Project/Area Number |
21K03296
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12010:Basic analysis-related
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka City University (2021) |
Principal Investigator |
綾野 孝則 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 特任助教 (50726213)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | アーベル関数 / シグマ関数 / 楕円関数 / 代数曲線 / 超楕円関数 / 超楕円積分 |
Outline of Research at the Start |
本研究の目的は、情報科学(暗号・符号)、整数論、可積分系などの研究者が使いやすいような、明示的に記述されたアーベル関数の基礎理論を整備することである。まず、超楕円積分の逆関数とその退化に関する理論を整備する。次に、代数曲線の間に射が定義できるとき、それらの代数曲線に付随するアーベル関数の間の明示的な関係式を導出する。また、2変数有理型関数の差が正則関数と有理型関数の積に分かれる非自明な例を作る。これは多変数複素関数論における興味深い例を与えるものである。また、テレスコピック曲線と呼ばれる一般的な曲線の族に対して、アーベル関数論で重要なシグマ関数のべき級数展開の数論的な性質を示す。
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Outline of Annual Research Achievements |
(1) シグマ関数のべき級数展開の係数を求めるという問題は重要な問題であり,古くから研究されている.平面テレスコピック曲線に対しては,シグマ関数の原点の周りでのべき級数展開の係数は,代数曲線の定義方程式の係数と1/2により整数環上生成される環に含まれることが知られている.本研究では,この先行研究を一般のテレスコピック曲線に拡張することを検討してきた.昨年度,この一般化に関してある結果を得ていたが,先行研究の完全な一般化にはなっていなかった.本年度は,昨年度の結果を改良し,先行研究の完全な一般化を与えた.この結果について,数学会で発表し,論文を投稿している.
(2) アーベル関数には種数という自然数が定義され,種数が高いほどアーベル関数は複雑になる.種数の高いアーベル関数を種数の低いアーベル関数で表示できれば,種数の高いアーベル関数の具体的な数値を計算する上で有用である.これは数理物理などで重要になる.本研究では,2022年に出版された論文において,種数2の超楕円曲線から楕円曲線への次数2の射が存在するときに,種数2のアーベル関数を楕円関数で表示した.昨年度,種数3の超楕円曲線から楕円曲線への次数2の射が存在するときに,種数3の超楕円アーベル関数を楕円関数と種数2のアーベル関数で表示した.本年度は,これらの結果を拡張して,位数2の自己同型が存在するような種数gの超楕円曲線に対して,gが奇数のとき,種数gの超楕円アーベル関数を種数(g-1)/2と種数(g+1)/2の超楕円アーベル関数で表示した.また,gが偶数のとき,種数gの超楕円アーベル関数を2つの種数g/2の超楕円アーベル関数で表示した.この内容について論文を準備している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
種数の高いアーベル関数をより種数の低いアーベル関数で表示することが本研究の目的の一つである.本年度は,昨年度までに得られた結果を一般の種数の超楕円曲線に拡張できた.また,平面テレスコピック曲線のシグマ関数のべき級数展開に関する重要な先行研究を一般のテレスコピック曲線に拡張できた.このようなことから,研究はおおむね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
(1) 平面テレスコピック曲線のシグマ関数を代数関数と代数的微分形式の積分を用いて表示する公式が知られている.本研究では,この公式を一般のテレスコピック曲線に拡張する.
(2) 代数曲線上の点のアーベル・ヤコビ写像による像から元の点の座標を表示する問題をヤコビの逆問題という.超楕円曲線の場合は,超楕円シグマ関数の対数微分で定義されるアーベル関数で解が書けることが知られている.近年,この結果の平面テレスコピック曲線への拡張が与えられた.本研究では,この先行研究を一般のテレスコピック曲線に拡張する.
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