Project/Area Number |
21K03348
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12040:Applied mathematics and statistics-related
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Research Institution | The University of Electro-Communications |
Principal Investigator |
山本 野人 電気通信大学, 大学院情報理工学研究科, 教授 (30210545)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,900,000 (Direct Cost: ¥3,000,000、Indirect Cost: ¥900,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 精度保証法 / 力学系 / 常微分方程式 / 保存量 / 精度保証 / 精度保証付き数値計算 / 微分方程式 / 構造保存型数値解法 / 数値解析 / 現象解析 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、精度保証付き数値計算の技法の実際的な応用のための基盤を構築する。 精度保証技術の整備とさらなる発展を望みつつ、 ◎ 実際的な現象解析につながる精度保証法の応用 のための理論的基盤と解析ツールを開発する。 研究方法としては、申請者らが携わってきた連続力学系・離散力学系に対する Lyapunov 関数の構築・不変集合の検証などに関する精度保証法をベースとし、 1. 現象の数理モデルの解の長時間挙動を理解するための計算ツールを提供すること 2. 通常の計算スキームでは安定に計算できない問題に対して有効なスキームを構築すること を目的とする技法を創出する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、引き続き保存量を伴う常微分方程式系の精度保証法についての研究を遂行した。アプローチは二つあり、 (1) 常微分方程式系の精度保証法の代表的な手法であるLohner法に対し、保存量を利用したパフォーマンスの改善を試みる。 (2) 平衡点を中心とする球面上のデータを解析することで、平衡点近傍の不変多様体の存在を示す手法の発展 である。 まず(1)について述べる。この試みは、Lohner法で得られる真の解を含む区間ベクトルに対して初期値の保存量を含む多様体が通過する小領域を特定し、これらの小領域の凸包を取ることによって元の区間ベクトルよりも小さな半径を持つ解の存在領域を得る、というものである。初期保存量を保つ多様体の特定を含むことから、従来の手法である射影法と関係付けられる方法である。射影法はその不安定性ゆえ今日ではあまり用いられないと聞くが、精度保証法との組み合わせによって不安定性を除去することで言わば「射影法の復権」を図ることができよう。大学院生との共同研究の結果からは、従来のLohner法に比べて、計算時間・結果の精度ともに向上することが確認できている。 つぎに(2)について述べる。この手法は前年度までに非線形シュレディンガー方程式を扱うために開発されたものであるが、これを一般化して多次元の問題に適用できるための理論的基盤を整えた。計算領域を球面に限定することで、6次元以上の相空間においても計算量の指数関数的増大を抑えることが可能となり、また並列計算に適していることからクラウドコンピューティングによるパフォーマンスの大幅な向上が期待できる手法となっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現象解析のためのツールとしての精度保証技術を開発することが本研究課題の目的である。最終年度を目前にして、二つの有力な方向性を見出しその理論的基盤を整え得たのはかなりの進展であると考えている。また理論の整備だけでなく、低次元の問題に対しては、すでに数値計算による適用実験が行われていて、予測された良好な結果を得ていることも理由となる。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)については、現時点での方法がそのまま高次元でも高いパフォーマンスを保ち得るとは限らない。そのため、高次元化に向けてあらたな工夫が必要と思われる。そのためのアイデアはすでに得ていて、2024年度ではこれに基づいた数値実験およびその結果を踏まえた方法の改良を行う。さらに現実の事象の解析に必要な6次元以上の問題に適用し、その効果を検証したい。可能であれば、アインシュタイン方程式(16次元)のような難解な問題にもチャレンジしたい。 (2)については、理論はほぼ完成していると考えている。現時点では実質2次元の問題への適用に留まっているので、物理現象のモデルを考案して4次元・6次元の問題への適用例を増やしていきたい。まずは固定されたいくつかの質点の間を通過するひとつの質点の動きをシミュレートし、これが安定な周期軌道をもつケースについて、本手法で軌道の存在証明を行う。余力があれば、いわゆるn体問題にもチャレンジしたいと思う。
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