複素射影空間上の巡回被覆の因子類群の研究とその応用
Project/Area Number |
21K03182
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
白根 竹人 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(理工学域), 准教授 (70615161)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
|
Budget Amount *help |
¥4,420,000 (Direct Cost: ¥3,400,000、Indirect Cost: ¥1,020,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 巡回被覆 / 因子類群 / 平面曲線の埋込位相 / ザリスキ対 / 分解グラフ / 分解型不変量 / ベクトル束 |
Outline of Research at the Start |
平面曲線の埋込位相やベクトル束の研究では,因子類群の構造が知られている巡回被覆を用いた研究がある.埋込位相の研究では因子類群の構造が不変量「分解グラフ」の計算に有効であり,ベクトル束の研究では因子類群の元である因子的層の順像層がベクトル束になる場合の研究がある.本研究では,複素射影空間上の巡回被覆は被覆の次数と分岐因子で定まるという性質に注目し,巡回被覆の因子類群と分岐因子の関係を明らかにする.さらに,その関係を平面曲線の埋込位相とベクトル束の構成に応用する.
|
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は,(1) 分解グラフの一般化を中心とし,(2) ザリスキ対の構成,(3) 2次被覆の因子類群を用いたベクトル束の構成の研究を行った. (1) 平面曲線の管状近傍の境界として得られる境界多様体とグラフ多様体として対応するグラフの関係について情報収集と研究を行った.その成果として,分解グラフの一般化を与える準備が整った.一般化により,分解グラフなどのガロア被覆を用いた分解型不変量が平面曲線のどのような情報を抽出しているかをより深く理解することが期待できる.この研究の経過報告を神戸大学で行った. (2) 分解数の応用に関する論文 Torsion divisors of plane curves and Zariski pairs(E. Artal, 坂内真三,徳永浩雄との共著)が Algebra i Analiz に掲載された.また,M. Amram, 坂内真三, U. Sinichkin, 徳永浩雄と共に非特異有理曲線のみを用いた基本群が同型なザリスキ対を発見した.このようなザリスキ対は初の例であり,平面曲線の埋込位相の研究において新たな現象が見いだされた.この成果についての論文を執筆中であり,日本数学会年会で成果報告を行った. (3) 2次被覆と階数2ベクトル束の関係に関する論文 Double covers and vector bundles of rank two の manuscripta mathematica への掲載が決定した(電子版は公開中).また,研究協力者と共に2次被覆の因子類群の演算を用いた階数2ベクトル束の構成について研究を行った.2次元の場合であるが,ある種の族に対する計算のアイデアが得られた. 参加人数に制限を設けながら,岡山理科大学,徳島大学,日本文理大学,高知工科大学で研究集会を行い情報収集および研究交流を行った.
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
分解グラフの一般化は本研究課題の進行中に得られた新たな着想であり,グラフ多様体など位相幾何学の情報が必要となった.しかし,新型コロナウイルスの影響が続いており,位相幾何学の専門家からの情報収集や討論は制限され,グラフ多様体などに関する情報収集には手間取った.時間を要してはいるが,研究は進展している. ザリスキ対の構成については一本の論文が学術雑誌に掲載され,共同研究者との論文執筆も行っており,順調に進展していると言える. 2次被覆の因子類群を用いたベクトル束の構成について,一本の論文の学術雑誌への掲載が決定している.いくつかの具体例について計算を行い,ある種のベクトル束の族に関して進展が見られた. また,参加人数を制限しながらではあるが,研究集会を開催し,情報交換や討論を行えた.以上の状況を踏まえ,おおむね順調に進展している,と考えている.
|
Strategy for Future Research Activity |
今後は(1)分解グラフの一般化とその研究,(2)ザリスキ対の構成,(3)2次被覆を用いたベクトル束の構成,について引き続き研究を進める. (1)分解グラフの一般化を完成させ,論文を執筆する.この一般化により,分解型不変量が平面曲線の埋込位相をどの程度区別するか研究する.例えば,強力な不変量として知られているブレイドモノドロミーとの関係を調べ,研究を推進する. (2)非特異有理曲線の配置による平面曲線のザリスキ対について,研究協力者と議論を進めている.この共同研究を進めることにより,新たなザリスキ対を構成する. (3)研究協力者との計算を進め,2次被覆を用いたベクトル束の構成の研究を進める.また,Horrocks-Mumford bundle など既知のベクトル束を誘導する2次被覆について研究することで,新たな知見の獲得を目指す. 上記に加え,研究集会の開催や参加を通して情報収集と研究者との討論を行い,研究を推進する.
|
Report
(2 results)
Research Products
(8 results)