Development of force field considering hydrogen-bond directionality
Project/Area Number |
21K03489
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 13040:Biophysics, chemical physics and soft matter physics-related
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
苙口 友隆 慶應義塾大学, 理工学部(矢上), 講師 (90589821)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2022: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2021: ¥3,380,000 (Direct Cost: ¥2,600,000、Indirect Cost: ¥780,000)
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Keywords | 蛋白質 / 構造アンサンブル / 分子力場 / 分子動力学シミュレーション / X線溶液散乱 / 蛋白質分子力場 / 水素結合 |
Outline of Research at the Start |
子動力学法(MD)は生体分子機能の研究において極めて有用であるが、近年の計算機の発達により可能になったマイクロ秒MDによって、MD計算に必要な分子力場が未だに蛋白質構造の安定性を再現できていないことが顕著になりつつある。研究代表者は、蛋白質構造形成に重要な水素結合を正しく扱うためには、原子を点電荷として近似する従来の分子力場ではなく、研究代表者が開発した、極性原子を複数の電荷点で表す近似が必要であることを示してきた。そこで、本研究では、多点電荷原子モデルを導入した分子力場を電荷分布と共有結合項の両方に関して最適化を行うことで、蛋白質構造の安定性を再現できる高信頼度の分子力場を開発する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、研究代表者が開発してきた多点電荷原子モデルを導入した分子力場を電荷分布と共有結合項の両方に関して最適化を行うことで、水素結合を正しく取り扱い、かつ生体分子構造に関する実験データを再現できる分子力場を開発することを目的としている。分子力場を検証できる実験データとして最適なものは、蛋白質の構造アンサンブルに関する情報を与えてくれるものである。そのような実験手法としては溶液X戦散乱(SAXS)やNMRがあるが、それらが与える構造アンサンブルの情報は低分解能もしくは部分的といった特徴がある。そのため、分子力場を用いた分子動力学(MD)シミュレーションと実験データを比較する際には、情報科学的手法を用いて両者を連携させ、構造アンサンブルの正しい情報を与える手法が必要である。そこで、本年度は昨年度に続き、ベイズ統計の枠組みを用いて、実験SAXSデータを再現するようにMD構造アンサンブルを最適化する手法を開発している(ベイズ・アンサンブル最適化法)。 本年度は、アデニン酸キナーゼやトランスフェリンといったマルチドメイン蛋白質を用いてアンサンブル最適化の検証シミュレーションを行い、上記のベイズ・アンサンブル最適化法の有効性を確認することができた。さらに、実際の実験データへの適用例として、さらにグルコサミンキナーゼの実験SAXSデータにベイズ・アンサンブル最適化法を適用し、基質結合によって引き起こされる構造アンサンブルの変化を調べた。その結果、グルコサミンキナーゼは基質非結合状態ですでに結合によって引き起こされる構造変化を行っていることが明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実績の概要に記したように、本年度は、実験情報を再現できる構造アンサンブルをMDシミュレーションの結果から得られることを可能にする手法を開発した。現在、論文用のデータの取得はほぼ終了しており、論文執筆作業を行っている。したがって、現時点では研究は順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、開発したベイズ・アンサンブル最適化法を、複数のマルチドメイン蛋白質の実験SAXSデータに適用していき、得られた構造アンサンブルをMDシミュレーションによって再現できるように分子力場の関数形及び力場パラメータの改良を行っていく。これにより、蛋白質の構造アンサンブルを再現できる分子力場を構築する。 マルチドメイン蛋白質は複数のドメインで構成された蛋白質であり、各ドメインが相対的に動くことで全体構造の構造変化を引き起こし(ドメイン運動)、その機能を発揮する。ドメイン運動は多くの蛋白質の機能発揮に使われる基本的動きであるため、マルチドメイン蛋白質を適用対象とすることは生物学的にも大きな重要性を持つ。このドメイン運動をMDシミュレーションが再現できるかどうかは、MD計算及び、計算で用いる分子力場にとっても、手法の有用性を示す意味で重要である。しかしながら、研究代表者がこれまで行ってきた研究からは、マルチドメイン蛋白質の実験SAXSデータをMDシミュレーションが再現することは、アンサンブル最適化法を使用しない限り稀であることが明らかになっており、分子力場改良の必要性は明らかである。 マルチドメイン蛋白質の実験SAXSデータをMDシミュレーションが再現できない理由としては、ドメイン間の相互作用を現在の分子力場が正しく扱えていないことが挙げられる。ドメイン間の相互作用は水分子を介して行われるため、このことは、真空中での量子化学計算を再現するように最適化されている現在の分子力場では、水中におけるポテンシャル場を正しく表現できていないことを示している。そこで、実験SAXSデータ及びベイズ・アンサンブル最適化で得られたマルチドメイン蛋白質の構造アンサンブルを再現できるように、蛋白質分子と水分子間の相互作用項の改良を行っていくことで、水中におけるポテンシャル場を正しく扱える分子力場を構築する。
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Report
(2 results)
Research Products
(4 results)