Relation between oblique subduction and warm subduction metamorphism in rock record
Project/Area Number |
21K03724
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 17040:Solid earth sciences-related
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
遠藤 俊祐 島根大学, 学術研究院環境システム科学系, 准教授 (60738326)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2026-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2025: ¥390,000 (Direct Cost: ¥300,000、Indirect Cost: ¥90,000)
Fiscal Year 2024: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,430,000 (Direct Cost: ¥1,100,000、Indirect Cost: ¥330,000)
Fiscal Year 2022: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
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Keywords | 高圧変成岩 / 斜め沈み込み / 三波川変成帯 / 周防変成帯 / 沈み込み帯 |
Outline of Research at the Start |
プレート斜め沈み込みは,高圧変成岩上昇の必要条件であり,温かい沈み込みの岩石記録のバイアスをもたらす要因ではないかという仮説を検証することが目的である.斜め沈み込みは,正味の沈み込み速度を低下させ,浅部では剪断熱を増大させることにより,沈み込み帯の高温化をもたらす.また特に深部からの高圧変成岩の上昇を考えると,斜め沈み込みでは剪断抵抗が低下するため,泥質岩を主体とする高圧変成岩の浮力上昇に有利に働く.西南日本の高圧変成岩の変形構造が記録するプレート運動方向,年代,変成条件を総括することで,上記問題を検討する.
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Outline of Annual Research Achievements |
西南日本の顕生代高圧変成岩類は,時代に関わらず温かい沈み込みの条件を記録しているようにみえ,若いプレートの沈み込みがなくとも温かい沈み込みを長期間存続させる要因が存在すると考えられる.一方で,高圧変成岩の沈み込み時の履歴や沈み込んでいた海洋プレートの性質が信頼度の高い情報として読み取られているデータ数は依然として少ないため,それらデータの蓄積を目指している.当該年度は前年に引き続き,鳥取県若桜町(古生代高圧変成岩),島根県三隅町および鳥取県日南町(前期ジュラ紀の周防変成岩),愛媛県西条~東温市,伊予長浜および四国中央市猿田川(白亜紀の三波川変成岩)において野外調査を行った.また,新たに岡山県真庭市周辺(トリアス紀~ジュラ紀の周防変成岩)の調査も開始した.若桜町の蛇紋岩中のブロックとしてざくろ石角閃岩とトロニエム岩が密接に伴って産する露頭を見出し,これらが古生代の沈み込み開始直後のスラブ融解を示す可能性があるため,検討を開始した.四国三波川帯の研究では,大規模な玄武岩質海洋地殻のアンダープレーティングが変成斑れい岩中にのみ形成されるローソン石の沈み込みに伴う深さ20kmでの脱水に関連して起こる可能性を提案した.また,猿田川地域の三波川帯の調査では変成作用のピーク付近で活動したと考えられる断層を確認し,温かい沈み込みを剪断熱で説明する最近の提案についての物証となる可能性がある.四国中央および西条市の三波川変成岩に含まれるプチスポット類似のプレート内玄武岩起源変成岩について,その産状から遠洋性堆積物に貫入していることや原岩年代がケルスート閃石K-Ar年代から白亜紀中頃であることを明らかにした.この年代は三波川変成作用時には60Myr前後の海洋プレートが沈み込んでいたことを示す海洋プレート層序とも矛盾しない.また白亜紀中頃を境に,沈み込んでいた海洋プレートの性質が急変したことが示唆される.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
西南日本の時代の異なる高圧変成岩類に関して,野外地質及び岩石学的な情報が蓄積されつつある.古生代変成岩類(若桜)に関しては,沈み込みであれば異常に高温な条件を記録した岩石(ザクロ石角閃岩とトロニエム岩)を発見し,その記載岩石学的データを収集した.これらの成因解明に向けた,地球化学的分析や年代測定に関しても下準備(ガラスビード作成や鉱物分離)を当該年度に行った.中生代前半(トリアス紀~ジュラ紀)の高圧変成岩類に関しては,特に高変成度部(ジュラ紀の部分)に関しては日南町の調査によって,白亜紀の三波川変成岩類と類似した原岩岩相(但し,苦鉄質岩類の原岩形成場は未検討)や変成変形履歴をもつことが明らかになった.一方で,広く分布する低変成度部のうち構造的上位(トリアス紀末)の部分は原岩岩相が異なり,トリアス紀~ジュラ紀にかけて西南日本の沈み込み帯環境が大きく変わった可能性があり今後の検討課題である.白亜紀の三波川変成岩類に関しては,桜樹屈曲地域の地質図がほぼ完成し,地質構造と変成作用の関係が明らかになった.以上からおおむね順調に進行しているが,今後取りまとめを進めていく必要がある.
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Strategy for Future Research Activity |
若桜町の古生代変成岩類は,引き続き基礎データ(野外でのマッピング,記載岩石学,全岩および鉱物化学分析)の収集を行うとともに,トロニエム岩から分離したジルコンの年代測定を実施する.それらのデータをもとに,冷たい沈み込みを示唆する青色片岩と,ざくろ石角閃岩のような高温沈み込みを示唆する岩石が同一変成帯から産することを説明する合理的なモデルの構築を目指す.トリアス紀~ジュラ紀の周防変成岩類については,高変成度域(鳥取県日南町)の温度-圧力-変形-時間経路や前弧マントル起源の蛇紋岩の岩石学に関して,データが出揃いつつあるため,とりまとめを目指す.一方,周防変成岩類の分布の大部分を占める低変成度部(パンペリー石アクチノ閃石相と緑れん石青色片岩相の遷移帯)に関しては,これまで定量的な解析は行われておらず,履歴に関する情報も報告されていない.新たに調査を開始した岡山県真庭周辺の苦鉄質変成岩は角閃石累帯構造から沈み込み時の履歴を残していることが示されたので,定量的な情報抽出を目指す.また,同地域の苦鉄質片岩に富む構造層序位置の泥質片岩は,低変成度でありながらザクロ石や斧石を含んでおり,原岩がFeやMn,Caに富んでいる.このことは,周防変成岩のうち,古い部分(トリアス期末)は大陸縁の海溝充填堆積物が供給される環境ではなく,未成熟海洋性島弧への沈み込みというテクトニクス場であったことを示す可能性がある.この点に関しては,今後の野外調査データの蓄積により検討する.
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Report
(3 results)
Research Products
(13 results)