Elongation of liquid film in wick by utilizing low-voltage horizontal-field electrowetting technique
Project/Area Number |
21K03900
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 19020:Thermal engineering-related
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Research Institution | Shibaura Institute of Technology |
Principal Investigator |
小野 直樹 芝浦工業大学, 工学部, 教授 (20407224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
丹下 学 芝浦工業大学, 工学部, 准教授 (70549584)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2022)
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Budget Amount *help |
¥4,030,000 (Direct Cost: ¥3,100,000、Indirect Cost: ¥930,000)
Fiscal Year 2023: ¥910,000 (Direct Cost: ¥700,000、Indirect Cost: ¥210,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,560,000 (Direct Cost: ¥1,200,000、Indirect Cost: ¥360,000)
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Keywords | ヒートパイプ / エレクトロウエッティング / 濡れ性 / ウイック / 誘電膜 / ドライアウト |
Outline of Research at the Start |
5Gに代表される小型携帯IT機器の分野では発熱するCPU等の冷却技術がますます重要となっている.現在,薄型のヒートパイプが導入され,熱を筐体および外気に逃がすことができているが,CPUの性能向上や機器の薄型軽量化がさらに進むと,ヒートパイプ内の蒸発部に凝縮液が十分還流せずにドライアウトが生じ,冷却困難になる危険性が考えられる.本研究では水平電界タイプのエレクトロウエッティングを低電圧で駆動するように改変し,ヒートパイプ内の密閉な低圧環境で作動する技術を研究する.この研究を通じて将来の高発熱半導体を有する小型携帯IT機器に適用可能なヒートパイプ技術の実現に寄与する.以上
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Outline of Annual Research Achievements |
5Gに代表される小型携帯IT機器の分野では発熱するCPU等の冷却技術がますます重要となっており,小型で薄型のヒートパイプはすでに有効な伝熱デバイスとしてスマートフォンなどの内部で使用されている.しかしCPUの性能向上や機器の薄型軽量化がさらに進むと,ヒートパイプ内の蒸発部(発熱部)に凝縮液が十分還流せずにドライアウトが生じ,冷却が困難になる危険性が考えられる.本研究では水平電界タイプのエレクトロウエッティングを誘電体膜の厚みを薄くすることで低電圧で駆動するように改変し,ヒートパイプ内の密閉な低圧環境でも作動する技術を研究する.具体的には誘電体膜として極薄の酸化チタン膜を使用して低電圧駆動を可能とし,ヒートパイプ内のウィック内での液膜の伸長作用を発現させる.大気圧下でのこの作用の確認は終了しているので,ヒートパイプ環境下での効果を明らかにする実験研究を行う.2022年度は,昨年度製作した実験用のヒートパイプにおいて,電極に電圧を印加した際の漏電の発生や,シール部にリークが生じて容器内の真空度が保ちにくいなどの問題が生じたため,まず対策を講じた構造となるように実験装置を再設計し製作した.その結果,これらの問題はほぼ解決することができた.その後,エレクトロウエッティング(以下EWと表記する)を施さない場合と施した場合で,この模擬ヒートパイプ内の蒸発部近傍の蒸気相の温度と圧力の経時変化の違いを,加熱部の入熱を徐々に上げながら計測した.まだ予備的な結果であるがドライアウト近くなるとEWを施さない場合は蒸気温度が不安定に上下するのだが,EWを施すとそれが抑制され安定な温度挙動を示すことがわかってきた.2023年度はこの観察を詳細に進め,EWを施すことでドライアウトが抑制されていることを温度や圧力の変化からとらえてEWの効果を明確に証明することを目標とする予定である.以上
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2022年度は,昨年度生じた電圧印加時の漏電やシール部のリークの問題を解決するために装置(疑似ヒートパイプ)の内部構造を見直し,蒸気が入り込んで凝縮しやすい部分(不要なスペース)を極力無くし,またEWに印加する電極線の表面も凝縮水が付着しないように工夫した.また銅板に付与するウィックの本数を昨年度のものから倍以上の49本に増やした構造とした.その他の部分は昨年度とほぼ同じ寸法である.またウィックに付着させる誘電体膜の作成方法としてスパッタリング法を用いて銅板表面にチタン薄膜を成膜させるが,今年度は初期に逆スパッタリングを行って銅面へのチタン膜の付着力を強化するように工夫した.その後その表面を自然酸化させることで,表面極近傍を比誘電率の高い酸化チタンへ変化させて用いた.これらの対策の結果,昨年度みられた漏電やリークはほとんどなくなり安定した実験ができるようになった.その後,作動液として昨年同様に塩化ナトリウム1 wt%水溶液を用い,EWを施さずにヒートパイプとして稼働させ入力熱量を次第に増加させてドライアウト現象を発生させたところ,蒸発部近傍の気相の圧力値が上下に変動を繰り返すといった不安定な挙動を示した.一方,目視でもドライアウトの観察を試みたがやはり蒸気の付着で肉眼での観察はむずかしかったため,この圧力と温度を挙動をもとにドライアウトを判断することにした.その後,予備的な実験であるがEWを印加電圧1.2ボルト(液が電気分解しない電圧)として実験初期から継続して駆動したところ,蒸気の不安定な圧力変動が大きく抑制されることがわかってきた.2023年度はこれらの結果を踏まえてドライアウトが発生する際に,EWを印加してドライアウトが明確に消失する条件の確認や,EWを印加するタイミングとしていつがよいのかなど,EWのドライアウト効果を詳細に示していきたい.以上
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度は本研究の最終年度となる.昨年度の実験の結果を踏まえて本研究の成果をなるべく実用技術に近づけるために以下の方針にて研究を進める. 1)実験装置でのドライアウト現象の詳細確認:実験に用いている疑似ヒートパイプにおいて,すでにドライアウトが発生していると思われる状態では,蒸発部近傍の気相の圧力が不安定に上下することわかった.EWを印加する前の状態の確認として,このドライアウト現象自体についても詳細に観察を続ける. 2)EWの効果の吟味:EWを施すと上記1)の不安定な圧力挙動が大きく抑制されることがわかってきたが,その現象の再現性等について詳細に調べていく. 3)最適なEW印加条件の探索:将来の本技術の実用的な運用を考えて,ドライアウトが生じそうなヒートパイプの駆動状態に対して,それではどのタイミングでEWをスタートすればよいのか(ドライアウト発生直前でもよいのか,あるいは一旦ドライアウトが発生してもEWを印加すれば速やかにドライアウトの解消が可能かどうかなど)について詳細に実験を進めていく予定である.そしてこれらの実験的な知見を踏まえて,本技術の効果的な運用パターンの提案につなげたい.以上
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Report
(2 results)
Research Products
(3 results)