部の質問にやや反応が出にくい傾向が認められたのみであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
実験1の結果ではテロリストの特徴のひとつである社会的志向性が高い場合でも、従来の精神生理学的虚偽検出の効果を阻害しないことが明らかにされた。 しかしながら、実験1の結果には以下の問題点が指摘された。①社会的志向性はテロリストのパーソナリティと親和性が高いものの、そのすべてを代表しているわけではないので、引き続き生理指標の発現に影響するような性格特性を検証する必要があること ②実験1の場合、テロ行為の実行場所と手段について記された指示書を読むことが模擬犯罪とされてきたが、計画段階とはいえ、それだけでは臨場感に乏しく、実務場面との隔たりが大きすぎること そこで、再度、文献研究を精査して、テロリストの性格特性に関する新たな質問紙を選択する作業に取り掛かった。しかしながら、既にこれまでに生理反応に及ぼす効果について検討されたパーソナリティ特性に一貫した結果が見られないこと、また、先の東京オリンピックの際にもわが国では目立ったテロ行為が認められず、実務場面でのテロリストの特性がわが国では明確にされていないことから、日本に存在するテロリストの代表的なパーソナリティ要因を決めることが難航していた。 さらに、これまでの虚偽検出の研究では生態学的妥当性の高い模擬犯罪が考案されておらず、計画段階のテロ行為に関して、内容の指示が与えられる程度の研究しか行われていなかったので、実行行為を伴うような模擬犯罪のデザインに手間取った。
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Strategy for Future Research Activity |
実験1に続いて、テロリストのパーソナリティ特性の質問紙を被験者に予め実施し、生理反応に及ぼす効果を検討する。内容は、ダークサイトの研究でこれまでに明らかにされた内容から選択し、不適切でリスクテイキングな破壊行動を実施しても罪悪感や後悔の念を抱かないようなパーソナリティに関連した質問を抽出して、新たに質問紙を作成する。 また、模擬犯罪については、現在、暗殺事件を想定して、そのためにモデルガンを用いたけん銃の訓練場面を検討中である。これは実行行為に向けたトレーニングとして、モデルガンを的に向けて発射し、一定の精度が得られるまで継続して行うので実務場面に近くなり、臨場感が高まることができる。 質問内容は、どのような訓練を受けたかということを中心に行う。即ち、質問内容に関しては、模擬犯罪で使用した銃の種類について、5枚程度の写真を呈示する。そして、その中には実際に使ったけん銃の写真を裁決項目とし、非裁決項目は形が異なる銃の写真とする。 以上の模擬犯罪の手続きは、テロの準備行為を行ったかどうかではなく、その内容に関する具体的な項目に関連しているので、虚偽の返答をすることから生じる情動的側面(発覚の恐怖)とは無関係でく、実行行為の記憶の有無が決め手となる。
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