Project/Area Number |
21K04064
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Allocation Type | Multi-year Fund |
Section | 一般 |
Review Section |
Basic Section 21020:Communication and network engineering-related
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
臼田 毅 愛知県立大学, 情報科学部, 教授 (80273308)
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Project Period (FY) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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Project Status |
Granted (Fiscal Year 2023)
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Budget Amount *help |
¥4,160,000 (Direct Cost: ¥3,200,000、Indirect Cost: ¥960,000)
Fiscal Year 2023: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2022: ¥1,170,000 (Direct Cost: ¥900,000、Indirect Cost: ¥270,000)
Fiscal Year 2021: ¥1,820,000 (Direct Cost: ¥1,400,000、Indirect Cost: ¥420,000)
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Keywords | 情報通信工学 / 量子通信 / 量子計測 / 量子もつれ状態 / 非対称型通信 / 量子もつれ / 通信方式 |
Outline of Research at the Start |
量子通信を現実世界で要求される多種多様な通信形態,特に無線通信の多様性に対応させるため,送信者と受信者の能力が異なることを想定した非対称型量子通信方式の確立に取り組む.本研究のコアとなる着想は,量子もつれを利用した超高精密計測の知恵を量子通信の世界に持ち込むことにある.量子計測に登場する二者は,計測する側とされる側に分かれ,強い“非対称性”がある.計測する側という“親”が,計測される側である“子”からの情報を得ると見ることもできる.本研究は,これを“情報の伝達”を実行する通信方式に応用するもので,通信方式の考案からその特性解析,改良までを行う.
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Outline of Annual Research Achievements |
本年度に行った研究を要約すると次のようになる. (1) PSK型の非対称型量子通信方式における減衰下の最適状態の考察:昨年度に今後の課題としていた減衰下の最適状態の考察を行った.まず,BPSK型に対し,次元を限定した場合の最適状態を数値的に導出し,その特性を調べた.また,最適状態の特徴として,光子数が偶数と奇数の各総確率が等しいことを明らかにするとともに,分布の形状についても考察した. (2) 量子通信に関わる基礎的研究:本研究課題を支える量子通信の基礎的な研究として,(a)量子通信路容量をほぼ達成する離散的信号の配置と生起確率,(b)量子一括復号に対する古典信頼性関数の特性,(c)ASK信号に対するグラム行列近似による誤り率精度について,研究を進めた.(a)では,信号点配置を特定のクラスに限った場合の最適配置を明らかにした.(b)は信頼性関数の上界が発散するという古典の同様のケースでは起こり得ない現象のメカニズムを符号化後の一括測定の特性を見ることで解明することを試み,小規模の符号化でも大きな効果が得られることを明らかにした.(c)は大規模の量子信号の解析が困難である問題に対し,グラム行列をn重対角行列に近似することを考察したもので,nが5程度でも良い近似を示す場合があることを明らかにした. (3) 量子計測に関わる基礎的研究:本研究の特徴は,量子もつれを利用した量子計測の知恵を量子通信に持ち込むことにあるため,本年度は量子計測に関し量子イルミネーションと量子ゴーストイメージングの研究を進めた.前者では,現実的なデバイスによる受信機の簡易構成を明らかにし,今後の実験研究につながる成果を得た.後者では,昨年度の2D・白黒の問題設定を一般化し,3Dおよびマルチレベルの特性を調べた.いずれの場合でも,量子ゴーストイメージングが通常のイメージング技術より優位であるという結果が得られた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は,非対称型量子通信方式のうち,PSK型については減衰環境時の最適状態について考察すること,ASK型については安全性を考察することを計画していた.前者は計画通りであったが,後者については考察したうえで原稿にまとめ論文誌に投稿したが,査読者の指摘により考察を続けており,あと一歩の状態である.なお,量子通信と量子計測の基礎的研究の部分は,概ね順調に進められている.当初より研究を延長することになったことも合わせ,やや遅れているとの状況判断となった.
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Strategy for Future Research Activity |
非対称型量子通信方式としては,基本となるPSK型とASK型の取り組みを引き続き行う.PSK型に関しては,減衰環境における最適エンタングルド状態について,現在得られている数値的な結果を裏付ける解析的な結果を得ることを目指す.また,現在は6次元程度までの場合を取り扱っているが,さらなる高次元化を行う.ASK型に関しては,安全性について特性解析するのみではなく,安全性強化策を考察する.さらに,量子計測の研究で得られた簡易測定のアイデアを非対称型量子通信方式に応用することを試みる.
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