Project/Area Number |
21K03595
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | High Energy Accelerator Research Organization |
Principal Investigator |
中尾 幹彦 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 教授 (80290857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
谷口 七重 大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構, 素粒子原子核研究所, 准教授 (90546946)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2024: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2021: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
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Keywords | 素粒子物理学実験 / 大規模高速データ収集 / 多チャネル光通信 / 放射線耐性 / FPGA / データ収集 / 光通信路 |
Outline of Research at the Start |
素粒子物理学の超高輝度加速器実験に設置するデータ収集機器の放射線に対する信頼性への懸念は増え続けるばかりであるが、回路に使用する素子そのものの故障率を低く抑えることには多大なコストがかかる。本研究では、超小型多重光通信素子や光回線の家庭への普及に使用される光カプラ、普及価格帯の多チャネル高速シリアル通信機能をそなえたFPGAなどを用いてデータ収集用の電子回路基板を製作し、使用素子が故障することを前提に多重化した受信回路の一部を待機状態に置き自己修復の機能を持たせたファームウェアを設計する。これらを組み合わせてデータ収集装置の高速光通信路に実質的な高放射線耐性を獲得させる実証研究を行う。
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Outline of Annual Research Achievements |
素粒子物理学の超高輝度加速器実験の検出器内部で使用するデータ収集機器の放射線に対する信頼性への懸念は増え続けるばかりであるため、本研究は、回路に使用する素子そのものが故障する可能性があることを前提に多重化した受信回路の一部を待機状態に置き自己修復の機能を持たせることでデータ収集装置の高速光通信路に実質的な高放射線耐性を獲得させる実証研究である。設計段階から放射線耐性を備えた素子は、例えば宇宙空間での用途に開発されているが、必要な素子が必ずしも存在するとは限らないこと、および存在しても非常に高価でコストが見合わないことがほとんどである。そこで、本研究では市場の価格競争で価格の抑えられている素子の中から使用する素子を選別し、必要な機能を開発してゆく方針で進めている。 当該年度は、本研究で試作する基板設計を行い、必要な機能を持つ光通信分配基板の製作を行った。基板設計に際して選定した FPGA で使用可能なすべての光通信路を実装し、最大48チャネルの分配用光通信路に加え、冗長性を持つ2系統の入力用光通信路を持ち、また冗長性を持つ2系統の FPGA プログラム用の JTAG信号経路を搭載するものとなった。基板設計を通して、本研究に必要な回路の実現方法を決定することができ、試作基板を製作するところまで達成した。また、本研究と並行して進められているBelle II飛跡検出器の次世代読み出し回路の開発研究へのフィードバックを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究では、多チャネル光通信路を持つ回路基板を製作することが重要な鍵となる。そこで、R5年度は、既存の機器との整合性などを考慮しつつ可能な限り多チャネルの光通信の通信を可能にする基板の設計・製造を行った。また、この基板は、Belle II実験のトリガ・タイミング分配回路の光通信化に使用できるものとして開発した。 まず、フォームファクターとして 6Uサイズの VMEbus 規格の基板を使用することとし、多チャネル光トランシーバー素子としてQSFPトランシーバーを可能な限り搭載し、かつ、光通信に依らない RJ45 コネクタも十分な数を搭載することにした。基板の両面に搭載することにより、物理的限界の QSFP トランシーバ 14 個および RJ45 コネクタ 6 個を搭載することができた。これにより、最大48チャネルの分配用光通信路に加え、自己修復機能を実現するために、冗長性を持つ2系統の入力用光通信路を持ち、また冗長性を持つ2系統の FPGA プログラム用の JTAG信号経路を搭載するものとなった。また、R3年度に製作したJTAG信号の復元回路基板を用いて光通信路を用いたJTAGプロトコルを使用して、光通信路のみで遠隔制御が可能な基板とした。基板製作はR5年度内に完了したが、電源系統に問題があることがわかり、その修正および、機能の試験はR6年度に進めてゆく予定である。 また、本研究で得られた放射線による回路の誤動作から自己修復する機能に関する知見を可能な限り実現するために、本研究と並行して進められているBelle II飛跡検出器の次世代読み出し回路の開発研究へのフィードバックを行った。
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Strategy for Future Research Activity |
R6年度の目標は、本研究の試験に用いる回路基板を動作させるための修正および動作確認を行い、自己修復機能の動作を検証する。R5 年度に試作した回路基板はそのままでは動作しないため、当初予定していた回路基板の改版が必要になるが、複数回の改版は難しいため、試作基板を用いて可能な限りすべての問題点の洗い出しを行う。現在の問題は電源系統にあるため、まずは試作基板を数枚追加製作し、部品点数を減らした形で部品の実装を行った上で問題点の洗い出しを行う。電源系統の問題が解決し、自己修復機能に関する回路に問題がなければ、本研究の実証に問題はない。 ファームウェア開発も並行して進めてゆく。JTAG通信路に関してファームウェアの改良による高速化を図り、自己修復の際の FPGA をプログラムする時間の短縮を目指す方式はR5年度に進めてきたものを完成させ、光通信路使用および長距離延伸にともなう遅延を吸収する。光通信路の試験のための基板間の通信には、既存のファームウェアを組み替えるだけで使用できる予定である。自己修復にかかわる判定基準などは新たに開発してゆく。 また、本研究と並行して進められているBelle II飛跡検出器の次世代読み出し回路の開発研究へのフィードバックを行い、本研究で得られた放射線による回路の誤動作から自己修復する機能に関する知見を可能な限り実現することを目指す。
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