Project/Area Number |
21K03576
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15010:Theoretical studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
大川 正典 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 名誉教授 (00168874)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石川 健一 広島大学, 先進理工系科学研究科(理), 准教授 (60334041)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
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Keywords | マトリックスモデル / ラージN理論 / 中間子質量スペクトル / 行列模型 |
Outline of Research at the Start |
アジョイントフェルミオンを含むSU(N)ゲージ理論のラージN極限での研究を行列模型を用いて行い、理論の中間子質量スペクトルを決定する。行列模型には時空の自由度がないので、Nが300程度の数値シミュレーションができる。ラージN極限からの誤差はNの2乗の逆数程度なので、Nを300程度とすればこの誤差は無視できてしまい、実質的にラージN極限がとれる。通常の格子ゲージ理論では不可能な解析が行列模型により可能となるが、この研究ができるのは世界で我々のグループのみである。理論のダイナミクスはアジョイントフェルミオンの数に依存しており、この依存性を中間子質量スペクトルの計算を通して系統的に調べてゆく。
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Outline of Annual Research Achievements |
4次元格子上で定義されたSU(N)非可換ゲージ理論は一般に複雑な構造を持っているが、Nを無限に持っていった極限では、4つのSU(N)行列から成るツイストされた行列模型と同等になり構造が簡素になる。本研究の目的は、行列模型を用いてラージNでの物理量の計算を行うことである。なお(1)(2)で、特に断らない限りゲージ場の動的効果を取り入れた計算を行った。 (1)中間子のような粒子は、理論の持つカイラル対称性の自発的破れにより大きな質量を得る。対称性の破れの大きさは、カイラル凝縮と呼ばれるフェルミオンから成るスカラー演算子の真空期待値の絶対値によって決定される。行列模型を用いてカイラル凝縮を計算した結果をフェルミオン質量が0の外挿と格子間隔が0の外挿をした。外挿値は通常のN=3の格子理論でのカイラル凝縮の値とエラーの範囲内で一致した。結果は専門誌JHEPに発表した。 (2)Nを整数Lの2乗とした行列模型は、格子体積VがLの4乗の通常の格子理論と、ラージN極限で消えてしまう小さな補正を除き同等である。今までの研究は、おもにN=289(L=17)やN=361(L=19)で行われ、これは格子理論で格子体積Vが17の4乗や19の4乗での計算をしたことに対応する。本年度はさらに大きな格子体積を持つ N=529(L=23)での計算ができるようにプログラムを改良し、中間子の質量や崩壊定数を求めるための2点相関関数の計算を行った。 (3) 場の理論の摂動級数には非摂動効果が含まれていることが数学の再生関数論の観点から示唆されている。ツイストされた時空縮約カイラル模型の摂動級数は、非摂動的なリノーマロンと呼ばれる振る舞いを示すことが予想されている。本年度はこの模型の高次摂動級数展開係数の計算を行うために数値確率過程摂動理論の計算手法の改良を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
(1)行列模型を通してカイラル凝縮を求める手法を確立した。特に行列模型のフェルミオンディラック演算子の固有値分布からカイラル凝縮を求める手法が有効であることが確認できた。 (2)以前まで用いてきた中間子2点相関関数計算プログラムはベクトル計算機用にチューニングされていたプログラムであった。近年の計算機はスカラー型かつマルチコアの計算機が普及しているので、チューニング手法をスカラー型マルチコア計算機向けのものにし、アルゴリズムと計算手法を変更した。また2点相関関数の計算に用いる行列の対角和を計算するモンテカルロアルゴリズムを改良し計算コストを下げることができた。これらの改良によりこれまで計算時間的に困難であったN=529の計算ができるようになり新規データが得られた。これにより系統誤差の削減が期待できるようになった。 (3)リノーマロンと関係がある摂動級数展開係数の高次項の振る舞いを調べるため行列指数関数の摂動級数展開の計算手法の改良を行い、摂動展開打ち切り次数に対する計算コストを従来法の打ち切り次数の3乗から打ち切り次数の5/2乗に下げることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
(1)カイラル凝縮の値を、マヨナラフェルミオンの動的効果を取り入れた理論で計算する。この理論はフェルミオンの質量が0となるところで、スーパーシンメトリックになる。スーパーシンメトリックな理論の特性をカイラル凝縮の視点から研究する。 (2)中間子の質量や崩壊定数の解析を、N=529(L=23)とした理論で行なう。大きな格子体積を持つデーターを加えることにより、中間子の質量や崩壊定数の評価が精密になることが期待される。 (3)改良した数値確率過程摂動理論を用い、ツイストされた時空縮約カイラル模型の高次摂動係数を計算しリノーマロンの振る舞いを確かめる。
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