Project/Area Number |
21K03189
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
小森 靖 立教大学, 理学部, 教授 (80343200)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2025: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 有限多重ゼータ値 / 対称多重ゼータ値 / 統一多重ゼータ関数 |
Outline of Research at the Start |
多重ゼータ値の研究の中で最も重要とされる次元予想は, 金子と Zagier による, 有限多重ゼータ値と対称多重ゼータ値の間に一対一対応が存在するであろう, という予想 (金子・Zagier 予想) によって, 新たな段階へと進んでいる. この問題提起により, 多重ゼータ値の捉え方のみならず, 整数の大小関係 (Kontsevich 順序) など, これまでの常識を改める必要性まで生じる状況になってきている. 本研究はこの予想に対して, 「なぜ同型が存在するか」という本質的な問いに答えることによって解決を目指すものである.
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Outline of Annual Research Achievements |
多重ゼータ値を定義する級数を有限で打ち切って有限体上の数列とみなす有限多重ゼータ値と, 通常の多重ゼータ値のある種の対称化である対称多重ゼータ値の間には一対一対応があるという予想は金子・Zagier 予想と呼ばれており, 現在最も重要な研究目標とされている. この予想に対し, これまでに統一多重ゼータ関数という新しい対象を導入し, これらのゼータ値がある意味で同一の対象であることを示している. 昨年度この予想が成立するであろう原理のより深い考察のため, 一般の凸多面体と線形形式の有限多重ゼータ値から, 対称多重ゼータ値を構成する方法を考案した. 具体的には有限多重ゼータ値の contour 積分表示から, 積分路の方向を変更することによって統一多重ゼータ関数を構成し, その特殊値として対称多重ゼータ値を定義する. この方向の選択にはある程度自由度が存在するため, 有限多重ゼータ値から得られる統一多重ゼータ関数には任意性が生じるが, 非正領域の特殊値はそれに依存しないことが示される. この方法によって Euler-Zagier 型の対称多重ゼータ値が復元されること, および非正領域ではこれらの間の対応が自動的に成立することを示した. 現在この研究をさらに整備し, 論文をまとめているところである. さらに凸多面体の特別な場合としてルート系のゼータ関数に適用する研究を行った. まだ結果は出ていないが, 引き続き来年度研究を行いたい. また今年度は, 数年間執筆および証明の改良をしていた, ルート系に関する膨大な研究結果をまとめた本が完成し, ようやく出版することができた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度は, これまでの研究結果をまとめた本の執筆作業に多くの時間を割いた. さまざまな修正を行うことで, 初学者から専門家まで利用できる良い本ができたと考えられる. 一方で有限多重ゼータの一般化について, 適切な定式化が難しく, 理論の整備に時間がかかっており, 研究が多少滞っている.
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Strategy for Future Research Activity |
一般化された有限多重ゼータ値から統一多重ゼータ関数が得られ, 非正領域で対称多重ゼータ値との対応を証明したが, この研究を受けて正負混合領域では正領域の金子・Zagier 予想を仮定すると, この領域でも一対一対応が成立することが明らかにされた. しかし, 正負混合領域における値の様子が具体的にはわかっておらず, 金子・Zagier 予想の次元が整数全体ではどのように修正されるかは不明な状況である. 次年度以降, 一般理論の整備, 具体的な値を求めることや代数的定式化などを含め, これらについて研究を進めていく予定である.
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