Project/Area Number |
21K03147
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 10040:Experimental psychology-related
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Research Institution | International Christian University |
Principal Investigator |
森島 泰則 国際基督教大学, 教養学部, 教授 (20365521)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
直井 望 国際基督教大学, 教養学部, 上級准教授 (20566400)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | 第二言語処理 / 認知資源の配分 / 認知的負荷の影響 / 文章理解 / 橋渡し推論 / 照応関係推論 / 認知資源配分 / ワーキングメモリ容量 / 認知的負荷 / 「心の理論」 / 第二言語(L2)処理 / 言語処理の神経基盤 / 外国語副作用 |
Outline of Research at the Start |
本研究は、第二言語(L2)を理解する際に思考的認知機能が一時的に低下する「外国語副作用」を認知心理学・脳科学的に解明する。これまでの研究から、L2処理による認知的負荷がかかると文章理解に必須でない推論(精緻化推論)が低下または実行されないことが実証されているが、文章理解に必須とされる推論(例、橋渡し推論)や通常ほぼ自動的に行われる推論(例、「心の理論」推論)に関しては、十分に検証されているとは言えない。このような推論は、理解に必須または自動的であるが故に実行されると予測できる。この仮説を、日本人中級英語学習者を対象とし、読み時間・反応時間計測、脳機能計測(fNIRS)を用いて実証的に検討する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、第二言語(L2)処理によって生じる認知負荷、L2使用時の認知機能低下を実験的に検証し、認知資源の配分のメカニズムを解明することを目的としている。 文章理解における大局的一貫性に関わる照応推論に着目し、既読部分の指示対象が名詞照応詞によって再活性化されるか検証した。その結果、L2話者の場合、文章理解に必須の旧情報も再活性化されにくいことが示唆された。また、情報間の結合強度や読み手の一貫性の基準などが、その要因と考えれることが明らかとなった。 次に、コロケーションの比喩的用法と字義通りの用法におけるL2処理の認知負荷の影響を検証した。視線計測を行い、L1話者とL2話者を比較した。その結果、L1では文脈と一致するコロケーションおよび後続部分の滞留時間は、用法の間に差はないが、L2話者においては、文脈が一致しても比喩的用法では滞留時間が長い、すなわち、処理により時間がかかることが示唆され、L2においては比喩的表現を文脈に合わせて解釈するためであると結論した。 L2における道徳ジレンマ課題では、近赤外分光法(NIRS)を使用し、意思決定中の脳活動を計測する。 L1における先行研究では、義務論的な判断をした参加者は左側の前頭葉の脳活動が高く見られ、実利主義的判断を選んだ参加者は右半球で脳活動が高く見られたが、L2の場合、心的イメージの欠如により全体的に感情の反応は低くなり、道徳ジレンマでは実利主義的判断が増え、NIRSでは感情に関する前頭葉の脳活動が低くなると予測している。本研究は、予備実験を終え、本実験を実施中である。 心の理論課題遂行における認知負荷の影響の検証課題も遂行中である。この実験では、Birch and Bloom (2007)による先行研究を土台として、言語理解の認知的負荷によって、L2話者はL1話者よりも自己中心的視点をとる傾向が強くなるか検証を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
2022年度末までは新型コロナウイルス感染拡大の影響を受け、当初計画した実験の実施が困難な状況が続いたため、実証研究が大幅に制限された。しかし、GORILLAというオンライン実験ビルダーを採用することによって、時間計測などの行動指標計測実験を行うことができるようになり、結果を出すことができた。一方、脳機能計測を用いた実験は、装置装着のため身体接触を伴うため、実施は不可能であった。2023年度に入り、コロナウイルス感染症の5類への移行に伴って、大学も対面授業に戻って行き、実験室での実験も可能な状況になったため、NIRS実験プロジェクトに取りかかった。視線計測実験では、視線計測装置と実験ビルダーの整合性などの技術的問題が複数発生し、実験ができる段階に到達するまでに想定以上の時間がかかってしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度、新型コロナウイルス感染症の5類への移行後、大学が通常の体制に戻るに従って、当初計画していた実験室での実験ができるようになった。視線計測装置の問題も解消した。今後は、オンライン実験も併用しつつ、実験室での視線計測実験、NIRSによる脳機能測定実験を行っていく予定である。
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