Project/Area Number |
21K03443
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13030:Magnetism, superconductivity and strongly correlated systems-related
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
田山 孝 富山大学, 学術研究部理学系, 准教授 (20334344)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
|
Keywords | 非従来型超伝導 / SDW秩序 / FFLO相 / 元素置換効果 / FFLO状態 / スピン密度波秩序 / 熱力学的物理量 |
Outline of Research at the Start |
非従来型超伝導体CeCoIn5(Tc=2.3K)は常圧下の超伝導相内の高磁場低温領域で別の超伝導相(Q相)を持ち、空間的に秩序変数が変調したFFLO型の新奇な超伝導状態の可能性が期待されている。しかしこのQ相ではスピン密度波(SDW)秩序を伴うことから、Q相がFFLO状態であるかどうかは未だ明らかにはなっていない。本研究は磁化、体膨張率(体磁歪率)、比熱の3つの熱力学的物理量の精密測定から、これらの間に成り立つ熱力学的関係式を用いてCeCoIn5およびその置換系の磁気相図を詳細に調べ、Q相、FFLO相、SDW相の相関関係を実験的に明らかにする。
|
Outline of Annual Research Achievements |
今年度、液体ヘリウム供給のトラブルによりCe1-xNdxCoIn5の低温実験が行えなかった。そのため、本報告ではイジング系反強磁性体であるSmPt2Si2の低温実験およびデータ解析の結果について代わりに報告する。
SmPt2Si2はc軸方向に強い磁気異方性を持ち、5.1Kにおいて部分無秩序状態をもつ反強磁性転移を示す。さらにTg=2.4K以下では、部分的無秩序状態の磁気モーメントだけがスピングラス状態を形成しているのではないかと考ている。しかしながら、このスピングラス状態は通常のスピングラスとは明らかに異なり、横磁歪において非常に早い緩和現象を示す。そこで,この異常緩和現象の緩和機構を明らかにするために、磁化測定、磁気トルク測定、および縦磁歪測定を行った。その結果、残留磁化においては緩和現象が確認されなかったが、残留磁気トルク,縦磁歪測定においては明瞭な緩和現象が確認された。このことは、横磁歪における早い緩和現象はSmイオンの磁気モーメントのc軸方向の成分によるものではなく、c軸方向に垂直な小さな磁化の成分によって引き起こされていることを示唆する。また、温度が十分に低いことからこの緩和現象は量子ゆらぎと関連している可能性がある。この反強磁性と異常スピングラスの共存状態はまだ未解明な点が多く、今後もさらなる実験を計画している。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究では、多量の液体ヘリウムが必要とされるが、大学内の液体ヘリウム液化装置におけるヘリウムガス回収バックのゴムの劣化による複数箇所の漏れと、能登半島地震による回収圧縮機の漏れのトラブルが発生した。これらのトラブルにより、ヘリウムガスが不足し、実験に必要な液体ヘリウムの供給が滞った。結果として、実験の進行に遅れが生じた。
|
Strategy for Future Research Activity |
現在も液体ヘリウムの供給状況は改善されておらず、学内での液体ヘリウムの利用には制限が設けられている。そのため、今後の研究計画の正確な見通しを立てることが難しい状況である。しかし今年度中には実験を完了し、研究成果を論文にまとめることを目指す。
|