Project/Area Number |
21K03557
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Osaka Metropolitan University (2022-2023) Osaka City University (2021) |
Principal Investigator |
中尾 憲一 大阪公立大学, 大学院理学研究科, 教授 (90263061)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
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Keywords | 超コンパクト天体 / ブラックホール / 裸の時空特異点 / 一般相対論 / 重力理論 / 量子論的放射 / 準固有振動 / グラバスター / 高速回転コンパクト天体 / 相対論 |
Outline of Research at the Start |
我々の宇宙に存在するブラックホールは、大質量の物体の重力崩壊によって形成されると考えられている。しかし、ブラックホール自体を観測することは原理的に不可能であり、物体がブラックホールを形成する場合、我々が観測できるのは永遠に重力崩壊を続ける物体だけである。本研究では、ほぼブラックホールのサイズまで収縮した高速回転する重力崩壊物体の観測可能性及びブラックホール類似天体の一つである gravastar の性質、そしてそれらの極近傍における物理過程を明らかにすることを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
電波や重力波の観測技術の目覚ましい発展により可能となったブラックホール候補天体の観測的研究が現実のものとなった今、その近傍の物理現象の理論的な研究はその重要性を増している。ブラックホールはその外部に物理的な影響を一切及ぼさない領域である。それゆえ、我々がブラックホールを直接観測することによってその存在を確認することはできない。我々が観測できるのは、永遠に重力崩壊を続ける超コンパクト天体か、重力崩壊をやめて静的あるいは定常になったコンパクト天体とその周りの時空構造である。本研究の目的はその超コンパクト天体近傍の物理的情報をどのように引き出すのかを理論的に明らかにらかにすることである。 23年度は重力収縮する超コンパクト天体周りの時空構造を探る方法は、その周りの物体の運動を観測することである。23年度は21年度から進めていたスカラー場をまとう球対称コンパクト天体を仮定して、天の川銀河の中心に存在する巨大質量の超コンパクト天体 SgrA* の周りの恒星の軌道のデータを解析した結果が、査読付き論文に掲載された。またブラックホール周りの電磁場の解析を再開した。電磁波観測によって存在が確認されているブラックホール候補天体は、その周囲に存在する電磁場とプラズマの振る舞いからその存在が推測されているのである。23年度は陽子と電子から成るプラズマがブラックホールの周りに存在する場合に、ブラックホールが帯電しうることを示し、その電荷の影響で周りのプラズマがどのような影響を受けるのかを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
23年度は大学業務の増加のために、進捗状況は良好とは言えない。 Superspinar の安定性に関しては、その外部時空を記述する Kerr bound を超えるKerr 時空の線形摂動の解析を、22年度に指導した修士課程の大学院生との共同研究として行ない、線形摂動として質量ゼロのスカラー場の方程式の解を、無限遠で外向きに伝播する境界条件のもとで求め、安定性とエルゴ圏の表面におけるスカラー場のエネルギーの流出入と不安定性の関係を明らかにしたものを、23年度中に論文にまとめて投稿する予定でであったが、大学業務の多忙化によりまだできていない。 23年度は指導する大学院生がブラックホール磁気圏に強い興味を示したことが理由で、ブラックホール周辺の電磁場とプラズマの運動の研究を再開した。ブラックホール周辺の電磁場の研究を通してブラックホール候補天体、すなわち本研究における研究対象である超コンパクト天体の周辺の幾何学的情報を探ることは、本研究計画には含まれていなかったが、本研究の目的を達成する上で極めて重要だと考えている。この路線の研究は着実に成果を挙げつつある。
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Strategy for Future Research Activity |
高速回転している超コンパクト天体である Superspinar の安定性の解析をさらに進めて論文として発表することを目指す。また、ブラックホール周辺の電磁場を、これまでにあまり注目されてこなかったブラックホールの帯電に注目して解析を進める。
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