Project/Area Number |
21K03273
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Maebashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
新國 裕昭 前橋工科大学, 工学部, 准教授 (90609562)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2025: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2024: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
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Keywords | 量子グラフ / カーボンナノチューブ / Shortley-Welley 近似 / 負の固有値の個数 / グラフェン / 分散関係 / 埋蔵固有値 / Floquet-Bloch理論 / 移動行列 / Shnol 型定理 / スペクトル / トポロジカル絶縁体 |
Outline of Research at the Start |
本研究は,量子力学の基礎方程式であるシュレディンガー方程式に対するスペクトル理論の構築を目的とするものである。特に,量子グラフ(グラフ上の自己共役な微分作用素)の方法で記述されるシュレディンガー作用素のうち,グラフェン・カーボンナノチューブ等物性物理学の対象についてスペクトルの研究を行う。まず第1に,複雑な形状の境界を有するグラフェンのバンド構造・エッジ状態の存在・非存在を解明し,通常のジグザグ境界の場合とスペクトル構造の比較を行う。第2に,不純物を含む不均質なカーボンナノチューブに対し,埋蔵固有値の存在・非存在を探る。その他,物性物理学に関連する話題についても検討したい。
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、2022年度に掲載受理となった論文の成果の口頭発表を行った。実際、立命館大学の平良晃一先生の主催するRIMS共同研究事業「様々なポテンシャルを持つシュレディンガー作用素のスペクトル理論」が京都大学数理解析研究所で行われ、 (1)「An estimate of the resolvent difference between 1D Schroedinger operators with δ-interactions and their Shortley--Weller approximations」 (2)「An explicit formulae for the number of the negative eigenvalues for carbon nanotubes with a ring of δ-impurities」 という講演タイトルで2回の連続講演をすることにより、前年度に得られた成果の口頭発表を行った。(1)の成果は、論文にまとめて投稿することを計画している。 (1)は、不等間隔の格子上に台を持つδ型点相互作用に従う1次元Schroedinger作用素に対し、Shortley--Weller 近似の方法で1次元離散Schroedinger作用素を構成し、適当な同一視作用を挟むことでそのレゾルベント差を評価したものである。 (2)は、数学誌「Integral Equations and Operator Theory」に掲載された成果内容である。ジグザグ型のカーボンナノチューブに対して、δ型不純物のリングを1つ混ぜた場合に対応するシュレディンガー作用素を量子グラフの手法を用いて構成し、δ型不純物の強度に応じて、負の固有値の個数を正確に記述する公式を与えたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
家族との死別によりメンタルが不安定になり、研究の進度としては遅れている状況である。
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Strategy for Future Research Activity |
申請時に提示した3つの課題に分けて推進方策を述べる。 (I)「複雑境界付きのグラフェンのバンド構造・エッジ状態の解明」については、数学誌「Operators and Matrices」に出版された論文を持って一応の解決とする。 (II)「不純物を含有する不均質なカーボンナノチューブの埋蔵固有値の存在・非存在の解明」については、数学誌「Integral Equations and Operator Theory」で構築した証明方法を元に、対象は「負の固有値の個数を数え上げること」に切り替えることの方が相性が良いことも鑑みて、より広い枠組みで結果が出せるよう計算を進める。 (III)「キャップ付きカーボンナノチューブ上のシュレディンガー作用素のスペクトル解析」については、その幾何構造を記述する論文(2006年, Lair ら)を発見することができた。一般にはキャップを付けることでカーボンナノチューブの球対称性が崩れてしまうことがわかった上、球対称性があったとしてもやはり1周あたりの六角形の個数が多くなると大行列の解析をしなければならないことがわかった状況である。そのため、当初の予定通り、1週あたりの六角形の個数が少ない場合のスペクトル構造の解明を目指すことにする。 (その他)確率論的なカーボンナノチューブのスペクトル解析に興味を持っている。現在、1次元のランダムSchroedinger作用素に対するスペクトル解析の手法を取り入れるため、論文を読み進めている状況である。
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