Project/Area Number |
21K03864
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19010:Fluid engineering-related
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Research Institution | Chubu University |
Principal Investigator |
伊藤 高啓 中部大学, 工学部, 教授 (00345951)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥520,000 (Direct Cost: ¥400,000、Indirect Cost: ¥120,000)
Fiscal Year 2022: ¥650,000 (Direct Cost: ¥500,000、Indirect Cost: ¥150,000)
Fiscal Year 2021: ¥2,860,000 (Direct Cost: ¥2,200,000、Indirect Cost: ¥660,000)
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Keywords | 接触線 / 接触角 / 濡れ / 分子動力学 / 3次元測定 / 濡れ性 / 界面 |
Outline of Research at the Start |
液滴や液膜が固体面を濡れ拡がる際には,濡れ縁(固体と液体界面の交線,接触線と呼ぶ)の運動に伴い,固体と流体の界面とのなす角度である接触角が変化する.接触角の変化は界面形状全体に大きな影響を及ぼすため,これを明らかにすることは,細管内液滴輸送や液滴衝突,コーティング等で特に重要となる.本研究では,実用固体材料で避けることのできない表面欠陥や化学的不均一等の存在が接触線運動や接触角に与える影響を記述するモデルの開発を目的として,分子動力学的手法を用いた微視的界面形状の固体面条件依存性の解明,および,3次元同時界面形状測定手法を用いた巨視的界面の変形特性の明確化を行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も3次元の界面形状測定と分子動力学解析を進めた.また,これと併せて断続挙動において重要となると考えられる接触角ヒステリシスの影響を調べるため,静止状態から急激に固体が加速する実験も行った.3次元測定は鉛直に設置したアクリル及びガラス板上を滑落する液滴を対象とした.液滴にかかる力として液滴内部の圧力の効果を適切に取り入れることによって液滴の滑落速度と応力バランスとの整合性を得ることができた.加速実験では固体が静止状態から動き出した直後の動的接触角が定常時とは異なった値を取ることが示された.このことは接触線の断続運動のモデル化に際してはこの効果も取り入れる必要があることを示唆している.また,分子動力学解析では,2022年度に行ったCouette体系を用いた計算において,系の大きさを液の進行方向のみに2倍にしたもの,および液進行方向と壁間距離の双方を2倍とした体系で計算を行った.その結果,動的接触角は2022年度のCouette体系の結果とほぼ同一の値となった.このことは,2022年度の計算で得られた接触角がおもに接触線ごく近傍の局所の応力バランスによって決まっており,体系の大きさが影響するような大局的な流れ場は大きな影響を与えていないことを示している.また,2023年度は液に体積力を加えて移動させるポワズイユ体系での実験も行った.その結果も,接触角は概ねCoutte体系と同一となった.このことも接触角が比較的局所の応力バランスで決まることを示している.また,SAM分子が壁面上で傾いていることから,進行方向に対して非対称の挙動を示すことが考えられたため,壁面をこれまでと逆方向に動かす解析も行った.しかし,結果はこれまでの順方向の結果と全く変わらなかった.したがって,SAMの傾斜の向きの影響もほとんどないものと考えられる.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
3次元界面形状測定では,精度の向上を引き続き進めることができた.一方で,接触線速度の設定が適当でなかったため明確なスティックスリップを伴う現象が測定できなかったので,若干の遅れがある.これは実験条件の制約によるところが大きいので,体系を一部変更することで対応する必要がある.また,分子動力学解析では,統計性が不十分な部分もあるが,接触角の局所性を示すことまでできたことから,局所応力モデルの適用に進むことができた.これらのことを総合してやや遅れていると判断した.
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Strategy for Future Research Activity |
3次元形状測定では,引き続き,非均一面でのスティックスリップ現象のデータを得る.2024年度は実験条件設定の制限緩和の観点から,水平板上ので液滴の拡大・縮小を対象として測定を試みる.分子動力学解析では,SAM構造の一部に欠陥を作ることで,非均一性を模擬し,その際のスティックスリップ運動や接触角挙動について明確にする.
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