Project/Area Number |
21K03194
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 11010:Algebra-related
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
早田 孝博 山形大学, 大学院理工学研究科, 准教授 (50312757)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2022: ¥260,000 (Direct Cost: ¥200,000、Indirect Cost: ¥60,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 半単純リー群 / 基本領域 / ジャイロ群 / 正定値対称行列 / 格子 / 対称領域 / カルタン分解 / 対称空間 / 対称錐 |
Outline of Research at the Start |
ジャイロ群とは、メビウス和やアインシュタイン積を抽象化した代数構造である。特に半単純リー群の極分解に付随するカルタン対合の固有値1部分はジャイロ群の例である。その行列表現および対称空間実現により解析可能なさまざまなジャイロ群の公式が得られると考える。 ジャイロ群においては例えばコーシー・シュワルツ型の不等式が知られており、その行列実現は興味深いと考える。逆に行列上のアダマールの不等式やエルミートの不等式などはジャイロ群の観点からはどのようになるのかを研究する。 応用として、数の幾何の観点からの不変量がジャイロ構造で解釈し、ボロノイ型の理論への寄与を追求する。
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Outline of Annual Research Achievements |
半単純リー群における一般化された球充填問題は数の幾何におけるエルミート定数等と関連し、興味深い対象である。そのうち渡部隆夫による行列式型高さ関数による一般化には、古典的な4次の一般線形群のジーゲル放物型部分群に付随する高さ関数が内包され、いわゆるランキン定数に対応するという面で非常に興味を持っているが、ランキン、クーランジェオンに始まるこの対象はまだまだ研究が少ない。しかし特別な場合である階数2のシンプレクティック群の場合は一般化されたエルミート定数が、シンプレクティック格子としてのD4格子により与えられることがわかる。この場合、完全格子のリストも得られる。これは一つには幸運にもジーゲル及びゴットシュリンクの基本領域に関する基礎研究があり、また行列式型高さ関数のアダマール不等式およびエルミート不等式が効果的に働いているという側面がある。 この一般化や別のリー群への応用を考えるには、基本領域や行列不等式の基礎研究が不可欠であると思い、ジャイロ群上の不等式やR.バーティアの一連の正値行列の満たす行列不等式を応用することをこの研究では模索中である。また高階のリー群への応用を考える際、階数1のデータも有用であると考えローレンツ群の球充填問題を考えることも有益であると考える。こちらは12次のローレンツ群にはちょうど9種類の完全格子があることなどを得ている。今後の研究の展開として、これらは、E.ビンバーグの類数の計算やD.シキリッチの結果と比較によるとさらに大きい次数への計算が期待できると思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
理論面においてジャイロ演算に関係する不等式が研究の主要なテーマのひとつであるが、コーシー・シュワルツの不等式やジャイロ積不等式、ジャイロ三角不等式に関して、半単純リー群のカルタン分解からくるジャイロ演算の場合、しかるべき行列群上または対称領域上での証明方法があるのが自然であると考えているがまだ良い着眼点を持っておらず停滞している。昨年より情報収集の状況が改善しておらず、研究連絡や、専門家の意見を伺うことについて満足に行えていないため、その点が進捗状況に影響している。また、昨年に引き続き、発表の機会として予定していた米沢数学セミナーを現在の状況下において開催することができていない点もまた進捗状況に影響している。ローレンツ群のより高い次数における完全格子の計算については、実装に必要になると思われるヒープをはじめとした種々の木構造、整列集合構造、などさまざまなデータ構造と探索などのそのアルゴリズムについての理解を深めることができたと思う。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究としては、ひとつには、ジャイロ構造の行列表示と不等式の関連において、ギャップを解消するため、不等式論の考察や一般的状況設定を見直したい。もうひとつの方針として、研究目的のひとつである、シンプレクティック格子の完全格子の探索についても考察を深め、計算の進展を期待したい。昨年も挙げたボトルネックに、格子の同型性の判定がある。球充填問題のような最適化問題における解法において必要な、2つの格子が同型であるかどうかの判定は、あるモジュラー行列によって移りあうかどうかを調べることになる。これを行列の三角分解からわかる最小ベクトルアルゴリズムを利用して判定する。その際のデータの扱いに改善が必要であるという観点から、基本的なアルゴリズムとその実装に関して理解を深めてきたし、さらにて理解を深めたい。 全体として専門家との研究連絡を直接行うことの効果が高いと考えてはいるので、情報収集の機会をもっと増やす必要がある。今年度開催される学会や研究集会での機会を探って実現したい。さらに、延期になっている米沢数学セミナーの開催は重要だと位置付けており、次年度以降の開催を模索したい。
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