A new type of accretion flow in high-mass X-ray binaries with circumstellar disks
Project/Area Number |
21K03619
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 16010:Astronomy-related
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Research Institution | Hokkai-Gakuen University |
Principal Investigator |
岡崎 敦男 北海学園大学, 工学部, 教授 (00185414)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,290,000 (Direct Cost: ¥3,300,000、Indirect Cost: ¥990,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,300,000 (Direct Cost: ¥1,000,000、Indirect Cost: ¥300,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,690,000 (Direct Cost: ¥1,300,000、Indirect Cost: ¥390,000)
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Keywords | 大質量連星系 / Be星 / 星周円盤 / 潮汐相互作用 / 恒星風 / 降着円盤 / X線 / X線連星系 / 降着流 |
Outline of Research at the Start |
大質量X線連星系(大質量星と中性子星やブラックホールからなる連星系)の約半数で星周円盤と呼ばれるガス円盤が大質量星のまわりに形成される。一般に、星周円盤は連星系の軌道面に対して傾いているが、申請者は最近、3次元シミュレーションにより、そのような連星系で、降着流の角運動量ベクトルが軌道周期で大きく歳差運動する現象を見いだした。本研究では、星周円盤と軌道面の角度を様々に変えてシミュレーションを行い、この新しいタイプの降着流が生じる仕組みを明らかにする。また、解析的なアプローチも用いて、傾斜した星周円盤を持つ系における降着流の一般論を構築する。
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Outline of Annual Research Achievements |
大質量X線連星系の約半数を占めるBe/X線連星系は、Be星と呼ばれる星周円盤を持つ大質量星とコンパクト天体(中性子星かブラックホール)からなる連星系であり、星周円盤中のガスがコンパクト天体に捕獲されることでX線活動が生じる。多くのBe/X線連星系で星周円盤は連星軌道面に対して傾斜していると考えられるので、これらの系の振る舞いを理解するには、傾斜した系でコンパクト天体の周囲にどのような降着流が生じるかを明らかにする必要がある。 2022年度には、傾斜した星周円盤から中性子星へ向かう降着流の構造を、観測的振る舞いの異なる3つの連星系に4U 0115+634(周期24.3日、離心率0.34)、LS I +61 303(周期26.5日、離心率0.54)、A 0535+262(周期111日、離心率0.47)に対して、恒星風のない状態50-100周期にわたる長期間シミュレーションと恒星風のある状態で1-2軌道周期にわたる短期間シミュレーションを行って調べた。前者においては、4U 0115+634でのみ降着流の歳差運動が見られ、他の2つの系では降着流の方向は一定のままだった。星周円盤の傾斜角が同じでも、歳差運動が起こる系と起こらない系がある理由については、まだ理解できておらず、現在調査中である。 後者のシミュレーションでは、3つの系のいずれでも、星周円盤が大きく傾いている場合には降着流(降着円盤)が恒星風によりはぎとられるという結果になった。このことは、Be/X線連星系として観測される系では星周円盤の連星軌道面に対する角度が小さいという可能性と、恒星風がクランプ状になっていて、そのために降着流に影響しにくくなっているという可能性を示唆している。Be/X線連星系における降着流への恒星風の影響については、2022年9月に開催された日本天文学会秋季年会(オンライン開催)で発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の進捗が当初計画よりも遅れている理由の1つは、プログラムの改良(特に大規模並列化)を進めるための研究時間を確保できなかったことである。そのために、1つのシミュレーションに要する時間が長くなってしまい、また利用している北海道大学情報基盤センターの計算ジョブがあ非常に混み合っていたこともあり、3つの系に対してそれぞれ数通りのシミュレーションを行うことしかできなかった。 研究遅延のもう1つの理由は、恒星風の降着流への影響という当初の計画に入っていなかった物理過程について、昨年度に引き続き、かなりの時間を費やして調べたからである。Be星の星周円盤が連星軌道面に対して傾いている場合には、Be星の恒星風が降着流(降着円盤)に衝突する。恒星風の影響はとても大きく、ナイーブに考えると傾いた星周円盤からは降着できないことになるが、それは観測と矛盾する。これはBe/X線連星系のX線活動の起源に関わる重要な問題なので、これからも引き続き多くの時間を割いて調べていく予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は次の2種類の研究を行う予定である。 1つは、傾斜した星周円盤を持つBe/X線連星系における降着流の構造と長期的な振る舞いを、より広い範囲のパラメータを用いて系統的に調べる研究である。恒星風を含めると計算時間が一気に長くなってしまうので、この研究では恒星風のない場合のシミュレーションを行う。 もう1つは、恒星風の降着流に対する影響の研究である。2022年度までの研究で、なめらかな恒星風のもとでは降着が起こらないことが明らかになったので、2023年度には恒星風がクランプ状になっているという最近の考え方に基づいた場合に、降着が可能かを調べる。そのために、まずクランプ状の恒星風をシミュレーションできるようにコードを改良し、改良したコードを用いてクランプの大きさなどのパラメータと降着率の関係を調べる。この研究により、Be/X線連星系のX線活動の起源についての新しい描像が得られるのではないかと期待している。
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Report
(2 results)
Research Products
(2 results)