磁気圏プラズマにおけるアルフベン波乱流と電子加速に関する研究
Project/Area Number |
21K03502
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 14010:Fundamental plasma-related
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Research Institution | National Institutes for Quantum Science and Technology (2022) Hosei University (2021) |
Principal Investigator |
西村 征也 国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構, 那珂研究所 先進プラズマ研究部, 主幹研究員 (70548544)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥2,210,000 (Direct Cost: ¥1,700,000、Indirect Cost: ¥510,000)
Fiscal Year 2023: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
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Keywords | 磁気圏プラズマ / 磁気圏-電離圏結合 / フィードバック不安定性 / 運動論的アルフベン波 / ジャイロ運動論モデル / 双極子磁場 / ジャイロ流体モデル / アルフベン波乱流 / 電子加速 / 電子ランダウ減衰 |
Outline of Research at the Start |
オーロラはカーテン状や渦状の構造を持つ。オーロラの複雑な振る舞いは磁気圏にアルフベン波乱流が存在することを示唆している。また、オーロラが発光するためには、磁気圏において電子が加速される必要がある。本研究では、磁気圏におけるアルフベン波乱流による電子加速機構の一端を解明することを目的とする。運動論的効果を含むモデルを磁気圏に適用したシミュレーション研究を行い、電子ランダウ減衰がアルフベン波乱流の非線形発展にどのような影響を与えるか、アルフベン波から電子にどのような過程でどの程度のエネルギーが渡されるか、を明らかにする。本研究を通して、人工衛星等の人間生活圏である磁気圏への理解が進展する。
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Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度の研究においては、磁気圏を双極子磁場によって近似した系へと対象を拡張した。これによって、より現実に近い条件においてアルフベン波乱流の特性と電子加速機構について調べることが可能となる。双極子磁場配位に対しては、運動論的アルフベン波の解析的な分散関係が導出できないため、ジャイロ流体モデルのクロージャを構築することができない。従って、ジャイロ運動論モデルを直接扱う必要がある。 双極子磁場配位においては、磁力線に沿って磁場の大きさやプラズマパラメータが大きく変化するため、ジャイロ運動論モデルを適用する際には複数の克服するべき課題が存在する。まず、電離圏近傍と磁気赤道近傍では磁気モーメントに約百万倍の分解能の違いが存在するため、磁気圏全体の磁気モーメント空間を扱うことは数値計算上困難である。そこで、ジャイロ運動論モデルを磁気モーメント空間に対して予め積分し、ミラー力を近似的に扱うモデルを導入した。また、平行速度空間については、磁気圏全体で数十倍程度の分解能の違いが存在するが、不等間隔メッシュを導入することによって、比較的少ないメッシュ数で必要な分解能が得られることが明らかになった。さらに、磁力線に沿ってアルフベン速度が大きく変化するため、数値振動や数値不安定性が発生するが、初期摂動の分布や時空間の分解能を適切に選択することで、これを回避することができることが明らかになった。 以上の方法論を組み合わせることにより、ジャイロ運動論モデルを用いた双極子磁場配位におけるフィードバック不安定性の安定性解析を行うシミュレーションコードの開発に成功した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和4年度の研究においては、双極子磁場によって近似された磁気圏に対してジャイロ運動論モデルを適用するための方法論を新たに開拓した。この方法論に基づいて開発されたシミュレーションコードを用いることにより、非一様な背景場が存在する場合に運動論的効果がフィードバック不安定性にどのように作用するかを調べることが可能となる。また、発達するアルフベン波から電子にどのようにエネルギーが渡されるかを運動論的な観点から論じることが可能となる。以上から、磁気圏プラズマにおけるアルフベン波乱流の特性と電子加速機構に対する理解を進展させるための基盤となる方法論の開拓が概ね順調に進展していると判断される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究においては、フィードバック不安定性の安定性への背景場の非一様性の影響について詳しく解析するとともに、フィードバック不安定性の非線形発展において運動論的効果がどのように作用するかを調べる。 はじめに、令和4年度に開発した双極子磁場配位における運動論的アルフベン波をジャイロ運動論モデルに基づいて解くシミュレーションコードを用いて、フィードバック不安定性の安定性解析を行う。初期的な解析においては、磁気圏をスラブ磁場近似したときに得られたものに類似したある波数においてピークを持つ成長率の波数スペクトルが観測されている。スラブ磁場近似を用いた解析との比較からは、ランダウ減衰による安定化効果が強く作用していることが示唆される。また、ミラー力の作用は従来の研究では明らかになっていないため、ミラー力の作用を人為的に切った解析を行い、フィードバック不安定性の成長率や磁力線に沿った波形にどのような影響を与えるかを調べる必要がある。運動論的効果は、磁気圏のプラズマ密度やプラズマ温度に強く依存するため、これらの背景場を様々に変化させた場合に、成長率の波数スペクトルがどのように変化するかを調べる。 次に、フィードバック不安定性の非線形発展を調べるためのシミュレーションコードの開発に取り組む。ジャイロ流体モデルを用いた非線形シミュレーションにおいては、電離圏からアルフベン波に渡されるエネルギーがランダウ減衰によって散逸されることで非線形飽和状態が維持されることが分かっている。しかし、流体モデルでは散逸されたエネルギーがどのように電子に渡されるかを追跡することはできない。この点を調べるために、初めにスラブ磁場近似された磁気圏、次に双極子磁場近似された磁気圏、という順番で段階的にジャイロ運動論モデルを用いたフィードバック不安定性の非線形シミュレーションコードの開発に取り組む。
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Report
(2 results)
Research Products
(10 results)