ニュートリノ観測による使用済み核燃料モニタリングシステムの開発
Project/Area Number |
21K03597
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 15020:Experimental studies related to particle-, nuclear-, cosmic ray and astro-physics
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中島 恭平 福井大学, 学術研究院工学系部門, 准教授 (30722540)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
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Keywords | 使用済み核燃料 / ニュートリノ / 液体シンチレータ |
Outline of Research at the Start |
使用済み核燃料から発生するニュートリノフラックスを計算する。中でも、235Uと239Puの核分裂生成物の発生量が異なる144Ceと106Ruについて、ニュートリノフラックスを計算する。検出器開発として、波形弁別能を有する6Li入りLSを作成し、さらにγ/nの波形弁別能を有するLSの開発に取り組む。このLSを用いて小型プロトタイプ検出器を作成し、検出器性能とBG除去能を評価する。続いて、この検出器を用いて原子力発電所におけるBG測定と解析を行う。以上の研究を元に、使用済み核燃料ニュートリノモニターの測定条件を決定する。
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Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、原子炉稼働によって発生する使用済み核燃料から発生したニュートリノを観測することで、使用済み核燃料取り出し直後における235Uと239Pu量を同定する「使用済み核燃料ニュートリノモニター」の実現化について検討することである。 原子炉稼働後に取り出された使用済み燃料中にある、ニュートリノを発生する核種として144Ceと106Ruがある。まずこの核種から発生するニュートリノフラックスの計算を行なった。これらの核種は235Uと239Puの核分裂によって発生するため、原子炉稼働中の両核種の核分裂量を求める必要がある。これについて、原子炉稼働時の熱出力や核分裂反応数をシミュレーション可能なソフトであるSCALEを用いて求め、そこから144Ceと106Ru量を計算し、さらに半減期に応じた崩壊率を考慮して使用済み燃料取り出し後の144Ceと106Ruの崩壊数を求め、ニュートリノフラックスの計算を行った。 またこれと並行して、波形弁別能を有する6Li入り液体シンチレータの開発に取り組んだ。6Liは高価であるため、天然存在比のLiを含んだリチウム化合物LiClを用い、液体シンチレータへの合成方法について検討した。LiClは水溶性であり、有機物である液体シンチレータに界面活性剤を通して合成する必要があるため、透明に合成可能な配分比の検討を行なった。また、波形弁別能を付与するため、シンチレーションカクテルUltima Gold-Fを液体シンチレータに加え、Li濃度を変えながら任意の濃度における液体シンチレータの発光量や波形弁別能といった性能評価に取り組んだ。現在も開発を進行しており、8L容器を作成してこの体積における波形弁別能の評価を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
R3年度に使用済み核燃料から発生するニュートリノフラックスの計算に取り組んだ。使用済み核燃料由来のニュートリノを発生する核種である144Ceと106Ruは235Uと239Puの核分裂によってそれぞれ別の割合で発生するため、ニュートリノフラックスを求めるためにはまず235Uと239Puの核分裂量を求める必要がある。これについて、原子炉稼働時の熱出力や核分裂反応数をシミュレーション可能なS C A L Eを用いて235Uと239Puの核分裂量を求め、そこから144Ceと106Ruを計算した。原子炉稼働中や停止期間中にも144Ceと106Ruは崩壊するため、半減期に応じた崩壊率を考慮し、最終的に使用済み燃料として取り出された段階でどの程度の144Ceと106Ruが存在するかを求める。現在はある決まった熱出力、原子炉の停止期間、燃料配置を一定のものと仮定した場合のニュートリノフラックスの計算まで行った状態である。 また、6Li入り液体シンチレータ開発について、R4年度は液体シンチレータの主成分(溶媒)であるL A B、界面活性剤、LiCl水溶液について、その合成比を検討した。LiCl水溶液を有機物であるL A Bに混ぜるため、界面活性剤を通して合成する必要があり、どの合成比の場合に透明に混ぜることができるかを検討し、Li濃度で0.3wt%まで合成することに成功した。続いて、発光量や波形弁別能について、0.3wt%までLi濃度ごとに評価を行なっている。Li濃度を増やすほど発光量および波形弁別能が低下するため、Liを多く溶かしたいが許容される量までしか溶かすことができないという点があり、Li濃度0.1wt%が最適であるとの結論が得られた。
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Strategy for Future Research Activity |
使用済み燃料として取り出された際のニュートリノフラックスについて、主な不定性を与える項目について詳細な検討を進めていく。具体的には、原子炉は新しい燃料を入れてから2回の停止期間を設け、3回に渡って燃料の配置を変えながら使用していくが、その配置場所によるニュートリノフラックスへの影響を調べていく。いくつかのパターンを試し、使用済み核燃料からのニュートリノ観測による235Uと239Pu量測定について、どの程度の不定性を与えるかを求める。続いて、保管されている使用済み燃料からの距離、検出器の大きさ、測定期間からどの程度のニュートリノが観測されるかを求め、144Ceと106Ruをどの程度の精度で求められるかを検討する。さらに、使用済み燃料中に残る235Uと239Pu量が最終的にどの程度の精度で求められるか検討を進めていく。 次に6Li入り液体シンチレータについて、今後は波形弁別能をさらに向上させるため、Ultima-Gold-Fは別のタイプのシンチレーションカクテルUltima-Gold-ABを導入し、よりより波形弁別能が得られる合成成分と合成比について検討していく。この検討はサンプル量100mLで種々の液体シンチレータの性能評価を行なっていくが、Li入り液体シンチレータのレシピがある程度完成したら、8L級の試作機を開発し、発光量や波形弁別能を評価する。一般的に波形弁別能は検出器を大型化すると低下していくため、なるべく高い光量が得られるような検出器デザインとし、使用済み核燃料モニターに使用可能な検出器の一部としてどの程度の性能が得られるかを評価していく。
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Report
(2 results)
Research Products
(5 results)