記憶の変容と柔軟性の適応的発達とその障害の背景を脳に探る:自閉症児と健常児の比較
Project/Area Number |
21K03138
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10040:Experimental psychology-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
橋本 照男 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (40553756)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Completed (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 記憶の変容 / 発達認知神経科学 / 自閉スペクトラム症 / 記憶変容 / 脳内ネットワーク |
Outline of Research at the Start |
自閉スペクトラム症(自閉症)の特徴である限局的興味や繰り返し行動は、発達期の学習と記憶の非柔軟性によって増強される可能性がある。本研究では、自閉症児と健常児(定型発達児)を対象に、絵と名前のペアの学習(直後再認)と想起(遅延再認)検査を実施し、直後と遅延の再認成績の一致/不一致から、記憶の安定性、記憶変容の程度を検出する。加えて、機能的磁気共鳴脳画像法(MRI)によって安静時における脳血流反応を測定し、全脳部位間の機能的結合を同定する。その結合の強さと記憶変容の関係を健常児と比較することで、自閉症児の記憶の非柔軟性の脳内メカニズムを明らかにする。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自閉症児において記憶変容が起きにくいメカニズムを解明することで、自閉症の特性である行動や認知の非柔軟性をより理解できるとともに、健常児が非効率にも見える記憶変容のリスクを負うことで柔軟な思考や行動を実現させている適応的な仕組みを解明することであった。自閉症児と健常児(定型発達児)を対象に、絵と名前のペアの学習(直後再認)と想起(遅延再認)検査を実施し、直後と遅延の再認成績の一致/不一致から、記憶の安定性、記憶変容の程度を検出した。加えて、機能的磁気共鳴脳画像法(MRI)によって安静時における脳血流反応を測定し、記憶の中枢である海馬の前後左右の4点を関心領域として定め、その4点と全脳の各領域間の血流動態の同期を相関係数で算出した。それらを記憶ネットワークとして同定し、同期の高さ、相関の高さを機能的結合(ネットワーク)の強さの指標とした。同定した記憶ネットワークと、記憶の安定性・不安定性の関係の強さを、共分散分析を用いて自閉症児と健常児の間で比較し、頑強で変容しにくい自閉症児の記憶に対応するネットワークと、不安定で変容しやすいが柔軟な健常児の記憶に対応するネットワークを明らかにした。 自閉症児における限定的・反復的行動を記憶特性と結びつけて検討した研究はなく、変容しにくい頑強な記憶という自閉症児のポジティブな側面を明らかにした点に本研究の独自性がある。一方で、変容しやすい記憶を形成する方略に移行することで、学習時とは別文脈でも記憶を利用して柔軟な思考を実現する健常児の記憶メカニズムを明らかにすることもできた。 最終年度は、当初計画通りにデータ収集を終えて、その解析及びとりまとめを行い、学会において成果発表した。
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Report
(3 results)
Research Products
(7 results)