Particle density probability distribution function and avoidance of sign problem in finite density lattice QCD
Project/Area Number |
21K03550
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
江尻 信司 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (10401176)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | 素粒子論 / 計算物理 |
Outline of Research at the Start |
重イオン衝突実験や連星中性子星の合体などを理解するために、近年、高密度状態での強い相互作用の性質について関心がもたれている。しかし、第一原理計算である有限密度での格子QCDの数値シミュレーションには符号問題という問題があり、高密度での研究は未だに困難である。本研究ではQCDが持つセンター対称性を利用することにより、その符号問題の回避を試みる。また、QCD相転移の高密度での性質の変化を調べるために、衝突実験で生成された熱浴中の粒子数密度の揺らぎが注目されているが、符号問題を回避する新しい方法をとり入れ、格子QCDの数値シミュレーションにより、クォーク数密度確率分布関数の第一原理計算を目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
QCDの有限温度相転移は、低密度では熱力学的特異性を持たないクロスオーバーで、ある臨界密度から一次相転移に変わると予想されている。その高密度での相転移の性質の変化を、熱浴中での粒子密度の出現確率を表す確率分布関数に注目して研究している。粒子密度の確率分布関数は粒子数を固定したカノニカル分配関数を構築することによって得られる。しかし、格子QCDの有限温度相転移を理解するうえで重要なセンター対称性が、有限体積で厳密に保たれている場合、粒子数が3の倍数の場合を除き、確率分布関数は必ずゼロとなる。U(1)ゲージ理論の場合はより深刻で、センター対称性により粒子数がゼロ以外のカノニカル分配関数はすべてゼロになってしまう。本研究ではその問題に対する解決策を議論した。同時に、有限密度格子ゲージ理論における重要問題である符号問題の、センター対称性による回避方法を提案した。有限体積で計算する場合、センター対称性を微小に破らない限り正しい計算はできない。まず、U(1)格子ゲージ理論でフェルミオン質量が重い場合に、実際に数値シミュレーションを行い、本研究で提案した方法で有限密度でのカノニカル分配関数の計算が可能であることを示した。さらにQCDへの適用について議論した。 カノニカル分配関数はフェルミオン行列式のホッピングパラメータ展開(フェルミオン質量の逆数による冪展開)と密接に関係がある。その展開の各項を有限密度への影響の大きさで分類して、展開項の大きさや収束性を議論した。動的クォークが重ければフェルミオン行列式が少数の展開項で近似できるので、ホッピングパラメータ展開によって、クォークが重い領域での一次相転移がクロスオーバーに変わる臨界質量を決定した。また、グラディエントフロー法という方法が有限密度QCDの計算においても利用できるのではないかと考え、グラディエントフロー法の性質についても研究した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カノニカル分配関数を計算する方法を提案して、まず、U(1)格子ゲージ理論で動的フェルミオンが重い場合の計算を行った。さらに、SU(3)ゲージ理論にその方法を適用するための議論を行った。 さらに、カノニカル分配関数と密接な関係にあるフェルミオン行列式のホッピングパラメータ展開を非常に高次まで行うことにより、その展開項の大きさや展開の収束性を議論した。ホッピングパラメータ展開を用いることで、クォークが重い領域での一次相転移がクロスオーバーに変わる臨界質量が非常に精密に決定できることが分かった。格子間隔を徐々に小さくして連続極限での臨界質量の決定を目指している。 グラディエントフロー法の性質についても議論した。ホッピングパラメータ展開と絡め、有限密度の相転移点付近での熱力学量の計算、特に粒子密度の計算に、グラディエントフロー法を有効利用する方法がないか考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、動的フェルミオンの質量を軽くしても格子ゲージ理論のカノニカル分配関数が計算できるかどうか、さらにQCD(SU(3)格子ゲージ理論)に適用することを議論する。フェルミオン行列式のホッピングパラメータ展開はフェルミオンをウィルソンループで表す方法で、カノニカル分配関数はそのウィルソンループが周期的境界条件を課した時間方向に巻きついた数で分類することで得られる。ホッピングパラメータ展開の各項のふるまいもある程度分かってきているので、現実の有限密度QCDへの適用を考えていきたい。
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Report
(2 results)
Research Products
(30 results)