Designing of experiments for fundamental physics using man-made atoms
Project/Area Number |
21K03575
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
|
Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
|
Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
吉村 太彦 岡山大学, 異分野基礎科学研究所, 客員研究員 (70108447)
|
Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
|
Budget Amount *help |
¥2,340,000 (Direct Cost: ¥1,800,000、Indirect Cost: ¥540,000)
Fiscal Year 2023: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2022: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
Fiscal Year 2021: ¥780,000 (Direct Cost: ¥600,000、Indirect Cost: ¥180,000)
|
Keywords | 暗黒エネルギー / インフレーション / 一般相対論の変更 / スカラーテンソル重力 理論 / 原子重力波 / 原子ブラックホール / ニュートリノ質量 / マヨラナニュートリノ / スカラー・テンソル重力理論 / 微細構造定数の時間変化 / 宇宙項 / 暗黒物質 / 人工原子 / 指数減衰崩壊則 / パリティ非保存 / 量子井戸 |
Outline of Research at the Start |
最近のナノ科学の進展は著しく、nm からミクロンサイズの量子ドットに10ボルト程度の電圧を印可することで、様々な人口原子(電子のポテンシャル井戸閉じ込め)をつくることが可能になった。自然原子との大きな相違点は、電子を束縛する原子核の不在にあり、束縛状態のレベル構造、光遷移に関わる電子双極子の大きさ、の違いを生じる。技術的に可能な範囲で、原子のサイズとポテンシャルの深さを自在に調整でき、目的とする実験への最適化が容易になる。本研究では、共鳴状態にある電子のトンネル現象を使って、量子力学の予言する、不安定状態の指数減少法則からのずれ、すなわち時間のべき法則への移行を測定する実験の詳細設計をめざす。
|
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は主として宇宙論に関係する重要課題の解決に向けた理論研究を遂行した。 インフレーション後に熱い宇宙が実現し、その後、暗黒物質が支配する宇宙を経て、現在は暗黒エネルギーが支配する加速宇宙に突入した、というのが宇宙の観測と合致する標準理論である。インフレーションと暗黒エネルギーはともに一時的ではあるが、真空エネルギーが他のエネルギー形態を圧倒する時期である。この両者は同じ起源に帰すると考えるのが自然であるが、その大きさ比をエネルギー密度とすると、10^(120)、1/4乗のエネルギーとすると、10^30となり、いずれも極端に大きい。 この謎を解く鍵は前年度から研究を始めた重力理論の変更、具体的には拡張したJordan-Brans-Dicke 理論とする提案を推進した。私たちが提唱した拡張JBD 理論によると、JBDスカラー場はポテンシャル項を持つ。このポテンシャル項が場の冪関数x負冪の指数関数の場合、ポテンシャル極大より小さな場から出発するとインフレーションが実現し、このインフレーションは最近得られた2つの観測量と整合するパラメータ選択が可能となる。一方、ポテンシャル極大より大きな場から出発すると、暗黒エネルギーが実現する。両者をつなぐことが可能かを検討し、JBD場を2成分にすればインフレーションを実現したのち、場の方向転換が起こり、暗黒エネルギーが支配することが可能となる、ことを解明した。これはHubble 項が効く膨張宇宙でも可能である。以上は既に論文としてまとめており、近日中に公表予定である。 なお、拡張JBD理論では、素粒子の質量、結合定数などが宇宙時間とともに変化しえる。この変化率は小さく地上実験、宇宙観測により得られる上限と矛盾しない。もう一つの研究課題は宇宙背景マイクロ波(CMB)測定の進展によるニュートリノ質量と質量タイプの決定に関連する。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
ある程度予想されていたが、米国・欧州を中心とした宇宙の観測は、予想以上に着実に進んでおり、近未来に大きなサプライズが見込まれる。これらは、原始重力波発見に関連する宇宙マイクロ波B-モードの発見、ニュートリノ質量和の上限値ではなく有限値の確定を含み、既にニュートリノ振動実験との整合性が問われるレベルに達した。これとともに、元素合成時に予想されるニュートリノ種類数3からのずれが元素合成後の宇宙観測により可能となりつつある。素粒子物理が解明したい重要な課題がここにある。人口原子に特化した研究を推進したいと当初の本計画を提案したが、この世界的状況を反映した研究展開も取り込むことにした。 その結果、2つの課題に対して興味ある、またインパクトの高い研究成果をえた。 両研究は、新潟大学と東京女子大学の研究者とともにJBD拡張理論の研究を行い、宇宙観測によるニュートリノ質量の研究を岡山大学と大阪大学の研究者と遂行している。研究の中核はあくまで本提案者にあるが、共同研究者の協力も大きな力になっている。繰越年度の最終年に少なくとも3本の論文を公表できる見通しがある。 やや意外だが、宇宙観測により測定狩野な有効ニュートリノ種類数から、ディラックニュートリノ理論に大きな制約を課すことができることが明確になった。これは理論家に好まれるマヨラナニュートリノ可能性を高める効果を持つ。さらに、ニュートリノ質量和の測定が見込まれるが、これにより最も軽い3つ目のニュートリノ質量の上限値を特定できることが明確になった。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究専念時間を最も長くとれる本提案者を中心に研究を進め、適宜本研究者が共同研究者の在籍する該当大学へ出張する形態で研究を遂行している。一部の共同研究者は教育負担が多すぎ、こうすることで大学在籍の共同研究者を補完している。研究完了まで時間がかかるのはやむを得ないが、その分、研究の完成度が増す効果もみられる。今後1年間、この体制で研究に邁進したい。 2つの研究課題、加速宇宙の解明とニュートリノ質量問題の推進、における各々2名の共同研究者はすべて所属大学が異なり、対面で研究討論が日程上困難なときはオンラインでの討論も活用していきたい。特に、私立大学の教員の教育負担はたいへんな量にのぼり、オンライン参加が多くなる。本提案者はこれらの共同研究の中核として、随時ノートにアイディアを展開して順次送付して、研究の効率化を図っている。新潟大学の若手研究者は数値計算能力に優れ、また関連研究を熟知しているので貴重な戦力となっている。 十分な研究成果を発表することができれば、さらに大きな研究に発展する可能性があり、今後の科研費申請を検討していきたい。
|
Report
(3 results)
Research Products
(5 results)