局所刺激の選択的な応答により不均一運動や形状を遷移させる分子の数理機構の解明
Project/Area Number |
21K03411
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13010:Mathematical physics and fundamental theory of condensed matter physics-related
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Research Institution | Osaka Electro-Communication University |
Principal Investigator |
柳田 達雄 大阪電気通信大学, 工学部, 教授 (80242262)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ハミルトンダイナミクス / ビーズスプリングモデル / 準平衡状態 / 多時間摂動論 / 遅い緩和 / 動的形態形成 / 高分子 / 多時間摂動 / 分子形態 / 粗視化モデル / ダイナミクス / 局所運動 / 形状遷移 |
Outline of Research at the Start |
酵素反応のように,分子が機能を果たす際には分子内の特定部位の作用が重要となる.分子運 動の時間スケールにギャップがあると熱平衡への緩和が非常に遅く,内部運動に不均一性が生じることが明らかになってきた.タンパク質などの高分子は,共有結合・水素結合・ファンデルワー ルス力などの結合強度に起因する振動周期を持つため,多時間性を持つ系の典型である. 本研究は,高分子を粗視化したモデルを解析することにより:(I) 外界との相互作用による運動状態の遷移 (II) 局所刺激に起因する分子形状の変化 (III) 運動および形状に依存して構造転移する経路の生成機構を解明する.
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Outline of Annual Research Achievements |
共有結合・分子結合,分岐やループなどの非一様な結合構造による局所運動が生体高分子の機能に関与している.本研究は,生体高分子を粗視化した力学モデルである質点がバネでつながった系(ビーズスプリングモデル)が創出するダイナミクスを数値および理論的に解明し,機能生成に重要と考えられる不均一運動状態や分子形態形成機構を明らかにすることを目的とする. 本年度は,(1)ビーズスプリング分子の伸縮振動を与えると,励起モードに応じて分子形態が変化することを数値的に示しDynamical Induced Conformation(動的形態形成)として物理学会などにおいて報告した.特に,同位相で鎖状の分子間の振動を励起すると直線上の形態を保持し,反位相で振動を励起すると屈曲した分子形態が保持される.これらの結果は分子間ポテンシャルの極小値で規定される静的な形態とはことなる形態を振動の励起により動的に生成できることを示している.この動的形態変化を多時間摂動論により理論的に解析し,伸縮振動の励起にともない屈曲角の対する有効ポテンシャルの変化として理論的に捉えられた.これらの結果は学術雑誌(Physical Review E, 105, pp. 064201--064215 (2022))に掲載された. (2)ビーズスプリング分子の結合バネを剛体棒に置換したモデルは運動にHolonomicな拘束があるため,特徴的な熱力学的振る舞いが現れる.その1つが分子の運動エネルギーが非一様となることが数値的に示してきた.一方で,3粒子系の場合にはビーズ粒子の運動エネルギーの統計平均を厳密に求めることができ,非一様性,すなわち,外側にある粒子と内側にある粒子の運動エネルギーの平均値の大小関係が温度に依存して変化することを解析的に示し,これらの結果は学術雑誌(Journal of Statistical Physics volume, 190, pp. 1--34 (2023))に掲載された.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
時間スケールの異なる運動が内包しているヘテロ結合分子の動的振る舞いを解析してきた.特に,励起する振動モードに伴い分子形態が変化する,Dynamically Induced Comformation (動的形態形成)を明らかにした.また,このようなヘテロ分子と溶媒粒子が相互作用により系全体がエネルギー非一様状態となる準平衡状態を数値および理論的に示してきた.さらに,分子間の結合バネを剛体棒(リンク)に置換した場合の熱力学的な振る舞いを解析的に求め,温度に依存して,運動エネルギーの非一様が変化する転移を見出した.これらの結果は学会などにおける口頭発表および学術雑誌に掲載されている.このように本研究課題は概ね順調に進展している.
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Strategy for Future Research Activity |
先に述べたように,本研究課題は概ね順調に進展しており研究成果も学術雑誌に掲載されている.今後は,伸縮振動の励起に伴う分子の変化が溶媒粒子と相互作用した場合にどのように維持されるかを準平衡状態の観点から明らかにする.また,動的に形成された分子形態がエスケープ率や拡散係数などの物理量に与える影響を解析する.これらの研究は数値的な解析が主となり大規模計算となるため,演算速度の優れた計算機を導入してこれらの大規模シミュレーションを実行する.また,鎖状のビーズスプリングモデルを拡張して複雑な結合構造を持つ分子の振動モードの励起に伴う形態変化を解析する.
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Report
(2 results)
Research Products
(11 results)