Project/Area Number |
21K03121
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10030:Clinical psychology-related
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Research Institution | Institute of Physical and Chemical Research |
Principal Investigator |
白石 優子 国立研究開発法人理化学研究所, 脳神経科学研究センター, 客員研究員 (60815710)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 父親支援 / 親子相互交流療法(PCIT) / 行動療法 / 遠隔心理療法 / 認知機能 / 機能的MRI / 子育ての意欲 / 子育ての神経基盤 / 行動分析 / ペアレンティングトレーニング / 子どもの問題行動 / ウェイティングリストコントロールデザイン / ペアレントトレーニング / 遠隔心理学 / 虐待予防 / 親子相互交流療法 |
Outline of Research at the Start |
子育てに何らかの困り感のある一般の父親を募集し、オンラインによる子どもとのかかわりトレーニングを提供する。トレーニングは、親子相互交流療法(PCIT)の前半部分「子ども指向相互交流」と「効果的なしつけ」の内容を10回のセッションに構成したものである。ウェイティングリストコントロールデザインを用いて、トレーニングを受けた父親の心理尺度による主観的評価、行動上に表れるかかわり方の質、認知機能を測定し、トレーニングの効果を検証する。さらに、脳の領域ごとの体積や安静時・子ども関連刺激に関連する活動領域やネットワークを探索的に検討し、神経科学的効果検証の有用性や課題を整理する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は幼児期の子育てに何らかの困り感を持つ一般の父親を対象とした子どもとのかかわりトレーニング(オンライン)の予備的な効果検証研究である。トレーニングは、親子相互交流療法(PCIT)の理論と遊び場面で用いるスキルおよびコーチング方法、子どもと大人の絆を深めるプログラム(CARE)の効果的な指示の出し方を基に、10回のセッション(修了式を含める)で実施するものである。 特定の疾患や障害を対象とせずに一般の親子を募集したが、参加親子の半数程度の子どもに発達神経症(ASDまたはADHDおよびその併存)の診断があるか、親がその疑いを医療機関に相談し対応に苦慮している状況が見られた。 効果測定の指標は、質問紙調査(ECBI、BDI-II等)および父子の遊び場面の行動分析(DPICS)、認知機能検査(Cognitrax)を用いている。父親報告による子どもの問題行動尺度(ECBI)の強度スコアは、受講前後を比べると8例中6例で減少した。父子の行動分析(DPICS)では、遊び場面での発話数全体および適切な関わり(行動の説明、繰り返し、具体的賞賛)が顕著に増え、不適切な関わり(質問、命令、批判)が顕著に減少したが、スキルの獲得程度には参加者間でばらつきが大きかった。さらに、子ども関連刺激を提示した機能的MRI実験を行い、トレーニングで変化する神経基盤の探索を試みている。 参加者の中には、平日に子どもと接する時間がほとんど取れない父親もおり、宿題の完遂率の低さやスキルの獲得程度に影響していた。主要な養育者とは限らない父親に対する支援方法として、有効なTipsを検討している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
現在までに、1クール目(n=3)、2クール目(n=1)、3クール目(n=4)、4クール目(n=1)、5クール目(n=2)でトレーニングおよび調査・実験を実施した。研究機関近隣の保育施設や行政、クリニック等に参加者募集のチラシを配布するなど参加者獲得に努めたが、応募が少なく難航した。 継続中1組を含め、2023年度までに11組の父子が研究に参加した。そのうち8組がすべてのトレーニングセッションを修了し、1組は継続中である。トレーニング開始前時点での辞退1組(家族関連の事由)、トレーニング開始後に辞退1組(仕事関連の事由)があったが、通常のPCIT(親子相互交流療法)と比較しても(30%程度)、中断率は低かった。 調査・実験終了サンプルについては、データのスコアリング、クリーニングを終了し、データセットを作成した。MRIデータは、解析の準備を進めている。 父親を対象とした機能的MRI実験、父親の育児参加、PCIT(親子相互交流療法)の様々な適合版に関する文献を収集し、本トレーニングの意義を検討している。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度夏までに、すべてのトレーニングおよび調査・実験が終了する見込みである。質問紙調査、行動分析、認知機能検査、機能的MRI実験のデータを解析し、結果をまとめ、学会発表や論文執筆を行う。当初の想定より研究参加者が集まらなかったことや研究実施者の所属変更によりトレーニングや実験を実施できる時間が制限されたことなどにより、少数サンプルの研究となった。全体での解析だけでなく、事例報告も行う予定である。 トレーニングはおおむね順調に進み、中断率も低いが、主要な養育者とは限らない父親に対して、本トレーニングでできる工夫はないか検討し、実施マニュアルを整備したい。また、父親を対象とした子育て支援を行う国内外の研究者と意見交換をし、実効性を高めていきたい。 研究を通して、父親の子育て参加そのものに課題があるように感じている。新型コロナウイルスパンデミック時には、在宅勤務やフレックスタイムなど、柔軟な働き方に一時シフトしたが、昨今では働き方が以前に戻り、子どもの就寝前に帰宅できない親も少なくないようである。父親の子育て参加が子どもの発達によい影響を与えることは、すでに先行研究で多く報告されているが、父親に視点を移し、トレーニングを通して子どもとかかわる時間が増えたことで父親自身にどのような変化があったのかについても検討していく。
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