偏微分方程式の解に対する数値的検証法の新たな高度化の研究
Project/Area Number |
21K03378
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 12040:Applied mathematics and statistics-related
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
中尾 充宏 早稲田大学, 理工学術院, その他(招聘研究員) (10136418)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,950,000 (Direct Cost: ¥1,500,000、Indirect Cost: ¥450,000)
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Keywords | 数値解析 / 精度保証付き数値計算 / 有限要素法の構成的誤差評価 / 解の数値的検証法 / 計算機援用証明 / 数値的検証法 / 精度保証付き数値計算法 / 誤差解析 |
Outline of Research at the Start |
偏微分方程式の解に対する精度保証付き数値計算法(数値的検証法)の研究は、近年のスーパーコンピュータをはじめとする情報処理技術のめざましい発展とも相まって、著しい進歩を遂げつつある。本研究では、新たな精度保証の原理を追究し、解の爆発をともなう発展方程式や、乱流現象を記述する流体方程式など、適用領域を従来より一層広い非線形数理モデルにまで拡大するとともに、計算法の効率化・高精度化を図り、その有効性を格段に高めることを目ざす。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題と関連した研究協力者との情報交換および研究連携のもとにを検討を行った。本年度得られた研究結果は主として次の通りである。 (1)発展型方程式の基本形である熱方程式に対し、その時間周期解に対する従来の全離散解の構成的誤差評価を改良した。具体的なモデル問題に対する数値例を実装し、十分な改良効果が実現されていることを確認した。(2)3次元Stokes 方程式の有限要素解に対するa priori誤差評価定数を用いて、3 次元定常Navier-Stokes 方程式の解に対する数値的検証法を定式化し、非凸多面体領域上の問題に適用して、その検証数値例により、有効性を実証した。これは世界的に見ても未だ例のない画期的な成果であり、国際学術誌に論文として公表した。(3)藤田型の発展方程式に対し、解の爆発可能性および時刻の特定に関して、それらを精度保証付きで求める手法を定式化し、それを用いて空間1次元の藤田型問題に対する爆発時刻包み込みの実例を示し、その有効性を立証した。これは従来の数値的近似とは異なり、解が有限時間爆発することおよびその時刻を、数学的に厳密に保証するものである。(4)線形楕円型作用素に対する近似逆作用素ノルムの厳密な逆作用素ノルムへの収束について考察しその条件を明らかにした。さらに収束オーダーについてもいくつかの可能性を示唆した。楕円型作用素は無限次元であり、それを有限次元で近似した作用素が作用素として収束することは期待できないが、そのノルムは収束することを明らかにするものである。(5)熱方程式の全離散解に対して、その構成的a priori誤差評価定数を計算機援用証明を用いずに導出した。従来のa priori誤差評価定数の算定では、行列固有値問題の解を精度保証付きで求める必要があり、定数の決定が空間領域の形状や個々の離散化スキームに依存し、非効率的であったのに対して、この結果は本質的な改善をもたらすものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
熱方程式の全離散解に対し、その構成的a priori誤差評価定数を行列固有値問題の精度保証計算を用いずに導出する方法を与えたことは、従来の算定法に対して画期的な改良をもたらすものである。この結果によって、誤差評価の算定が空間領域の形状や個々の離散化スキームに依存せず容易に手計算での算定が可能となった。さらに、従来手法では空間高次元の場合、対応する固有値問題に現れる行列の次数は空間次元のべき乗に比例するため、空間多次元では、その計算コストは莫大なものとなる。したがって本結果は、放物型問題の計算機援用証明にも大きなブレークスルーを与えるものと期待される。また、3次元定常Navier-Stokes 方程式の解に対する数値的検証の実現や、藤田型方程式の解が有限時間爆発し、その時刻を数学的に厳密に特定できることを示した結果なども、前年度の成果をさらに発展させるものである。さらに線形楕円型作用素に対する近似逆作用素ノルムの厳密な逆作用素ノルムへの収束性証明とその収束オーダーの評価も、これまで解明されていない成果である。これらの研究成果は、本研究課題が当初の計画通り順調に進展していることを示すものである。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでと同様に、本課題の関係研究者との緊密な情報交換と研究協力の下に、次の課題に対して恒常的に検討を進める。 (1)非線形楕円型方程式の解のNewton法による数値的検証の効率化に向けて、線形楕円型作用素に対する逆作用素の存在検証とそのノルム評価のさらなる改良を図る。(2)熱方程式の全離散近似に対する構成的誤差評価法の改良と、それを用いた非線形発展方程式の新たな数値的検証法の定式化とその実装を図る。(3)楕円型作用素の近似逆作用素ノルムの厳密な逆作用素ノルムへの収束オーダーに関する検討(4)無限領域における解の検証条件とその数値的検証法の定式化(5)高Reynolds領域における、3次元Navier-Stokes 方程式の解に対する数値的検証の実現(6)発展方程式の解の爆発に関して、初期値との関連性や爆発領域の特定を精度保証する手法の開発(7)熱方程式の周期解に対し、空間方向有限要素、時間方向スペクトル法にもとづく全離散近似に対する構成的誤差評価を与え、それを用いた非線形放物型方程式の周期解の存在検証を実現する(8)非線形楕円型問題に対する全解探索法を定式化し、その実用化を図る。
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Report
(2 results)
Research Products
(22 results)