Strong correlation and strong coupling effects in the excitonic phase and its vicinity region based on the first-principles calculations and the quantum many-body calculations
Project/Area Number |
21K03399
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大野 義章 新潟大学, 自然科学系, 教授 (40221832)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
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Keywords | Pr1-2-20系 / 四極子秩序 / 第一原理計算 / RKKY相互作用 / Eliashberg方程式 / 超伝導 / 励起子相 / SmS / WTe2 / 最局在ワニエ関数 / 多バンドハバード模型 / 量子多体計算 / 強相関電子系 / 新奇超伝導 |
Outline of Research at the Start |
エネルギーギャップの小さな半導体やバンドの重なりが小さな半金属では、電子-正孔対(励起子)が量子凝縮(ボース・アインシュタイン凝縮)した励起子相が実現する。本研究では、この励起子相やその近傍において、従来の弱相関・弱結合理論(相互作用が小さい場合に成り立つ理論)では説明できない強相関・強結合効果を、物質のバンド構造を正確に記述する第一原理計算と電子間クーロン相互作用と電子フォノン相互作用を同時にかつ非摂動的に取り扱う量子多体計算を用いて調べ、この系が示す非自明な電子状態や新奇超伝導を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
Pr1-2-20系PrT2X20(T=遷移金属、X=Al, Zn, Cd)は、4f 2配位のPrイオンの結晶電場基底状態が非クラマース二重項Γ3であることに起因して、四重極秩序や超伝導、非フェルミ液体などの様々な興味深い振る舞いを示すことから注目を集めており、膨大な研究が進められつつある。その中で、PrTi2Al20では強的な四極子秩序(FQ)、PrV2Al20、PrIr2Zn20、PrRh2Zn20では反強的な四極子秩序(AFQ)が観測されているが、これらのFQとAFQの物質依存性の起源については未解明である。また、これらの物質では、四極子秩序相の低温領域において超伝導が発現し、四極子秩序と超伝導との関わりが注目されているが、超伝導発現機構やその対称性についても未だ分かっていない。 本研究では、第一原理計算(WIEN2k)に基づいて最局在ワニエ関数を用いて複雑な伝導バンドを正確に再現する有効196バンド模型を構築し、伝導電子を媒介としてPrイオンの四極子モーメントおよび八極子モーメント間に働くRKKY相互作用を導出した結果、PrTi2Al20ではFQ、PrV2Al20ではAFQとなる実験の四極子秩序説明するとともに、実験では未解明の詳細な内部秩序構造を決定した。また、PrTi2Al20では非常に飛びの小さい(ほぼ2次相転移に見える)1次相転移が実現すること、PrV2Al20ではAFQに2次相転移した後、さらに降温により別の種類のAFQに2段相転移することを示したが、これらはいずれも比熱の実験結果と良く整合する。さらに、一般化されたスピン波理論をこれらの四極子秩序に適用することにより四極子波(Quadrupolon)の分散を導出し、Quadrupolonを媒介とする引力相互作用による線形化Eliashberg方程式を解くことにより超伝導の転移温度とギャップ関数を求めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
銅酸化物高温超伝導や重い電子系などの強相関電子系では、簡単化した有効模型に基づくモデル計算が従来は行われていたが、2008年に発見された鉄系超伝導体の研究をきっかけとして、d軌道5軌道が関与する複雑に絡み合ったバンド構造が、その物性や超伝導発現機構に重要であることが認識されつつある。そこでは、第一原理計算に基づいて現実的な多軌道・多バンド有効模型を構築し、その有効模型に基づいて電子相関効果を量子多体計算により考慮し、磁気・軌道秩序やそれらの揺らぎによる超伝導を議論されている。しかし、f電子が重要な役割を果たす希土類化合物では、f軌道の7バンドに加えて多数の伝導バンドがフェルミ準位近傍で絡み合うため、鉄系超伝導体に比べてバンド構造が格段に複雑となり、第一原理計算に基づく強相関理論はこれまでほとんど行われてこなかった。本研究で、希土類化合物の中でも特に複雑なPr1-2-20系に対して、ベンチマーク的な196軌道からなる有効模型に基づいて四極子秩序の物質依存性を初めて説明した。また、四極子秩序相で観測される超伝導に対してQuadrupolonを媒介とする新しい超伝導機構を提案したことは、強相関系の理論研究の基盤としても重要な成果といえる。さらに、PrTi2-xVxAl20のように未だ実験が行われていない物質に対して第一原理計算に基づいて物性予測を行ったことは、今度の物質設計の指針としても意義がある。
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Strategy for Future Research Activity |
励起子相が実現することが期待される半導体・半金属近傍にある以下の①②の多バンド系について調べる。まず、第一原理計算に基づいて、McMillanの式を用いてTcを求める。得られたTcが実験を再現しなかった場合は、第一原理計算と最局在ワニエ関数を用いて有効多バンド模型を構築し、量子多体計算により非従来型の超伝導発現機構を明らかにする。 ① 層状遷移金属ダイカルコゲナイドの中で最高の超伝導転移温度Tc=8.8Kを示すWS2の超伝導が発見され、そのトポロジカル電子状態との関連からも注目を集めている。これまで、低圧相の2M-WS2ではTcの理論値は実験値の約1/3~1/6であり、さらに、実験ではTc=2.5Kを示す高圧相の3R-WS2では圧力によらずTcがゼロと見積もられ、従来型のBCSフォノン機構では説明が困難であることが分かった。そこで本研究では、既に構築した22バンドd-p模型に基づいて量子多体計算を行い、Tcの圧力依存性を説明しうる超伝導発現機構を明らかにする。 ② 鉄系超伝導体111系と同じ結晶構造をもつLaCoSiでTc=4Kの超伝導が発見され、その超伝導発現機構が鉄系との関連も含めて注目されている。これまで、第一原理計算に基づいてTcを求めた結果、実験値より2桁低くなったことから、非従来型の新奇超伝導が期待される。そこで本研究では、既に構築した40バンドd-d-p-f模型に基づいて量子多体計算を行い、実験のTcを説明しうる超伝導発現機構を明らかにする。
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Report
(2 results)
Research Products
(46 results)