Study on extremal combinatorics by approximate groups
Project/Area Number |
21K03241
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 11020:Geometry-related
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
見村 万佐人 東北大学, 理学研究科, 准教授 (10641962)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 不変擬準同型 / 安定混合交換子長 / 粗い群 / 粗い幾何 / 擬準同型 / 群のコホモロジー / 群の有界コホモロジー / 極値組合せ論 / 加法的組合せ論 / 近似群 / ラムゼー型定理 / エクスパンダー族 |
Outline of Research at the Start |
「素数全体の集合は、任意の有限長の等差数列を含む」というGreen-Taoの定理に代表される極値組合せ論・加法的組合せ論的現象の研究を行なう。その際、群の代数的に定義された概念(部分群や準同型写像など)を量的に拡張した概念を用いる。特に、有限群の部分群でのコセットを拡張した概念に近似群(approximate groups)があり、有限等差数列の拡張として近似群を利用して組合せ論的現象を研究する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度も令和3年度に引き続き、川崎盛通氏(青山学院大学)、木村満晃氏(京都大学)、松下尚弘氏(琉球大学)、丸山修平氏(名古屋大学)との共同研究で群とその正規部分群の組に対し、不変擬準同型と安定混合交換子長の研究を進めた。群とその正規部分群の組に対し、正規部分群上の準同型もどき(実数値関数で、群準同型の定義式を一様有界の誤差で満たすもの)で大きい群の元による共役作用で一様有界の誤差を除いて不変なものを不変擬準同型という。一連の研究で、不変擬準同型を用いることでシンプレクティック幾何における Rousseau の定理の系の閉曲面における一般化ができることが明らかになった。具体的には、種数が2以上の閉シンプレクティック曲面に対し、シンプレクティック微分同相群の単位元成分の2元が可換であるときにその2元のフラックス写像での像のカップ積がゼロとなることを示した。Rousseau の定理そのものでカラビ準同型写像を用いていたものを、閉の設定ではそれが存在しないので代わりに Py の不変擬準同型を利用することで証明を行なった。さらに、安定混合交換子長を混合交換子部分群上の関数とみるだけでなく混合交換子部分群上の長さ関数もどきと思うことで、安定混合交換子長の粗い幾何(coarse geometry)や粗い群(coarse group)の視点からの研究を推し進めた。系として、種数が2以上の曲面群とその交換子部分群のときや、より一般にある種の条件を満たす関係を1つのみもつ有限生成群において、安定混合交換子長と通常の安定交換子長の粗い群の観点からの違いを特定することができた。この違いは粗い群の理論において、粗い核(coarse kernel)と呼ばれている概念の例となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
群構造もどきとしての不変擬準同型の研究に関しては、令和3年度に引き続き令和4年度の研究で予想を超えた進捗があった。特に、不変擬準同型に関するある種の商ベクトル空間が群の組に関する緩やかな仮定の下で有限次元性が担保されるという結果(令和3年度に得られたもの)は今までの擬準同型の研究の方向性を大きく変えうるものである。さらに、令和4年度ではこの結果や混合交換子長に対する Bavard 双対を活用することで、群とその交換子部分群の組に対する粗い群の観点からの一般論を構築することができた。今までの研究は、拡張不可能性をもつ不変擬準同型について具体的な情報がある程度得られていることに依拠していた。他方、今回の研究は商ベクトル空間の次元計算を用いるのみで不変擬準同型に関する具体的な情報は不要であり、そのために一般論が作れた。特に、群とその正規部分群の組に大して定義される不変擬準同型の商ベクトル空間の消滅と安定混合交換子長と安定交換子長の双リプシッツ同値性が同値であるか、という問いに、適切な仮定の下でこれが肯定的であることを証明することができた。 今度の発展としては、群構造もどきの理論を加法的組合せ論などの組合せ論的現象に応用する方向性の研究も行ないたい。不変擬準同型に関する研究が研究を開始した当初の予定を大きく超えて進展したため組合せ論サイドの研究がしばらく追いついていなかったので、そちらの方向の研究も進めたいことを踏まえて総合的に「(2) 概ね順調に進展している」という自己評価とした。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進に関しては、以下の2つの方向を考えている。1つは粗い群の観点からの安定混合交換子長の研究を、令和4年度での仮定を越えた状況で考えることである。特に、この研究は群の間の適切な射を考えた際に、その射が誘導する線型射の研究とも関連する。これは、群の自己同型群の線型表現やより一般の群上の適切な射のなすモノイドから有限次元ベクトル空間上の自己準同型環へのモノイド準同型などを誘導する。このような、群の組の安定混合交換子長に関する研究を「対象」の研究とみなしたとき、「射」に関する研究を推し進めたい。シンプレクティック幾何に関する Rousseau の結果の閉曲面への拡張に関しても、これをさらに高次元化することを目標としている。 さらに、組合せ論的な研究にも取りかかりたい。これは加法的組合せ論に関する結果に almost subgroups の理論を応用したい。また、近年高次元エクスパンダー複体を用いて局所検査性をもつ高次元エクスパンダー符号が構成されたという理論計算機科学におけるブレイクスルーがあった。これに関しても、群論的な研究をより推し進め、高次元エクスパンダー複体から興味深い組合せ構造を構成する研究を考えている。
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Report
(2 results)
Research Products
(9 results)