二次元フーリエ分光法による鉛ペロブスカイト太陽電池の電子状態とその動的特性の解明
Project/Area Number |
21K03429
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13020:Semiconductors, optical properties of condensed matter and atomic physics-related
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Research Institution | Joetsu University of Education |
Principal Investigator |
小川 佳宏 上越教育大学, 大学院学校教育研究科, 教授 (50372462)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 二次元フーリエ分光 / 鉛ペロブスカイト / 太陽電池 / 非線形分光 |
Outline of Research at the Start |
鉛ペロブスカイト太陽電池は、その優れたエネルギー変換効率から新しい太陽電池材料として期待されている。この材料に特有の長寿命のキャリアが存在できる理由として、ポーラロン効果とラシュバ効果が有力である。本研究の目的は、鉛ペロブスカイト太陽電池における長寿命キャリアがポーラロン効果とラシュバ効果のどちらに由来するのか明らかにすることである。我々が開発した光電流をプローブとした二次元フーリエ分光法を用いることで、鉛ペロブスカイト太陽電池のバンド端近傍の電子状態とその動的特性を解明する。
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Outline of Annual Research Achievements |
鉛ペロブスカイト太陽電池は、その優れたエネルギー変換効率から新しい太陽電池材料として期待されている。この材料に特有の長寿命のキャリアが存在できる理由として、ポーラロン効果とラシュバ効果が有力である。 本研究では、我々が考案した光電流をプローブとした二次元フーリエ分光法を用いることで、鉛ペロブスカイト太陽電池のバンド端近傍の電子状態とその動的特性を解明する。二次元フーリエ分光法は、位相制御した光パルス列を用いることで、光の吸収過程と放射過程についての二次元スペクトルを得ることができる手法である。これにより、鉛ペロブスカイト太陽電池における長寿命キャリアの起源を明らかにする。本研究では典型的な鉛ペロブスカイト太陽電池としてMAPbBr_3単結晶を用いることとする。 今年度は、初めに測定を行うための光源を準備した。Tiサファイアオシレーターにより発生させた1.5 eVのフェムト秒パルスをフォトニック結晶ファイバーに入射することで、スーパーコンティニウム(SC)光を発生させた。SC光を用いることでMAPbBr_3単結晶のバンド端(2.3 eV)で実験を行うことができる。SC光はチャープ量が大きくパルスの時間幅が非常に大きいことから、プリズムペアを用いてパルスの分散補償をすることで時間幅の圧縮を行った。 次に、MAPbBr_3単結晶の二次元フーリエ分光測定を行った。ネストしたマッハツェンダー干渉計によりパルス列を作り、試料に照射することで発生する光電流を測定した。パルス列の時間間隔を走査することで二次元データを取得し、これをフーリエ変換することで二次元スペクトルを得た。試料は冷凍機を用いて冷却し、7 Kと160 Kで二次元スペクトルを得ることができた。バンド端近傍に励起子に由来すると考えられるピークを観測することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
試料として鉛ペロブスカイト太陽電池MAPbBr_3単結晶(MA:CH_3NH_3+)を用いて、二次元フーリエ分光測定によって得られる二次元スペクトルから、バンド端近傍における電子状態を明らかにすることを目指して実験を行った。 本年度は、Tiサファイアオシレーターにより発生させた1.5 eVのフェムト秒パルスをフォトニック結晶ファイバーに入射することで、スーパーコンティニウム(SC)光を発生させ、これを二次元フーリエ分光測定の光源として用いた。SC光を用いることでMAPbBr_3単結晶のバンド端(2.3 eV)で実験を行うことができる。SC光はチャープ量が大きくパルスの時間幅が非常に大きいことから、二次元フーリエ分光測定を行うことが難しいことがわかった。そこで、プリズムペアを用いてパルスの分散補償をすることで時間幅の圧縮を行った。プリズムペアでは2次の分散までを補償することができるが、3次の分散を補償することができない。フォトニック結晶ファイバーにより発生させたSC光には3次の分散が含まれているが、プリズムペアで分散補償することで、本研究での実験に用いるには十分な時間幅まで圧縮できることがわかった。このようにして、時間幅100 fs、中心エネルギー2.3 eV、スペクトル幅0.2 eVの光パルスを発生させることができた。 次に、MAPbBr_3単結晶の二次元フーリエ分光測定を行った。干渉計を用いて4本のパルス列を生成し、試料に照射することで発生する光電流を測定した。励起パルス列の時間間隔τと信号が放出された時間tの、2つの時間の関数としてデータを取得し、これをフーリエ変換することで、τのフーリエ変換である吸収周波数と、tのフーリエ変換である放出周波数の2つの周波数の関数として二次元スペクトルを得ることに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度までの研究により、MAPbBr_3単結晶の二次元フーリエ分光測定を行えるようになった。今後は得られた二次元スペクトルの解析を進めていく。また、現状では二次元スペクトルを取得するのに非常に時間がかかるために、温度依存性などの一連のデータを測定することが困難である。そこで、今後は測定系の安定性を向上させることにより、長時間安定して測定を行うことができるようにしていく。具体的には、ステアリングミラーを用いてオシレーターからの出射光の長時間ドリフトを補正することでフォトニック結晶ファイバーの出力が安定するようにする。
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)