Comparison of prediction errors caused by each propagation process from source formation to coast
Project/Area Number |
21K03688
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17030:Human geosciences-related
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Research Institution | Japan, Meteorological Research Institute |
Principal Investigator |
林 豊 気象庁気象研究所, 地震津波研究部, 室長 (40370332)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
南 雅晃 気象庁気象研究所, 地震津波研究部, 研究官 (10867162)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,080,000 (Direct Cost: ¥1,600,000、Indirect Cost: ¥480,000)
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Keywords | 津波事前予測 / 誤差要因 / 津波数値実験 / サイト特性 |
Outline of Research at the Start |
本研究では、関東大地震タイプなどの想定地震で生じる海岸での津波高という、津波事前予測の問題を設定し、その予測精度を分析する。研究は、次の手順で進める。 1. わずかに異なる多数の地震断層モデル群・沿岸地形モデル群を用いた津波数値実験を実施 2. 計算結果から、地震断層モデルの違いが沖合の津波波形に与える影響(ソースの影響)と、沖合の津波波形の違いが海岸での津波高に与える影響(サイトの影響)とに分離 3. 想定地震毎・地域毎に、ソースの影響とサイトの影響による津波高の予測誤差を比較 4. 津波事前予測の精度に、より大きな影響を与える要因(予測が外れる主な原因)を評価・判定
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Outline of Annual Research Achievements |
即時津波予測のためのシナリオ型の津波データベースは、複雑な計算を行って陸上津波高を直接求める代わりに、沖合点での計算出力である津波高に増幅係数を乗じて作成することが多い。しかし、沿岸の津波には海岸での直接波と反射波の重合があり、波の節や腹付近の沖合点で津波高を抽出すると、海岸での津波高の予測値が過大または過小に評価される傾向があり、沿岸海域から海岸への津波高の増幅率の推定誤差となる。理論的な考察に基づいて、最大波高と最大流速を用いれば沖合津波高の評価を補正できることを示し、反射波の重なりの影響を低減できる指標を提案した。 歴史記録を根拠に将来発生する地震・津波を事前予測する方法は一般的に用いられるが、日本語文献の間違いや史料解釈の誤りを含む英語文献に基づいて、偽津波の情報が国際的な津波データベースに収録された例が複数見つかった。NOAAとロシア科学アカデミーのいずれかのオンライン歴史津波データベースに登録され、かつ、19世紀以前に日本列島周辺以外で発生した地震によって日本で津波の観測記録があった地震は、2023年5月末時点で14例あり、系統的な調査の結果、このうち7例に適切な根拠がないことが判明した。この結果をもとにそれぞれの国際的歴史津波データベースの管理者と共同で修正作業を進め、2023年7月までに該当箇所の修正を完了し、根拠のないモデルに基づく事前津波予測が誤って行われるリスクを未然に防いだ。 非線形長波方程式を有限差分法で解く場合の摩擦項(マニング式)の比較を行った。その結果、完全陰解法よりも単純な半陰解法が精度が良く、計算安定性は同程度、完全陰解法は1。3倍の計算時間が必要だった。また単純な半陰解法は、複合的な半陰解法よりも全ての点で優れているもしくは同程度であった。理論解析で、ある条件で連続的に式を解いた場合、その解が単純な半陰解法と一致することを示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本研究課題では、想定地震を用いた数値実験を通じて、津波予測の誤差を、地震モデルの違いが沖合の津波波形に与える影響(ソースの影響)と、沖合の津波波形の違いが海岸での津波高に与える影響(サイトの影響)とに分離・比較し、また、その他の誤差の検討も総合して、津波事前予測の精度における本質的な誤差要因が何かをまとめる計画である。当初は三年間で研究を終える計画だった。 三年度目までに、海域活断層による2016年福島県沖の地震を基準としたケーススタディの結果から、津波予測の誤差のうち、地震モデルの違い(ソースの影響)が津波高に与える影響を分析するとともに、津波予測の実務におけるこの影響への対応方法をまとめることができた。有限差分法の解法によって生じる津波数値計算の誤差の比較もできた。また、当初の研究予定にはなかったが、国内外で広く利用されているカタログに偽津波が含まれている例を見つけることで、津波カタログ値を利用して想定地震モデルを設定することによる信頼性の問題も検討した。 一方で、ソースの影響とサイトの影響を定量的に測定するために実施する必要がある数値実験については、必要な計算諸条件の設定と地形データの取得に当初の計画以上に時間を要しており、まだ研究を完了するには至っていない。 進捗に遅れが生じたことから、本研究課題の実施期間を延長することになった。
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Strategy for Future Research Activity |
津波数値実験に必要な計算諸条件等(モデル等、多数)を設定する。誤差程度に異なる多数の波源モデルと地形モデルも用意する。数値実験の対象領域は、内湾を含む領域、弧状の海岸線を含む領域、リアス式海岸を含む領域を選択し、想定地震として、プレート境界型、海洋プレート内の地震、海域活断層による地震を選択する。 津波数値実験を行い、それらの結果から、各想定地震・各津波波形出力点について、津波予測の誤差を、地震モデルの違いが沖合の津波波形に与える影響(ソースの影響)と、沖合の津波波形の違いが海岸での津波高に与える影響(サイトの影響)とに分離・比較する。比較結果、その他の誤差の検討を総合し、津波事前予測の精度における本質的な誤差要因が何かの観点も含めて、研究成果をまとめる。
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Report
(3 results)
Research Products
(15 results)