Project/Area Number |
21K03612
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | Fukuoka University (2022-2023) Aichi University of Education (2021) |
Principal Investigator |
政田 洋平 福岡大学, 理学部, 准教授 (30590608)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥3,510,000 (Direct Cost: ¥2,700,000、Indirect Cost: ¥810,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,040,000 (Direct Cost: ¥800,000、Indirect Cost: ¥240,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
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Keywords | 原始中性子星 / ダイナモ / 重力波 / 機械学習 / ベイズ推定 / 超新星 / 中性子星 / MHD / 電磁流体シミュレーション / MHDダイナモ |
Outline of Research at the Start |
中性子星は宇宙最強の磁場天体である。典型的な中性子星は地球の1兆倍, FRBの候補源でもあるマグネター種族に至っては地球の1京倍もの磁場を有するが, その磁気的多様性はおろか, 中性子星が保持する磁束の起源すら未解明である。本研究では, 誕生直後の中性子星における対流ダイナモの数値モデリングと独自の平均場モデルを駆使して, 典型的な中性子星とマグネターの分岐を決める物理を特定することを目指す。
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Outline of Annual Research Achievements |
まず昨年度は、これまでの研究成果をレビュー論文としてまとめた(Brandenburg, Elstner, Masada & Pipin 23)。また、原始中性子星(以下PNS)とMHDダイナモに関する以下3つの研究を並行して進めた: ①PNSを起源とする重力波の研究 ②Dedalusを使ったMHDダイナモの基礎研究 ③ベイズ推定にもとづくPNS内部の乱流輸送モデルの検討 まず①では、Masada et al. (2022) で得たPNS内部熱対流の3次元データを詳しく解析、PNSから放出される重力波のスペクトルや特徴的な周波数を調べた。その結果、(1)PNSからレプトン駆動対流に起因した強い重力波が放出されること、(2)PNS内部で自発的に励起される大局的な流れ場構造(e.g.,子午面循環流や差動回転)が、重力波スペクトルに強い影響を及ぼすこと、(3)スペクトルのピーク周波数が、大局的流れのcrossing timeで特徴づけられること、等を明らかにした。この成果は、Masada, Takiwaki & Kotake (2024)として投稿準備中である。②では、リーズ大学のSteven Tobiasらと協同し、MHDダイナモのメタ計算モデルを開発(Pythonベースの流体計算プラットフォーム『Dedalus』を利用)、ダイナモの散逸パラメータに対する依存性を調べた。その結果、ある散逸パラメータの範囲では、MHDダイナモにより大局的な磁場が生成される一方、その様相には単調性が無いこと等を明らかにした。この結果は、今年度中に論文としてまとめる見込みである。③では、ベイズ推定にもとづくPNS内部の乱流輸送モデルの開発を進めており、すでに計算データを再現するような乱流輸送係数の推定に成功している。今年度中に、推定されたパラメータの物理的意味を解釈し、論文成果としてまとめたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Masada et al. (2022)で得た原始中性子星(PNS)の3次元データ(対流構造・磁場構造)をフル活用し、PNSの平均場ダイナモモデルを構築すること、それを使って中性子星の磁場とその多様性の起源を調べること、が申請書を書いた段階での研究計画であったが、その計画からは遅れが生じている。当初は平均場ダイナモ理論に内在するパラメータ(α項:磁場生成効果、γ項:磁場輸送効果、β項:磁場拡散効果など)を既存の近似手法(First-order Smoothing Approximation: FOSA近似)に基づいて決定し、PNSの簡略ダイナモモデルを構築する予定であった。しかし、ここ数年の機械学習手法の急速な発展を受け、ベイズ推定やPINN(physics-informed neural network)などの機械学習手法で、計算データを定量的に再現するダイナモパラメータを推定することに注力している状況である。これは、機械学習を「発見的」に活用する(未知の支配方程式を発見する)ための重要な試みであり、既存の(ダイナモの)理論モデルを検証する意味でも極めて重要な研究だと確信している。また、機械学習の天体物理分野への応用という観点からは、喫緊の課題だと言える。一方、これまで知られていなかった、『PNS内部の大局的流れ場の重力波スペクトルへの寄与』を解明したり、『新しい流体計算フレームワークを使ったMHDダイナモの計算モデル開発』を進めるなど、当初想定していなかった方向へも、この研究が拡がりを見せている状況である。当初の研究計画からは若干の「ずれ」が生じているが、当該分野の研究としては着実に前進している状況であると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、以下の2つの課題に注力し研究を進める: ①ベイズ推定によるPNS内部の乱流輸送理論の検証とモデル化 ②ベイズ推定にもとづく乱流輸送効果を組み込んだ原始中性子星の平均場ダイナモモデルの開発 基本的には①・②ともに、当初の研究計画の流れに沿ったものである。しかしながら、乱流輸送効果のモデル化については、ベイズ推定を応用した手法に変更予定である。ベイズ推定に基づいて乱流輸送係数を決めることで、PNSの3次元データ(流れ場・磁場)をより定量的に再現できる輸送係数セットを見出せるだけでなく、乱流輸送に関する新しい知見も得られると期待している。当初計画にあった、既存の近似手法(First-order Smoothing Approximation: FOSA近似)に基づく乱流輸送係数の推定も行う予定であり、ベイズ的乱流輸送係数との比較から、近似理論の有効性についても検証する。最終的には、より洗練された乱流輸送理論を平均場ダイナモモデルに組み込むことで、PNSの磁場の進化をパラメトリックに計算し、中性子星磁場の多様性を生む物理に迫りたい。
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